ニトラム NITRAMのレビュー・感想・評価
全17件を表示
そこまで興味を失える心境とは
何かの作品の監督が言っていた。実際に起こったことは分からないが、少し調べれば真実は分かるし、観た人に知ってもらうことが大切だと。
やはり実際の事件を元にした作品で、詳しい内容は脚色されているものだった。
この作品についても似たようなことが言えるのではないかと思う。肝心なのは事件の存在とオーストラリアにおける銃の規制についてなのだから。
つまり、内容が正しいかどうかなどどうでもいいのである。なぜなら、私は鑑賞後にまんまと事件について調べてしまったから。
主人公の境遇について脚色されていると分かった上でも、映画として中々興味深いと思える点がある。それは主人公の母親だ。
彼女は主人公に対して過剰に冷たい。自分とは無関係の知らない人扱いに見える。あまりの冷たさに本当の母親ではなく継母か何かかと思っていたくらい。
しかし実際は血の繋がった母と息子であったのだ。
確かに主人公には問題行動もあり、知能障害で、優秀とは言い難い。それでも、全くといっていいほど愛情を注がない姿は異様だ。
主人公とヘレンの関係は、母親の愛情を求めたものに見えた。明らかに主人公には母親からの愛情が足りていなかったから。
これが最初から母親がいなかったのなら話は違ったかもしれない。存在しているのに存在していないかのような関係が悪影響を与えている気がした。
そして、自分に愛情を注ぎ支えてくれる父と疑似母の二人を失った主人公の心境を推しはかるのは難しい。なぜならば、主人公にはその2人しかまともに向き合ってくれる人がいなかったのだから。
もちろん、だからといって事件を起こしたことを擁護できるわけではない。
幼少期に花火で火傷を負い、それでも恐れは感じなかった主人公。彼が恐れていたことは自分が身体的に傷ついてしまうことではなく、一人になってしまうことだったのかもしれない。
だからこそ、他人よりも冷たく見える母親の存在が不気味で興味深く思える。母親のちょっとした支えだけで主人公は全く違う人物になれただろうから。
エンディング、事件のニュースが流れている中で、興味がない、自分とは関係ないと言わんばかりに、外で煙草を吸う母親の姿は、とても恐ろしいものに見えた。
彼女にとっては、最初からずっと主人公がモンスターに見えていたのかもしれない。
無敵の人
何もかも失うと正気も失うんやなと。何の罪もない人たちやのにどうしてそういう思考になるのか全く理解できない。
家を買った人たちやってきちんとした手続きを踏んでいるのに殺される理由がわからん。あの恋愛相手やって、殺したの自分やのに寝てたって自己保身のために嘘つくし、ほんま最低なやつやなっていう感想しか出てこない。日本の無敵なやつも銃があったらもっと凶悪事件が発生しているやろうなと思った。両親の責任でもあるのかなあ。どこで止められたんやろう…
観ていてつらいです。
主人公はご近所からは疎まれ、家にも安らぎを感じられず、恋人も友人も仲間もいない、仕事も無い生活を二十数年間続けています。決して自分で殻に閉じこもっているわけではなく、寧ろ積極的に人とコミュニケーションを取ろうとしますが全く嚙み合わず逆に周りからは小馬鹿にされる日々です。彼が数日おきに気分が落ち込むというのも理解できます。自分を愛せない気持ち、自分が自分であることを嫌悪する気持ちが事あるごとに湧き上がってくるのでしょう。唯一の理解者であるヘレンも彼自身が原因の事故でこの世を去ってしまいます。自分に甘かった父も世界に失望して自死し、時を後にして銃乱射事件がTVで大きく報道されます。手元に銃とカメラがあること。自分自身の頑張りは疾うに限界であること。このまま空回りし続けても状況は良くならないこと。きっといろんな思考が彼の頭の中を渦巻いていたのでしょう。家を綺麗に掃除し、飼ってた犬を解放し、銃とビデオカメラを鞄に入れ彼は立ち上がります。
ポートアーサー事件
1996年オーストラリアのタスマニア島ポートアーサーで起きた銃乱射事件の犯人が主人公
この事件のことについて知らなかった。
死者35人、負傷者15人出したそう。
この映画では二トラム(ニト≒シラミ)と呼ばれ虐められてきたマーティンが、如何にして大虐殺を起こしたのかを説明するように周りとの交流を描いている。
実際の動機は不明らしい。
だから何がマーティンの事件のきっかけになったのかは定かではない。この映画では原因になり得そうなことが淡々と描かれている。
例えば冷たい両親、憧れのサーファーとの距離感、親より年上の女性との交流、その死などなど。
無免許でもライフルは買えるということにも驚いた。
この時間をきっかけにオーストラリアでは銃規制が厳しくなったらしいが今も普通に所持している人が多いらしい。
去年オーストラリア行ったが、そんな気配全くなかった、、。先にこの映画見てたらちょっと意識してしまっていたかも。
また、肝心の事件についてはほとんど描かれておらず銃の音だけ出終わった。
だからそこ目的の人には合わないと思う。
この映画は鬱になるって評判聞いてから見たから、そこまでだった。特に起伏もなくずっと暗いのが続く。
冥福を祈ります。
この映画では亊の真実が分からない。彼がなぜ犯行に及んだか全く分からない。
勿論、彼に銃を勧める銃砲店の店主の異常さは伝わる。また、行政を含めた社会全体が彼ら(母親、父親、事故でなくなった女性)に無関心な亊にも原因がある事はこの映画で理解出来る。しかし、肝心で重大な事実がまだ隠されていると感じた。
なぜなら、こう言った乱射事件は大概自殺願望が伴うと思う。しかし、現在の彼は終身刑で服役していると言う。つまり、自殺をしていないと言う事だ。それは、この映画で犯行の動機を説明していないと言う事につながると思う。さて、
ネットでは騒がれているが、他に理由があるようだ。完全にそれを信用する訳では無いが。しかし、、、これ以上書くと消されるのでこのくらいにしておく。
だかしかし、この犯罪に及んだ理由を明確にすべきだと感じる。
そしてそれは、オーストラリアから銃が無くなっていない理由になるのかも知れない。
それにしても一番悪いのは
レンタル110
公開当時少し興味があったがスクリーン鑑賞には至らず
いわゆる実録モノ
主人公は知的障害者だったのだろうが
金持ち女性の事故とか
大量殺人に至る動機は読み解けなかった
いくつかのポイントとなるエピソードが置かれていて
示唆されているもののスッキリしない
例えは本作のタイトルになっている
名前のスペルをひっくり返して呼ばれていて
本人が嫌がっていたエピソード
一見それらしいがそうでもないような
可哀想な境遇の主人公が社会に復讐するために
無差別殺人に至るという八つ墓村的な分かりやすさはない
事実は単純でないし訳がわからないということか
冒頭の主人公の子ども時代の火遊びエピソードは
後の銃への執着とつながりを感じた
それにしても一番悪いのは
売上欲しさに超テキトーに大量に銃を売った店だ
免許を確認するとか ルールには理由がある
それを怠ってはいけない みんなちゃんと仕事しよう
オラも
胸糞悪すぎる
気分を下げたい時に見る映画
犬かわいい
猫かわいい
母の「あなたの言ってることはわからない」悲しい
銃乱射のシーンないのが逆に残酷
言うたら
リアルジョーカー
無敵の人になるまで
闇が強すぎて閲覧注意
主人公の無力感半端ない
父親もつらい
10年前の自分がこの映画を見ていたら、意味がわからない。ただただ主人公が怖い。と言った感想を持っていたと思う
じりじりと緊迫感に包まれて
主人公を演じた人、うまいですねえ。肉がだぶついた大きな子供。いつ、どんなことするかわからない感じでヒヤヒヤ。でも、時折見せる優しさにちょっとほっとしたり。
1996年、実際にオーストラリアのタスマニア島で起こった銃乱射事件がベースになっている、というのは映画を見てからわかったのですが、残忍な事件そのものを描いた映画ではありません。
主人公マーチン(二トラム)の事件に至るまでの日常生活と心理描写が繊細に語られていき、観る人に<想像させてしまう>映画といってもいいかもしれません。エンディングでは銃規制のことがテロップで淡々と流れます。しかし、「銃規制」という社会問題だけを扱ったものではなく、やはり、主人公の周囲の環境やら持って生まれた性質など、いろんなものをイヤでも考えさせられて、緊張感に飲まれながらラストへと導かれていきます。
親の育て方が悪かったか?
私にはそうは見えませんでした。オープニングで花火で火傷をしたところをインタビューされる、小学生?のときの主人公が登場するところからして、幼少の時から、両親は苦悩の連続だったと思います。母親はクールで威圧的な感じはしますが、深い葛藤もあったでしょうに。父親だって自分のこと以上にマーチンのことが気がかりで、母親が追い詰める分、優しく(甘く)接するしかなかったでしょうに。
若くはない女性ヘレン、存在感がすごくミステリアス感たっぷり。ヘレンがマーチンのことを「おもしろいし、心がやさしい」(という表現だったかな?)と認めているので、マーチンも素直でうれしそう。マーチンがパンツ一丁でヘレンのベッドに飛び込んで、はしゃぐシーンが印象的。マーチンにとって、一時の心のオアシスだったのかも。
もちろん、銃乱射したマーチンは悪いのですが、誰が悪い、あれがいけなかった、ああすればよかった、などと、答えは出ないですね。それをうまく感じさせてくれる映画です。哀しさ、虚しさ、やりきれなさをたっぷり感じてしまいますが。
よかった
映像の空気が古くて60年代か70年代の雰囲気なのだが、96年の物語で、え?と思う。
主人公がとんでもない疫病神なのだけど、ビデオ屋や蔦屋によくいるタイプで心配になる。主人公もよくないし、両親もよくないし、武器屋も悪い。ありとあらゆる要素が負の方向にドライブしていく。親切なおばさんも結果的にとてもよくなかった。もたらされた経済でモンスターとなってしまう。
子ども部屋おじさんでニートで童貞映画でもあった。殺人シーンははしょられている。
銃が無ければ乱射事件は起きようが無い。とは言うものの。
AR-15やBenelli M1014が、許可証も無くアッサリと市中で買えてしまう恐ろしさ。ガンは売れないと言いながら、密売屋からコルト・パイソンまで手に入れてしまうし。
銃乱射事件後、一時的な増税で原資を捻出したオーストラリア政府が回収した銃器は64万丁。未登録銃の保持は、当時のレートで最大2,640万円の罰金、14年の懲役と厳罰化しましたが、数年で規制前のレベルを超えました。
理由は簡単。登録さえすれば良いんで。一旦、銃社会になってしまうと、後戻りする事の難しさを教えてくれます。
映画本編は、終始不穏と恐怖を抱く描写の連続。軽い知的障害と鬱を抱え、予測不能な行動を取り、時に暴力的になるニトラムへの怖さが付き纏います。
父親にプレゼントされたエアガンが好きなニトラムは、知り合いの好意を得る目的で銃を買い、手渡そうとしますが拒否されてしまう。ヘレンと父親とを立て続けに喪くし孤独に苛まれる日々にダメ押し。TVのニュースで見た銃乱射事件に触発され、模倣するつもりになったのか、更には銃を買い足し弾丸も揃えて、凶行に及ぶ。ヘレンから贈られた50万ドルも、最後には使い果たしていた様です。
狂っていると言えば、その通り。ニトラムを止められなかった責任が誰かにあるのか。考えても、詮無い話であり。
市中に銃がある限り、悲劇は繰り返されるであろうよ。ってのが、映画の結論。
日本じゃ、包丁による切り付け事件・大量殺人も起きてますから、銃社会特有の問題でもないよ、ってのはあるにせよ。現実的には、結局は銃対策しても、程度問題にしかならないよ、って事に帰着してしまう。
怖かった。
下手なホラーより、遥かに。
【男は何故、凶行に走ったのか。忌まわしき事件を基に、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズが破滅の道を辿る男を繊細に演じている。観る側に”現代社会と、当時と何が違うのか”と重い問いかけをする作品でもある】
ー ケイレブ・ランドリー・ジョーンズは「バリー・シール/アメリカ」でヨレヨレの薬物中毒者を演じる姿を見てから、ほぼ観ている。
役柄は、大体がオカシナ男である。が、時に善性を持った男を演じる時もあった。「ニューヨーク 親切なロシア料理店」や「アウトポスト」などである。
私の中では、彼は名脇役という存在であった。
その彼が満を持しての主役である。
今作が、オーストラリアで1996年4月に起きた28歳の男による、無差別銃乱射事件(死者35人、負傷者23人)を基にした映画という部分が気になったが、同国出身のジャスティン・カーゼル監督の”劇中で二トラムが、簡単に銃を手に入れる最も不安なシーンを見て、世界中の人々に現状の危険を感じた貰いたかった。”と言うコメントを見て劇場へ足を運んだ。
監督曰く、”現地では、まだ傷は生々しく、話す事はタブー”とされているほど、凄惨な事件であったらしい。-
◆感想
・冒頭、ニトラムの少年時代、火遊びで火傷を負って、病院でインタビューを受けるシーンから映画は始まる。
- 彼の言葉を聞いていると、元々社会的不適合者の素質が内在している事が分かる。因みにニトラムという妙な名前は犯人である「MARTIN」の逆さま読みである。オープニングロールで題名が出た時に、もしかしたら・・、と思ったのが当たっていた。-
・成長したニトラムは職に就くわけでもなく、家でぶらぶらしている。自身の力で生きる事を望む父(けれども、内面は脆い)と、放任主義だが厳しき母との間で生きる。
- 彼は、両親の狭間で不通に生きる事に、悩み、苦しみ、苛立ちを感じている様を、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズが、絶妙に演じている。汚い服を脱げと言われたら、パンツ一枚で食卓に着いたり・・。-
・サーフボードが欲しくて、知らない家に行き芝刈りを申し出る二トラム。訝しげだが、孤独な金持ちの中年女性ヘレン(エッシー・デイビス)は、彼に芝を刈らせ、二人は距離を縮めていく。男女の関係ではないが、ヘレンは二トラムに新車を買い与え、二トラムも”大嫌いな”実家を出てヘレンの家に住み始める。
- 母親の言葉”いなくなって、せいせいしたわ・・。でも、すぐに戻って来るでしょう。”-
・二トラムとヘレンが新車で旅行に出るシーン。いつもの悪戯で二トラムがヘレンが運転する車のハンドルを横から動かし、車は前から来たトラックを避けるために横転。
- 病院で、目を覚ましたニトラム。ヘレンは亡くなった・・、と聞き・・。このときの二トラムの虚無的な表情。彼を真に愛する人間はこの世から消えたのである。
莫大な資産を彼に残して・・。-
・二トラムの父が、長年求めていた平屋の家。だが、父が購入資金を得る前に、家は売却されていた。落ち込む父。そんな父を二トラムは激しく殴打する。
- そして、夢破れた父は自死する。二トラムの性癖は両親から引き継がれている事が分かる。破滅的で、精神的に脆く、そして人には厳しく冷たい。ー
■恐ろしきシーン
・ニトラムが銃販売店で、ライフル銃やショットガンを購入するシーン。免許がなくても買えるライフル。店の地下の膨大な銃の数々・・。
ー エンドロールで流れるが、凄惨な事件の後、オーストラリアでは銃規制が本格化した。だが、実際には銃の数は増えている・・。-
<二トラムが海辺のリゾート地を訪れ、デザートとジュースを飲んだ後、彼は銃を持って立ち上がり・・。凄惨なシーンは敢えて描かれず、母親がぼんやりとタバコを吸うシーンで、TVから凶行のニュースが流れる。
今作は、既に記した通り、ジャスティン・カーゼル監督の製作意図が明確であり、映す事は許されないシーンは敢えて映さず、一人の人間関係性から孤立した男が凶行に至る過程を、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズが、怪演と言っても良い見事な演技で観る側に”今の社会と、当時と何が違うのか・・”と重い問いを投げかけてくる作品である。>
他者への憎悪、自己嫌悪、親からの見えない抑圧の果てに起きた爆発
悲しみに満ちた物語だった。人間という生き物は、欲望が満たされないと欲求不満状態になるが、その極限まで到達したのが、この映画の主人公の状態だったのではないか。
母親からつねに抑圧を受けていたマーティン。家庭でも学校でも、街のあちこちでも、彼は自分の存在価値やありのままを認めてもらえない。それどころか変な目や嫌悪の目を向けられる。
「ちょっとおかしな」彼は、まわりからいつもそういう風に見られていることがわかっている。そして、そういう目を向けられた時「おれはここにいるよ、生きているよ」とばかりに花火や爆音でアピールする。
そんな、「面白くない生活、人生」の中で出会った近くの住人ヘレン。彼女は「それだけはだめ」という線引き(銃を向けること)はするが、おおかたのことは許容する広い心と見識を持つ人物。
マーティンにはそれがわかるから、心を開き、慕い、甘える。
しかし、そのヘレンが自分のせいでこの世からいなくなる。
その、どうしようもない、やり場のない気持ち、感情からマーティンは徐々に壊れてゆく。
ここからが本当にやるせない。ヘレンが居なくなってから、程なくして今度は、夢を奪われた父親がうつ状態になり、自殺する。母と違って、父親はマーティンの良き理解者で、弱さを分かり合える存在だった。その父まで自分のそばからいなくなり、自分が「こうなりたい、こうありたい」という自分からどんどん乖離することへのジレンマが始まる。そうして、さらに自己嫌悪が増大していく。
「僕が僕の好きな僕になれないんだ」(具体的な台詞は忘れたが、こういう意味の言葉を彼は言う)と涙を流しながらそう呟くマーティンの姿は、本当に悲しい。大切な人がいなくなり、圧倒的な孤独に苛まれているからだ。
その孤独や抑圧、どうにもならない苛立ちや欲求不満(物心ついたから承認欲求はおそらく一度も満たされたことはないだろう)は、銃を持つことで文字通り外からも(心の)中からも武装してモチベーションが創り上げられ、爆発。かくして、オーストラリア最悪の銃乱射事件が起こる。
一方、母はどうしてもそれが理解できない。
父親(母にとっては夫)が自殺した時も、彼女は泣かず、ただ遠くをみつめるだけである。
結果、マーティンが最後に引き起こす重大な事件が報道された時も、庭先でテレビの画面を見ずにニュースを聞いているだけ。後悔にも似た気持ちがあるのかも知れないが、それは映画を見ているだけでは分からない。
映画を見た私には、只々、マーティンの苦しみや悲しみが何重にも身体に巻きついて離れない時間が一定の間続いた。
こんな思いを誰にもして欲しくない、こんな思いをする人を一人も出したくない。
この映画は、そんな固い誓いを自分の心にさせてくれ、忘れがたい重みと力を持った、今年の最上の一本になると確信している。
Martin
彼はお金を数えることもできないらしい。
お母さんの接しかたがもうちょっと違っていたら、と思わずにいられません。
厳しくしつけようとせず、できる事を認めて、褒めてあげるべきだった。
事故のあと、あのタイミングでヘレンの死を告げるなんて。(言わせているのは脚本家だけど。)
彼を理解しているお父さんが民宿をやろうとしていた計画がうまくいかなかったのも、ついてなかった。
すべてが悪いほうへ悪いほうへ向かってしまう。
そして彼の怒りがたまっていく。
お父さんの葬儀にも、彼としては正装してきたつもりだったのでしょう。
彼をそのまま受け入れて褒めてくれたのはヘレンだけだった。
そのヘレンも銃はやめて、と言っていたのに。
ラストの描きかたも秀逸。
怖い
オーストラリアでは、あんなにも簡単に銃が買えたのか、ということに恐ろしさを感じた。
猟銃とか、競技用とかもあるだろうが、アサルトライフルとか人間を殺すために作られたものが、普通に買える。しかもライセンスなどの管理も杜撰で、金さえ出せば買える。
事件の犯人が、犯行に至った原因はわからないが、銃が気軽に買える環境がなければ、と思ってしまう。
はまり役
歴史的流刑地でもあるオーストラリアタスマニアのポートアーサー流刑場跡で実際に起きた銃乱射事件を題材にした映画。犯人に同情するか否かで好き嫌いや評価が分かれるでしょう。事件の再現を目的とした映画ではなく、犯人の人物像を描くことをメインにしています。銃砲店や試し撃ちシーンはありますが、乱射による殺害シーンはありません。主演の役者に対する印象にも大いに左右されてしまうでしょう。主演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズは最近ではニューヨーク親切なロシア料理店やアウトポストに出演していました。印象に強く残っているのはニューヨーク親切なロシア料理店の方で、社会適応が苦手な人物役を演じていました。彼以外の主要人物役はすべてオーストラリアに由縁のある役者です。NITRUMというのはMARTINの逆さ読みで、子供の頃から馬鹿にされて呼ばれていたアダ名。職もなく、ブラブラしているひとり息子に両親は手を焼いていますが、具体的な対策はとれません。母親(ジュディ・デイビス)は厳しく冷たい目線、父親(アンソニー・ラパリア)は逆で、優しく、甘やかしていました。男親と女親の違いの描写、演技が光っていました。彼の行動は衝動的であったり、両親にきつく言われた言葉が時々フラッシュバックして、不適切な行動をしてしまう場面が多々あります。歪んだ性格やネガティブな感情の発露にも見えます。しかし、根は素直で、馬鹿正直です。また、花火や銃に対する強い執着がありました。そして、他人にもそれをあげようとします。稚拙ですが、自分の好きなものを他人に勧めることによって、友達になろうとしているように思えます。
銃砲店の対応がまずかったのはあきらかです。彼にとってヘレナ(エシー・デイビス)の存在は噛み合わない両親との関係を埋めてくれるもので、クルマ(黄色のアウディ)や家、大金を貰ったことは大惨事を招く大きな要因となりました。ヘレナもちょっと変わった人でしたが、妙な魅力をエシー・デイビスがうまく醸し出しています。彼らは強い共依存の関係になるべくしてなったと思われます。
彼のように知能が足りなくて、コミュニケーション下手で、変人扱いされてきた人間への哀れみ、同情を越えたシンパシーを抱く人もいると思われます。銃規制の厳しい日本では発生しにくい事件ですが、もしひょんなことから半自動ライフルを手にしたら?
ちょっとダークなことをいろいろ考えてしまいます😎
銃以外無くなってしまった
主人公の少々歪ではあるが、それでも自分を表現したい、人と交流したいというエネルギーが、ことごとく裏目に出てしまう。
爆音花火からは、自分はここにいる、息が詰まりそうだ、という叫び声が聞こえる。
同級生?にビーチであってニトラムと声をかけられる。言いようのない怒りが身体に湧き上がる。
自分を型にはめて自分ではないものにしようとする母親、何らの枠組も与えず宙ぶらりんのままにしている父親。海辺のB&Bを一緒に経営しようとするが儚い夢に終わり、父は崩れてしまう。
ヘレンもどこか壊れている。なので壊れる。
主人公の銃の腕前は中々のように思える。目の良さ、集中力かもしれない。事件前にはかなり上達したのかもしれない。
オーストラリアが銃社会であることは知らなかった。
けれどもタスマニアには、白人がアボリジニを絶滅させた歴史がある。かなり滅入りながら目が離せない映画だった。
銃乱射事件というから、怖い映像が流れるののだろうとビクビクしていた...
銃乱射事件というから、怖い映像が流れるののだろうとビクビクしていたけど、血が流れない映画だった。
犯人マーティン・ブライアントを逆から読むとニトラムNITRAMになる。ニトにはシラミだかフケだか忘れてしまったけどそういう意味があって、子供の頃は周りから汚いって呼ばれていたみたいだ。
銃乱射事件で35人を殺害。これでも世界3位の記録だそう。最初の二人の殺害は逆恨みだからまだ理解できるけど、残りの殺人の理由はわからなかった。なぜ、観光客らを狙ったんだろうか?
主役の演技は確かに凄かった。異常者を違和感なく演じている。腹のだらしなさとかは役作りで作ったものかな?
犯人が何故このような事件を起こしたのか?については分からなかった。この事件を機にオーストラリア全土で64万丁の銃を政府が買い取って破棄したが、その後はまた元以上に銃が増えている。
見ていて親が可愛そうだなと思った。ニトラムの異常性は救いようが無く感じた。ヘレンはニトラムに救いの手を差し伸べようとしているように見えたけど、ニトラムが原因で事故死してしまうし。親の責任になるのかな?
全17件を表示