オマージュ

劇場公開日:

オマージュ

解説

映画の修復プロジェクトに携わることになった女性映画監督が、フィルムの修復作業を通して自分の人生と向き合い、新たな一歩を踏み出す姿を描いた韓国の人間ドラマ。

ヒット作に恵まれず、新作を撮る目処が立たない映画監督の女性ジワンは、60年代に活動した女性監督ホン・ジェウォンが残した映画「女判事」の修復プロジェクトの仕事を引き受ける。作業を進めているとフィルムの一部が失われていることがわかり、ジワンはホン監督の家族や関係者を訪ね、失われたフィルムの真相を探っていく。その過程で彼女は、今よりもずっと女性が活躍することが困難だった時代の真実を知り、フィルムの修復が進むにつれて自分自身の人生も見つめ直していくことになる。

主人公ジワン役は、「パラサイト 半地下の家族」で高台の豪邸に暮らす社長一家の家政婦を演じたイ・ジョンウン。共演に「あなたの顔の前に」のクォン・ヘヒョ、「愛の不時着」のタン・ジュンサンら。2021年・第34回東京国際映画祭コンペティション部門出品。

2021年製作/108分/G/韓国
原題:Hommage
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2023年3月10日

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(C)2021 JUNE FILM All Rights Reserved.

映画レビュー

5.0埋もれた映画を掘り起こす大切さ

2023年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ヒット作に恵まれずにいる現代の女性監督が、60年代の韓国の女性監督ホン・ジェウォンの幻のフィルムの欠落した音声を吹き替える仕事を得る。「女判事」という題名のその映画は、どうも一部フィルムも欠損しているようで、主人公はその幻のフィルムを求める旅へと出る。
知られざる女性監督の仕事を掘り起こす現代の女性監督が、失われたフィルムを求める。フィルムは記録媒体だが、残らなければ意味がない。なぜ、この監督のフィルムは失われたのか、当時の女性映画スタッフの苦難がその背景にあり、その想いがフィルムには焼き付けられていたはず。そんな想いを当時を知るスタッフを訪ね歩いて主人公が拾い上げていく。
閉館間近の映画館のシーンが素晴らしい、天井に穴が開いていて光が差し込んでしまっているのだけど、それが大変美しい光景だった。そんな古ぼけた劇場にフィルムが残っているのだが、残され方が素晴らしいというか、「そんなことがあるんだな」となんだか夢心地になった。
映画は記録であり、なおかつ幻想でもある。いろんな理不尽がありながら、映画には人を魅了する力がある、その本質の一端を見せてくれる作品。

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杉本穂高

4.0映画を愛する人への“オマージュ”に溢れている

2023年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

 世界を席巻したポン・ジュノ監督「パラサイト 半地下の家族」(2019)で、高台の豪邸に暮らす社長一家の家政婦を演じ、強烈なインパクトを残したイ・ジョンウンが、中年に差し掛かり、心と体の変化、夢と現実に苦しみながら人生と向き合っていく映画監督ジワンを繊細に演じ、失われたフィルムを探す旅に一緒に連れて行ってくれる。

 またジワンの夫を、ホン・サンス監督作品の常連俳優であるクォン・ヘヒョが演じ、ドラマ「愛の不時着」のタン・ジュンサンが息子役で共演。シン・スウォン監督はこの俳優たちを得て、現在と過去、女性たちが時代を超えて連帯していく物語へと昇華した。かつて輝きながら時代に翻弄されて消えていった者たちへ、そして映画を愛する人への“オマージュ”が見る者の心を優しく包み込む。

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和田隆

3.5落ち込んでるヒマはない、ポジティブな主人公

2024年2月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

正直過ぎるナマイキな堕落息子。
全く協力的でないクズ夫。
そんな恵まれて無いと感じる映画監督の主人公だが、なんか本人はそこまで落ち込んでない様に感じる。
母親として、妻として、映画業界人としてポジティブに生きるしかないのだろう。落ち込んでる場合じゃない。
そんな仕事も上手くいってない主人公の周りの仕事関係者や新たに知り合う方々は逆にいい人が多い。「自殺大国日本」の人に見て欲しい一本かも。
今はフィルム上映からDCP(Digital Cinema Package)上映になったが、昔のフィルムを探す話は今でも出来る。しかしフィルムを上映するとなると今は難しくエリセの『瞳をとじて』(2023)の様に近くに廃業したばかりの映画館が都合良く出てくるという設定は今後難しくなるのだろうか?映写機があっても映写技師がいなくなる。
関係ないが珈琲好きな私は生卵を入れる勇気はまだ無い。

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ナイン・わんわん

4.0どうなんだろう。今は。

2024年2月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

<映画のことば>
「ホン監督はなぜ娘のことを内緒に?」
「娘がいると知れたら監督の話は来なかったかも。私は昔、映画会社の代表に言われた。映画より家事に専念しろと。」
「ひどいですね。ぶん殴ればよかったのに。」

失われたフィルムの復元に賭けるうちに、自分自身を、いわば取り戻していくジワン監督の姿が、とてもとても、とても素敵な一本でした。評論子には。

今ではどうということはない「あること」を女性がしていたというだけで、検閲ではカットの対象になっていたということですよね。
(ちなみに、評論子が住む都道府県では、女性が「このこと」をしている割合が、全国的にもトップクラスのようではありますけれども。)

また、この映画のヒロインが判事(裁判官)という設定も、この作中の映画が製作されたという時点では、時代の最先端という設定の斬新な、先取的な作品だったのかも知れません(それだけに、余計に厳しい検閲を受けた?)
少なくとも、当時は女性がふつうに就く職業ではなかったと推察します。評論子は。

「女性の地位向上」が言われる昨今ですし、評論子の職場でも「女性が管理職員に占める割合が◯◯%になった」などと喧伝されてはいるのですけれども。
果たして、令和の今の実相は、どうなのでしょうか。本当のところは。

いずれ、秀作としての評価に値する一本だったと思います。評論子は。

<映画のことば>
あなたは、生き残りなさい。

(追記)
まったくの余談ですが…。
ジワン監督の最新作『幽霊人間』は、タイトルからして、まず売れそうにないなぁ、と思ったのは、おそらく、評論子だけではなかったかと思います。(笑)

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talkie
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