モガディシュ 脱出までの14日間のレビュー・感想・評価
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やりすぎて嘘くさいのですが
まず初めに。実話ベースのストーリーということですが、カーアクション、ガンアクションの迫力が凄すぎて、実話ベースというよりギミック満載のエンタメに寄り過ぎちゃった感じは残念でした。え?なんで犠牲者がほとんどいないの???とか、なんで、ボサッとしたおっさんが抜群のドラテク発揮しちゃうの?とか。
なんですが、実話ベースのフィクションだと割り切って鑑賞するとこれほどの面白くてアドレナリンがドバドバ放出される映画なんてそうそうないです。アクションの撮り方、音の入れ方が巧みです。邦画でもこのくらいやって欲しいと思います。その映画館で観るべき作品ですし、IMAX、ドルビーアトモス、4DX、ScreenXでも作っているようなのでいいところで上映して欲しいです。
さて、肝心な話しの進み方ですが、仇敵との関係が命の危機を前にしての葛藤、割り切れない心情、猜疑心、協力、そしてラストに向けての友情と別れまでがゆっくりと進みながら脱出に向けては一気に加速していく組み立てはハラハラ・ドキドキでした。そして、ラストシーンは非常に印象的で乱れた呼吸がスッと整う感じでした。
不安、恐怖、猜疑、謀略、策略、協調、友情、絶望、希望などいろんなことが上手くまとめられた作品でした。
韓国は映画作りが
上手い。エンタテインメント性もあり、見応え充分。ソマリア内戦に巻き込まれ、北と南が手を組み生死をかけた脱出劇を実話。何処までが実話なんだろう。
映画としての実力が凄い。セリフがなくても一人一人に表情があり、見てる者を感動に誘う。俳優人も見事に演じきり拍手。おすすめです。
恐ろしい内戦
ソマリアでの内戦。外国人にも被害が及び、大使館にも強奪などの被害が出る。ソマリアからの脱出を始める外国人。国連加盟を目指してロビー活動をしていた韓国、北朝鮮も同様に脱出に必死になる。
お互いに敵意むき出しだったが、助けをもとめ、行き場の無くなった北の人達を受け入れる南の人達。南側でも助けるべきか追い返すかで意見が分かれてはいたものの、女性や子供もいるのに追い出すことも出来ない。
食事のシーン、南側が用意した食事に手をつけない北側。どうやら何か入っているのでは、と警戒していた様子。自ら助けを求めたのに、それでも信用できないのか。悲しい場面だった。
ソマリアの内戦、政府側と反乱軍の殺し合いも凄まじいが、韓国と北朝鮮が協力して、車に本など縛りつけ、脱出するシーンが、まさに手に汗握る脱出劇。白旗を鉄砲と勘違いされて総攻撃をうけてしまい、なんとか逃げて〜と思わず力が入る。
無事脱出出来たけれど、輸送機から降りる場面、韓国に助けられた、感謝していると公で言えない北朝鮮の人達。両国の深い問題をみせつけられた。
これは、韓国のハンさんが原作らしく、ほぼ事実なんだろう。なんとも恐ろしい。まだいまだにソマリアでは争いが続いているらしいし、スーダンの内戦から外国人が脱出をしていて、今日のニュースではやっと日本人も脱出出来た様子。スーダンの街から日本の自衛隊機が待機しているところまで30時間車でかかったとか。映画の場面が脳裏に過ぎる。現地に自分の意志で残る事を決めた人もいるようだが、帰る意志を表しながらまだ脱出出来ない人が1人いるらしい。なんとか早く助け出されてほしい。
一言「あっぱれである」
モガディッシュは、アフリカ東側・ソマリアの首都で。
1990年に起こった、ソマリア内紛に巻き込まれた、北朝鮮と韓国の大使館員の話です。
異国の赴任先で内紛が起きて、その国を脱出する。
たまにそんなニュースを聞くけど。
33年前にこんなことがあったんだね(脚色はしてるだろうけど)。
冒頭で北と南の大使館員、それぞれが政治的に対立してるシーン。
よくある話だなあ、と思わせといて。
紛争によって、協力し合わなくてはいけなくなった両国。
どう手を打つのか、ちょっとハラハラ。
終盤10分ほどの追っ手から逃げる、カーチェイス。
ド派手でかつもうあかん〜!が、息する間がなかった。
出血シーンは控えめなので、歴史的史実を知ってみては。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「我々の闘争目的は、生存だ」
すごい迫力
ソマリア、この国で韓国と北朝鮮の両国は、悲願である国連加盟の票を獲得するために、毎日ロビー活動でせめぎあっている。そんな中で、1990年にソマリアで起きた暴動からの内乱。一夜にしてひっくり返る中で、首都モガディシュに大使館をかまえていた北朝鮮も韓国も必死での脱出をめざすしかなかった。その中で、休戦中とはいえ戦時下にある両国の大使館員たちが脱出するために協力しあえるのかどうか、という話。
すごい迫力、一気果敢!
めちゃ怖い、内乱の街、内戦の街。子供まで銃をうちまくる反乱軍。外国大使館員 という肩書が安全を1mmも保証してくれない世界。
前半は若干寝落ちする瞬間があったことを正直に言っておこう。寝不足の中で久しぶりの二本立てだったからというのは言い訳だな。
しかし後半はまばたきすら許されない、息詰まるシーンの連続。すごい迫力であり、緊迫感だった。
はたして極限下とまで言えるこの状況は、遠いこの地でも毎日せめぎあっている両国は、イデオロギーを越えられるのか。
逃げる前に、子供の腕に血液型をマジックで書いておく、という描写も怖い。
「なぜ俺たちは、別々の国で憎み合って生きてているんだ」 彼らは決してこれを声に出して言うことはできないので、せめて俺がここで言っておこう。
韓国映画「モガディッシュ脱出までの14日間」に心底感服しました😳
またしても韓国映画の驚嘆の出来栄えに正直、若干の悔しさも混ざります!今の日本映画界にこのサイズとクオリティの作品を世に送り出すパワーはあるのかな?😑
韓国政府の映画産業への振興補助金は日本の約十倍の大金で、しかも費用の大半は映画人の生活保障費にも当てられており、日本の映画人のようにコンビニバイトに励む副業で何とか糊口を凌ぐことなく脚本など映画の作業に専念する明るい環境が提供されている冴えた使い方と聴いたことがありますが昨今の事情を鑑みればおそらくそれも事実なのかもしれないと想う今夜ですニャ🐈何がクールJAPANや!オレたちの莫大な税金どこに使ったの?文化庁さま😑
一日も早い融和
「朝鮮半島で唯一の合法政府」を標榜する韓国にとって国連への加盟は悲願だったことと思いますし、ことアフリカでは出遅れていたこともあり、北朝鮮に対する競争心は、並大抵でなかったと思います。
その「敵愾心丸出し」(?)の真っ只中でも、呉越同舟の脱出作戦を展開できたのですから、同じ民族の血は、やはり争えないのではないでしょうか。
遠からぬ位置の国に住まう者として、一日も早い両国の融和·・統一が待たれると思わされた一本でした。
佳作であったと思います。
実際にあった話
ラストのカーチェイスは実際のエピソードでは無かったらしいが
本当の話ってのは凄い
北と南で同じ目標の為に連携するのは面白いですね
これは国交を良くする為とは別だと言いながら行うのが深いです
この絆を忘れはしない
さすが韓国映画らしい見応えあるポリティカル・サスペンスの力作であった。
自国の歴史や事件を題材に、社会派テーマとメッセージ性とエンタメ性が見事に融合。『タクシー運転手』もそうだが、韓国映画はこういう作品の作りが非常に巧い。ここが、韓国映画と日本映画の違い。日本映画もこういう作品を作らねばならない。
ちゃんと作品も大ヒット。韓国国内では2021年のNo.1ヒット。国内映画賞も受賞。米アカデミー賞国際長編映画賞の韓国代表作品にも選出。クオリティーも保証付き。
見て良かったと自信を持って思える作品だが、最初はなかなか取っ付き難い。劇中で説明はあるが、関わるそれぞれの国や背景など把握してから見るのがいいかもしれない。
多少予備知識を入れ、いざ話が始まると、後はもう一気に引き込まれる。
1991年、ソマリアの首都モガディシュに、韓国と北朝鮮の外交官がいた。
目的は、国連加盟。多くの投票権を持つアフリカ諸国で、ロビー活動に躍起になっていた。
そんな時、政府軍と反乱軍の内戦が勃発。巻き込まれた韓国と北朝鮮の大使たちは…。
ソマリアの内戦や事情を描いた作品には、『ブラックホーク・ダウン』や『キャプテン・フィリップス』などがある。
銃を持ったゲリラ兵たちが襲撃。中には少年兵も。
一刻も早く脱出しなければ命はない。
内戦やクーデターからの脱出劇も映画のジャンルの一つ。『アルゴ』や『クーデター』などなど。
それらを描きつつ、本作の中軸となっているのは、製作国ならではのテーマ。即ち、
韓国と北朝鮮。
言うまでもなく、かつて一つの国だった韓国と北朝鮮。
朝鮮戦争以降も緊迫した睨み合いは今も続く。
このモガディシュでのロビー活動でも火花バチバチ。相手を出し抜こうとしたり、妨害したり。
訳ありの歴史の韓国と北朝鮮。分かり合えたり、協力し合える筈がない。
が…
暴徒により北朝鮮の大使館が占拠。大使らは命からがら逃げ出すも、行き場が無い。
そこで助けを求めたのは、韓国大使館。
ロビー活動でピリピリムードの上、南の奴らに助けを求めるなんて、祖国に知られたら…。
だが、この現状、人の命には代えられない。子供もいる。
何も南と和解しようって言うんじゃない。隙あらば、利用すればいい。
それは韓国側も同じ。助ける義理など無い。
しかし、ここで助けるフリをすれば…。貸しにもなり、ロビー活動をする上で上手になるかもしれない。それに、北の奴らを転向させる事が出来たら…。
それぞれの思惑持って、韓国と北朝鮮が一つ屋根の下に…。
両大使は表面上は平静に接し合う。
が、若い参事官は何かと対立。
外は緊迫、中も険悪。こりゃ生きた心地がしない…。
そんな関係が少し緩和されたのが、夕食時。
韓国側が出した料理に当初は手を付けない北朝鮮側。食べ物の中に…警戒。
それを食べてみせる韓国大使。
安全だと知り、北朝鮮側も食べ始める。
同じ物を取ろうとして、気まずく譲り合ったり。
まだぎこちないけど、ひと時の和やかムード。
こんな機会は稀有。対話する両大使。
お互いに否や妨害した事などを認め合う。
両国の歴史、事情などを鑑みれば、仕方ない事かもしれない。
が、今は対立はいったん忘れて。何としても生き残り、脱出する。
脱出法を模索。それぞれ当てを探す。
韓国側に当てが。ケニアへの乗れる輸送機が見つかった。
が、乗れるのは韓国のみ。ケニアと北朝鮮は国交ナシ。
韓国大使は北朝鮮の人たちが転向したとして、承諾させる。
一方の北朝鮮側も当てを探していた。韓国の人たちと共に。
参事官はまだ不満気だが、両大使は…。
車を手配し、全員を乗せて空港に向かう。
道中あちこちに、暴徒や銃弾が飛び交う。
本などで車の防弾を強くしたとは言え、その中を行かなければならない。
おそらく、最大の危機…。
危険も覚悟で出発。
順調に進むが、白旗が仇となって銃撃。
銃撃の嵐と追撃。街中を突っ切る!
本作唯一のアクション・シーンはここぐらいなのだが、スリリングで臨場感あるカー・チェイスとなっており、きちんと見せ場を設ける作りが素晴らしい。
何とかイタリア大使館領域に逃げ込む。
助かったと思いきや、あの銃弾の中、遂に犠牲者が…。
当初はお互いの安全などどうでも良かった。相手を見殺しにしても、殺されても。我が国には関係ない。
が、異国での孤立無援の状況下。協力し合い、生死を共に。
もう他人事ではない。
この悲しみ、悔しさ…。
結果的には助かり、脱出にも成功し、ハッピーエンド。
しかし、この切なさは…。
別れ。
空港には両国のお偉方が出迎えている。
そんな場で、協力し合った事が知られたら、もってのほか。
我々の絆は知られてはならない。この機内まで。
機を一歩でも降りたら、全くの他人。睨み合う国同士。
両国の間には何も無かった。一切関わりも無かった。
機内で交わす両国の別れが切ない。
それぞれお偉方から問い詰められても、黙りを貫き通す。
両大使。車に乗る寸前、今一度振り向こうとするが…、思い留まる。
何かの縁で彼らがまた会う機会はあるのだろうか…?
ひょっとしたら、これっきり…。
我々だけが知っている。それを忘れはしない。
韓国と北朝鮮。
それぞれの歴史や事情で、今すぐは無理かもしれない。
が、こうして分かり合える人たちがいたのならば…。
国と国同士だって、きっと…。
いつの日かーーー。
ラストのカーチェイスから脱出まで、スリルとサスペンスが凄い盛り上がり!!
異常な盛り上がりを見せる政治アクションでした。
北朝鮮と南(韓国)が奇妙な協力を築いて特殊な脱出をする。
それをコメディとエンタメにしてしまう韓国映画の国際的水準に驚く。
アフリカのソマリアまで行ってもなお北朝鮮と南(韓国)が
つばぜり合いしてて、最終的には頼って来る・・・
韓国の人は北と言う厄介者を切り捨てられない・・・
そう言った心情も絡んで来て・・・
本当に複雑な味付けの脱出劇でした。
1990年アフリカの独裁国ソマリア。
12月30日にクーデターが起こる。
アメリカ大使館は即時撤退。
残された韓国などは、通信も遮断されて孤立してしまう。
なんとか脱出の方法を考えるうちに、北の大使たちが韓国を頼って現れる。
国連加盟のロビー活動をする両国。
北朝鮮は韓国に露骨な妨害工作を仕掛けて来る。
やる事が真逆で頼めた義理でない・・・そう思うが、北は頼んでくる。
本当に厄介な隣人。
大体に、冒頭のシーン。
韓国の大使フン(キム・ユンソク)がソマリア大統領への面会へ向かう車中。
暴漢が襲撃して来る。
拳銃を乱射して、土産物だけ盗んで逃げ去る。
ハン大使たちが走って大統領官邸に着くと、北朝鮮の大使たちが先を越して大統領と
面会しているではないか!
さっきの襲撃は北朝鮮の面会阻止のための妨害工作だと気付くのだが・・・
この件をみても北がマトモな国でない事は良く分かる。
それで勝手な時には頼って来るのだから、もう何をかいわんやなのだが、
フン大使は無下にも断れないのだ。
ソマリアのロケ地はモロッコだと聞く。
よくぞこの映像、この絵を撮ったと感心する。
セオリー通りとは言え、これだけの人員、セット、
軍の制服や武器、逃げ惑う国民。
そして何よりラストのカーチェイスですよ。
車に本を屋根から窓からボンネットまで貼りつける?
こんなの見たことない!!
本当にびっくりした!!
この猥雑と混淆と混合・・・韓国映画の面目躍如か!?
迫力が物凄かったです。
車は満員、運転手は大使、反乱軍はトラックで追いかけて来る、
銃を乱射する。
イタリア大使館の扉は開かない・・・
めちゃめちゃハラハラさせられた。
戦い終わって日が暮れて、
ケニアのモルバサ空港に到着。
ここでも北と南の複雑な立場が持ち上がる。
さっきまでは同志、しかしここからは独裁国と民主国家。
ハン大使の砂を噛むような複雑な表情がなんともこの映画に、
深みを与えていました。
邦画に無い絵と歴史を知る、結末は後感が良き
2022年劇場鑑賞47本目 良作 61点
正直各所の高評価に納得いっていない作品。
劇場にて上映前予告にて気になってはいて、まあまあそれなりには楽しめたけど、、、
まず言えるのが前半が起伏が無くて退屈で、後半は韓国お得意のカーアクションや登場人物の工夫などでそれなりには楽しめました。
でも今作で特筆すべきはやはり、実話がベースになっている点で両国の歴史は今作を知るまでは存じ上げなかったので、そういう意味では鑑賞して良かったかも。
恐らく当方今作の魅力にたどり着けていないだけで、掘れば出てくるタイプだと踏んでいるので、またの機会に鑑賞し直そうと思います。
コミカルな前半では後半に感情移入出来ない
マッドマックス怒りのデスロード以降、根強い人気のヴァイオレンスカーアクション映画。
本作は前半の政治ドラマから後半はカーアクションによる脱出劇へと変わる。
政治ドラマ部分は冒頭からコミカルな描写で、南北対立の緊迫感が非常に薄い印象だったが、そのぶん後半の協力関係に至るひと悶着の意味も薄くなってしまい、カーアクションの印象が強い作品になってしまった。
それなら政治的ストーリー部分はもっと削り、全編ドンパチやりながらのカーアクションがもっと観たかったのに!と観終わってから思った次第。
言うは易し、行うは難し
「1990年代初頭、国連加盟を目論みアフリカのソマリアでロビー活動に勤しむ南北の大使たちがクーデターに巻き込まれ、力を合わせて脱出するお話しを映像化したい」
普通は、このような企画を立ち上げようとしても、まずは却下。せいぜい、小説やマンガで実現させるのが関の山でしょう。
が然し、韓国映画は違います。モノの見事に実写化させます。それも大規模なロケーション、現地(モロッコ?)のアクターや、映像スタッフ達と連携を取って。
しかも、度肝を抜くような政治的サスペンスアクションに仕上がっています。こんな映像体験が出来るのだから、韓国映画から目が離せません。
一体、どうやって撮影したのか???の連続が続きます。VFXを効果的に多用して、説得力のある映像を創り上げているのでしょうが、素晴らしかったです。特別音響上映で観ましたが、それも相まって只々、圧倒されっ放しでした。
反乱軍や政府軍のカラシニコフがライフル弾の雨あられを撒き散らす中、脱出を試みる為にベンツを使用します。勿論、防弾装備等無い普通車です。(どうするのだろう?)すると、北の大使から驚くべき提言が……!!
もう、嘘でも何でもツッコミ入れる余地もなく、ぽか~んと口が半開き状態になりました!
兎に角、凄いものを観てしまったのですが、南北融和をテーマに据えている為に、創り手達がナーバスになったのだろうと推察しますが、ヒューマンドラマ的なエッセンスがやや、不足気味。
が然し、そんなマイナスポイントを補って余りある超一級のアクションサスペンス映画でした。絶品。
この映画の面白いところは、ソマリア内戦に巻き込まれた韓国と北朝鮮の大使館員たち、北と南の対立の感情を捨てて、協力し合うというところ
7月1日に公開される韓国映画「モガディシュ 脱出までの14日間」は、2021年度の同国の興行収入1位を記録した作品です。内戦下のソマリアを舞台に、大使館員の脱出劇を描いたアクション大作で、リュ・スンワン監督は「韓国の観客がたくさんの応援を送ってくれた結果です」とインタビューで語っていました。
首都圏以外の地方にも新型コロナウイルスの感染が拡大。1日の感染者が1000人以上に達し、過去最多を更新する日が増えていた。「そんな時に新作を映画館にかけるなんて、正気の沙汰ではない」という声もあったそうですが、「今誰かが率先して新作を公開しないと、映画館がつぶれてしまう、映画産業が崩壊してしまう」と、公開を決定。最終的に興行収入30億円を突破したのです。「私の勇気を、大勢の人が支持してくれました」この監督の男気を先ずは評価したいと思います。
この映画の面白いところは、ソマリア内戦に巻き込まれた韓国と北朝鮮の大使館員たち、北と南の対立の感情を捨てて、協力し合うというあり得ないと思う話なんですが、実は実話に基づいているというところの意外性です。
そして後半からの命懸けの脱出シーンの大迫力です。反政府軍からも、政府軍からも敵だと見なされ、激しい銃弾の雨あられをかいくぐるシーンは、手に汗を握る大迫力でした。そして脱出の窓口となってくれたイタリア大使館は、韓国のコネで何とか潜り込めることになりましたが、その時北朝鮮の大使館は方便で韓国に転向したことにしたのでした。なので、無事イタリア大使館に着いても、嘘がばれると強制退去となるかもしれません。最後までどうなるか全く予測不明でストーリーがグイグイ進んでいくところが本作の魅力です。
物語は1990年、ソマリアの首都モガディシュ。韓国の駐ソマリア大使ハンは国連への加盟を目指す韓国政府の命を受けて、多数の投票権を持つアフリカ諸国へのロビー活動に励んでいました。だが時を同じくして、北朝鮮の駐ソマリア大使リムも国連加盟を目指す政府のためにアフリカ諸国へのロビー活動に奔走しており、両国間の妨害工作や情報操作はエスカレートしていくのです。
そんなある日、現政権に不満を持つ反乱軍による内戦が勃発。たちまちモガディシュの街は大混乱に陥り、各国の大使館は略奪や焼き討ちにあい、ついにリムは暴徒の襲撃を受けて追い出されてしまうことに。
その時リムが思いついたのは、韓国大使館に助けを求めるという禁じ手でだったのです。
本作のヒットには、当時の世界情勢も影響したようです。
映画は、韓国、北朝鮮の大使館員らが協力して、ソマリアの首都から脱出した1991年の実話を基にしている。一方、公開直後の21年8月下旬、韓国政府は、米軍の撤収で情勢が悪化するアフガニスタンからの避難民を受け入れました。彼らは韓国大使館などで働いてた人々でした。「アフガンからの避難作戦と30年前の脱出劇が重なるところがあり、映画に関心を寄せる人も多かった」とリュ監督は語ります。
もちろん、今年のアカデミー賞の国際長編映画賞部門の韓国代表に選ばれるなど、映 画の内容も充実していました。特に、モロッコでのロケ撮影が素晴らしい効果を上げていると思います。「映画を作るのに一番理想的なのは、実際に事件が起きた空間で撮影すること。ソマリアには渡航できませんでしたが、街並みが似ているモロッコの海辺の町で撮影することになりました。モロッコで、ハリウッド映画の撮影にかかわったことがある、有能な現地スタッフの協力も大きかったようです。その結果反乱軍の兵士や避難民など、大勢のエキストラが登場し、迫力満点の演技をみせてくれています。
リュ監督は、端役まで含めて、数百人いたエキストラを一人一人キャスティングしたそうです。撮影には半年かかったそうですが、数百人ものエキストラ一人ひとりに演技を付けて、迫力ある脱出シーンの描いたことは、助監督を始めとするスタッフが大変な努力だったことでしょう。
仕事に手を抜かない映画人の奮闘が、韓国映画の勢いを支え続けていると思います。その充実ぶりはうらやましいほどですが、「日本映画も個性的な映画が作られていますよね。『カメラを止めるな!』は感動を伝えてくれたし、濱口竜介監督の映画もあります。日本、韓国両国の映画が相互作用し、』健全な影響を与え合って、成長していくといいと思っています」とリュ監督は語ってくれたようです。
韓国と北朝鮮の人々が織りなす緊迫した人間ドラマと、凄まじいスペクタクルが見事に融合した一作
国家間関係としては依然として緊張関係にある韓国と北朝鮮ですが、両国の国民が理解し合える機会は果たして訪れるのか、というテーマは、これまでも多くの作品で描かれてきました。大ヒットしたドラマ『愛の不時着』はその代表作の一つですが、近年では『工作 黒金星と呼ばれた男』(2018)などの傑作も制作されています。本作もまた、韓国と北朝鮮の問題を扱った映画としては今後間違いなく作品名が上がるであろう傑作となっています。
互いに弱さと猜疑心を抱えた両国の大使館職員(とその家族)が、対立感情を乗り越えて難局に打ち克とうと奮闘する描写は、しばしば予想通りの部分を含んでもいましたが、彼らを取り巻く状況の緊迫感が余りにも高いため、むしろこうしたお約束展開が一服の清涼剤になっています。緊迫感の緩急の付け方が絶妙で、リュ・スンワン監督の演出力が冴え渡っています。
後半には果たしてどうやって撮影したのかと仰天するような映像も含んでいて、本作が堅い政治ドラマではないかと懸念している人でも、決して退屈させない、娯楽作品としても超一級の仕上がりとなっています。裏返せば重厚な人間関係を期待して、動きのあるアクションが苦手な人にとってはちょっと意外な内容かも知れません。
主人公達が巻き込まれたソマリア内戦の混乱状況は、『ブラックホーク・ダウン』(2001)でも描かれていましたが、そこではソマリアの人々(民兵を含む)がゾンビのような扱いを受けていました。一方本作では、何人かの登場人物に絞られてはいるものの、ちゃんと生活背景のある人々として描いているところも良かったです。韓国・北朝鮮問題やソマリア内戦について知識がなくても楽しめる作品となっていますが、それらについて少し事情を予習しておくと、さらに本作を楽しめること間違いなしです。
ひとことReview!
緊張感とカー・アクションのシーンが半端じゃない。韓国からまたしても神作が登場。人口とGDPが日本の半分以下なのに、なぜ日本映画を越えるくらいのクオリティに仕上がるのか。疑わしい所はあるのだが、邦画界は「忖度」をブッタ斬り、韓国映画を凌駕するような映画作りをしなければ、世界から取り残される。
シリアスなソマリア紛争をハリウッド的作品╋韓国風で味付け
新感線以来の韓国映画館でした(netでは見てます)。ソマリア紛争はニュースなどで当時知っていましたがこの事件は報道されたのかどうか知りませんでした。この作品は従来からの韓国お得意の北朝鮮との狭間に起きた事件事故に、人間ドラマを加えた展開に、ソマリア紛争(時事)を入れたハリウッド映画のようなワールドワイドなスペクタル作品になりました。見所は、双方の大使館員内部の家族と外部との連絡不通時の行動(大使館員内の情報員との対処方の違い、国の方針と双方国の不信感、双方の家族の人間ドラマ)╋ソマリア紛争激化でのゲリラ戦場内からの生存をかけた刻々と迫りくる限られた時間に、現地体制側反体制側、信頼できない現地警察、各国大使館の閉鎖状況での内での脱出・・・。つい最近日本でも報道があった日本人のアフガニスタンの脱出遅れ。日本政府も自衛隊も、時すでに遅しで、自衛隊機に一人の日本人しか救出できなかった事件、思い起こしました。
韓国映画、物量(エキストラ、弾薬、装甲車、)などの制作資金がCG(人、爆発)の多くなったハリウッド映画と違い、かなりのものです。
このジャンルでは、素晴らしい作品創りますね。
★Digital5.1観賞
★音圧 ◎
★重低音 ◎
★分離度 ◎
★移動音 ◎
★サラウンド ◎
エンドロールによると、Dolby-atoms、IMAX、記載。
韓国映画は音声分野は日本映画より最新の物を取り入れたり、4DX,SCREEN-Xなど開発している会社として発展が、残念ながら日本国内ではそれらで公開されていないようです。この作品Digital5.1chながら、ハリウッド互角の音作り表現に、ドラマ部門も仕上がっていました。
敵も味方もない国で敵国同士が味方になる話
1990年、韓国と北朝鮮は国連加盟を目指し、アフリカ諸国との外交を競っていた。
そんな中、ソマリアで政府に不満を持つ国民によって内戦が勃発。
ソマリア政府と親密だった各国の大使館は次々と反乱軍に狙われる。
そして、韓国と北朝鮮の大使館も狙われることとなり、互いに協力せざるを得なくなるのだが…
韓国と北朝鮮。
決して交わってはいけないこの2つの国が国境を超えて繋がった実話は幾つもある。
そして、それらは映画化されて名作となってきた。
本作も実話が元となっており、間違いなく名作だ。
この両国の物語がソマリアという遠く離れたアフリカの地で繰り広げられているというのもなかなか興味深い。
遠い異国の話のように思うが、ソマリアの人々の中にアジアや欧米の大使がいることで他人事として割り切れないような生々しさがある。
この映画が韓国映画だったからこそ、より身近に感じることが出来たのだと思う。
映画の前半は両者の対立、後半は両者の絆が描かれる。
はじめは妨害工作によって完全に敵対している韓国と北朝鮮だが、内戦という異例の事態に両国が手を取り合う異例の事態が起きる。
そして、やはり1番の見どころは物語のクライマックスとなる脱出シーンの緊迫感とその後の悲壮感。
脱出の行方はネタバレになるので記述を控えるが、あのカーアクションはハリウッドレベル。
敵も味方もない地獄を抜け出す緊迫感と決して交わってはいけない関係だからこその切ない運命を是非多くの人に観てもらいたい。
興奮と感動が同時に押し寄せる、ドラマ的にもアクション的にもここまで完成された作品はかなり久しぶりに感じた。
最後に一番印象的だったシーン。
ソマリアの子供たちが、怯える北朝鮮の同い年くらいの子供たちに銃を向けて大笑いしているシーン。
勿論、子供だけではなく北朝鮮大使の家族たち全員に向けていたわけだが、全く同じ人間同じ年齢の子供なのにこうまでして違う存在になり得るのかと色々考えさせられた衝撃的なシーンだった。
〈余談〉
最近の鑑賞映画の制作国が、
↓
🇯🇵→🇯🇵→🇯🇵→🇯🇵→🇰🇷→🇯🇵→🇯🇵→🇯🇵→🇹🇼→🇹🇭(🇰🇷)→🇰🇷
と、完全にアジア周回ルートだったが、またもや韓国映画を観てしまった…
いい加減アジアから“脱出”したいので、次はバズ・ライトイヤー辺りで宇宙進出を図るつもりだけど、行けるかな…
ソマリアでの4~5日間。
くらいにしか見えませんでしたけどw
脱出までの14日間?14?
イヤー、デモから内戦勃発して脱出まで。4日間くらいにしか見えへんかったw
分断された南北朝鮮の間に架かる、ひと時の架け橋、的な映画と言えば「黒金星」が記憶に残ってます。南北モノはヒットするってのは、統一への願望なのか、心理的な対立が続いている事の象徴なのか、良く分かりませんが、物語り的には盛り上がるモンがあることは確かです。
なんとか辿り着いたケニアの空港には、各々の迎えの制服組の集団。北朝鮮、国交ないんじゃなかったっけ...って言うツッコミは無しにして。
振り返る事なく、互いを一顧だにせず、各々の場所へ帰って行く人々。
平壌に子供1人を人質に取られてると言う、大使館員。
あー、北朝鮮の場合、帰ってからの方が怖かったりして....
韓国大使館からイタリア大使館までの移動、イタリア大使館前でのにらみ合い等々は、派手派手演出で韓国映画らしさ爆発。は良いとしても、ちょっとやり過ぎ感があり、手に汗握るエンタメ作品、になってしまってる様に見えてしまいました。と言うか、そう言う狙いなんでしょうけど。
ちなみに、AK-47は北朝鮮でも韓国でも製造されていました。北朝鮮はAK47派生のAK74も製造しています。ついでに更に言うと、オウム真理教は、このAK74を密造しており、その全てが没収された保証は無い、って噂されてます。もっともっと言うと、ソマリアは、今、中東・アフリカに武器を運び込む中継地と見られており、昨年は立て続けに武器満載の不審船が摘発されています。どこから来る船なのか、どこから運び込まれる武器なのかについての報道はありませんし、船舶の多くは武器没収後に解放されてしまいます。船ですからねぇ....ロシアは、わざわざそんなことしないよねぇ....C国か、NKか、だろうねぇ。って、みんな思ってます。
さてさて、38度線上の所謂「板門店」には韓国軍を中心とした国連軍が駐留しています。wikiによると「国連軍と北朝鮮軍の停戦協定にもとづく」となってますが、停戦協定に韓国は参加していないため、北朝鮮と韓国の二国間関係は「戦争中」。韓国は国連軍の停戦協定に「タダ乗り」している状態。これが北朝鮮側からみれば腹立たしい訳です。
と言う状況にも関らず、板門店の観光訪問は、北朝鮮側からも韓国側からも可能らしく。停戦にはタダ乗りしながら、観光地にして金儲けはする韓国。負けじと外国人観光客ツアーに板門店を組み入れる北朝鮮。たいした根性だよ、全くw
今月4日、ナンシー・ぺロス米下院議長が板門店を視察。韓国大統領は「休暇中」を理由にロペスとの直接面談をせず。またまた、新大統領もハッキリしない方みたいですね。南北統一も関係改善の進展も、この大統領の間は期待できそうにないなぁ、って思いました。
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