劇場公開日 2021年12月17日

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偶然と想像のレビュー・感想・評価

全131件中、81~100件目を表示

3.5色々とこちらの意表をついてきて

2021年12月30日
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鑑賞方法:映画館

思っていた以上に楽しい映画だった。タイトルとの絡ませ方も三篇三様で手を抜かない仕上がりにも好感を覚える。
台詞は比較的普通に思えるシーンもあるので(タクシーの中やバスの中)、やはり意図的なのだろうか。
(at jig theater)

こういう機会は非常にありがたい。

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なお

5.0 人ば自らのコミュニケーションや行為の主体ではなく、言葉は、主体を...

2021年12月30日
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鑑賞方法:映画館

 人ば自らのコミュニケーションや行為の主体ではなく、言葉は、主体を載せ、遠くに連れて行くことを、こんなに見事に描いたものはないだろう。

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えみり

4.0偶然の怖さと人間の本性

2021年12月30日
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鑑賞方法:映画館

恐らく本年最後の映画鑑賞になるでしょう。タイトルは「偶然と想像」。最近の作品では「ドライブ・マイ・カー」がよく知られている濱口竜介の最新作で、短編3本からなります。この後に4本分の短編集を制作して完成らしい。「このままいくと、最悪の結果になるかも…」と言う不安をかき立てながら、最終的には軟着陸すると言うお話。

1本目は古川琴音演じるモデルとヘアメイク、モデルの元彼という構成。2本目は芥川賞を受賞した大学教授と、彼にハニートラップを仕掛けようとする学生(ただし人妻で子供あり。同じゼミの学生とちょっと不倫中)のお話。3本目は仙台に高校の同窓会で帰郷した女性と、たまたま駅で出会った同級生と思しき女性の一時の出会い。ほんのちょっとの偶然が思わぬ事態を引き起こす。車中や家、大学研究室などの閉じられた空間の中で言葉を重ね、それが時にこれまでひた隠しにしてきた本性を浮かび上がらせたりもする。

登場人物たちが胸に秘めたもの、ちょっとした嘘が、これまで大切にしてきた人との関係性を壊してしまうかもしれない、そんな危うさが日常に転がっていることを痛感せずにはいられない。それは少し前に観た「ドライブ・マイ・カー」と通じているところでしょう。

この作品は上映館も少ないけれど、何故か2室で日に7回も上映している。昨日は午後3回目の上映で観たが、ほぼ満席で若い人も多い。特に宣伝がされているというわけではないのに、良い作品については、口コミでその良さが広まるということか。

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知徳

4.0センス抜群

2021年12月29日
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鑑賞方法:映画館

偶然をテーマにした短編オムニバスですが3作品とも見応え充分で素敵な世界観に引き込まれた。ありふれた日常を上手く描いていて濱口監督のセンスの良さを感じました。時間配分もちょうどよく続編も期待したくなるような素敵な作品。
2021-206

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隣組

4.5映画の可能性

2021年12月29日
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今年見納め映画。
なんとまぁ、満席だった、とはいえ、一つ空きなのだが、この映画館で満席は久しぶりの事で、さすが御用納めとビックリしたのと、話題性もあるのか?と思った。

 色々な偶然とそれぞれの想像が織りなすという画像作りは、非常に面白く映画の可能性を感じたし、映画って改めて、奥深く、そしてこういう映画は好きだなぁ🥰

 で、私は3話が好き。何てったって笑いがあった。へー、そんな勘違いが今時あるのか〜、と思いながらも、全く偶然に関わった人と、あんな風に時間や思いを共有出来たのなら その一瞬の人生は楽しそうだし、しばらく幸せな気持ちでいられそうだ。私も欲しいな、そんな偶然。

 アヤ役の役者が断然光る。声とその佇まい、ものすごく自然で日々の生活を 少しのクエスチョンを持ちながらもキチンと暮らしている感じを演じていたのがとても良かった。

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はなも

3.5俳優の力が試される会話劇

2021年12月29日
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セリフセリフの連発で、一つ間違えれば眠くなるし、映画でなくてもいい?と思われてしまうくらい、場面変更も少ない。
しかし、しかし
俳優人のセリフがうまく感情の伝え方が観ている人に響いてくる。
3つのオムニバスだが、全てがまさにタイトル通りの偶然と想像の世界。
強いていったら一つ目が物足りない。
古川さん、中島さんの演技が良かっただけにもっと長い時間見たかった。

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ダルメシアン07

5.0濱口竜介監督凄い

2021年12月29日
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鑑賞方法:映画館

「魔法」言葉の掛け合いがヒリヒリ
「扉は開けたままで」ロマンポルノではこの手は使われてなかったのですね。ドキドキしました。濱口監督流石
「もう一度」高校時代は直ぐそこと思えるのだけど時間は確実に過ぎてるんですよね。

ドライブマイカーと共に時間が過ぎるのが早かったです。

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haitanio

4.0偶然がもたらす予想外の展開を楽しめた。

2021年12月28日
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鑑賞方法:映画館

偶然が生む3つのストーリー。この偶然、自分だったらすごい嫌だなぁと思うものばかり。

1つ目、あの女腹立たしいなぁと思っていたら、あーそうなるのねぇと思いきや…偶然からの意外性のある展開で好きだった。

2つ目、ハニートラップからどうなるんだろうと思ったらまさかの展開…ちょっと心の中で笑ってしまったけど、その後の偶然からの展開が気になった。

3つ目、偶然の出会い、コントにありそうな設定で笑った。けれど、だからこそ互いに気持ちを込めて伝えることができたのかな、最後に心が暖かくなる話で良かった。

不思議と朗読調の話し方も違和感なく入り込むし、こういった短編集を引き続きみていきたいなと思った。

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いたかわ

3話とも好きで3話がやっぱり好き

2021年12月28日
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鑑賞方法:映画館

『ドライブ・マイ・カー』以上に好きな映画になった。セリフを聴いているのが楽しい。機械翻訳を通したみたいな硬いセリフの応酬もあれば、本当にリアルに今の日本で交わされている会話みたいなやりとりもある。おざなりに配置されたセリフが一つもないと思った。

1話は友達同士の恋バナのしゃべり方がものすごくリアルだった。特に古川琴音さん天才的。元カレ相手になると、妖精みたいな可憐な声でキッツいこと言うので、お好きな方はたまらないやつでは。知らんけど。青山トンネルや渋谷駅前のデッキの風景がナイスマッチ。

2話は一番笑ったかも。棒読みと相性のいい脚本。森郁月さんって初めて見たけど、初めて見たせいもあるのか、本当に主婦で子どもがいて大学に入り直したけど周囲になじめていない人に見えた。渋川清彦さんは、この人こそカメレオン俳優。

3話はストレートにいい話だった。二人の人生を祝福するみたいに、光あふれ、開放的で、緑たっぷりの画面が多くて、とてもいい気持ちになる。エスカレーター、いい使い方。

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デブリ

4.0居心地のわるい渋谷で見る罠

2021年12月28日
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場違いなシブヤ 中でも、デエッキライなル・シネマに出向いたのは、この映画を見るため

脚本を読み込んで、役者の内在的な創造力を促す濱口メソッド

役者とは駒の一つと割り切って、おのが世界の純粋構築を計る監督たち(ヒチコック、小津)

前者には俳優たちの高度な技が必要とされるから、世評が高い前作は失敗作だと思っていた。

3作の短編からなる、この映画

第一話は すこぶる居心地が悪い それが二話では少し軽くなる そして三話では のぞみ と高揚していく 巧緻な仕掛け

そして これを渋谷で今 見ている仕掛けに気付かされる。

2021年の締めくくりに この映画に出会う それは来る年への のぞみ と写った。

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イコン

3.5村上春樹の短編集のような趣向

2021年12月27日
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まさしくタイトルどおり、いずれも「偶然」を発端に、そこから発展する物語を「想像」したような、3つの短編からなる濱口竜介脚本監督作品。
共通するテーマは「性愛」と「心の穴」といったところか。「ドライブ・マイ・カー」以上に、村上春樹の短編集のような趣向が感じられた。
冒頭第1話のタクシー内のシーンから、延々と会話が続く。いわゆる濱口メソッドで、役者にテキストを染み込ませていったのだろう。玄理がとても自然で上手い。
第2話の二人の会話は固いが、小説の朗読がこの作品でも面白い。スリリングだか、結末は苦い。
第3話は、さすがにあり得ないだろうと思いつつ、もしあったら、という想像力が最も感じられた。占部房子と河井青葉の達者さと相まって、ユーモラスで後味が良い。
エリック・ロメールにならって、これからも連作短編を企画しているそうなので、次回作も楽しみに待ちたい。

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山の手ロック

3.0やっぱり、基本的に、浜口監督が苦手なんだと思う。

2021年12月27日
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いや、「寝ても覚めても」が私的には最低ランクだったと言うのもあり。

概念構成力と知性は別物。明確な答えなど無い問いに対して、何を見せてくれるのかは知性に拠り。物事の本質を見抜き、端的に簡単な言葉で説明するには、概念構成力の高さが要る。

なんか。どちらでも無くって。
会話劇で、これは辛かったです。
1話目は、若い人の恋愛なんで、割と面白かったですし、フェイクは効きました。
2話目が絶望的かも。いや、状況からは「概念化した会話」を期待する場面で、ただ婉曲化しただけの言葉のやり取りからの「直接的行為(自慰)」ってのが。
3話目は好きでした。この辺りが、浜口監督の身の丈じゃないかなぁ、って思いました。

シューマンのピアノ曲は、この映画内容にも合っていると思いました。曲が、っていうより、ロベルト・シューマンと言う選択が。

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bloodtrail

3.5三種三様の『偶然にもたらされた運命の出会い』を描く大人向けのストーリー

2021年12月27日
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監督はドライブ・マイ・カーの濱口竜介氏。
この映画は三編の短編作品によって構成されており、
①現カノのヘアメイク×元カノのモデル×実業家の青年
②芥川賞作家×ビッチ主婦×主婦とセフレのゼミ生青年
③かつて同級生同士だった女性二人
…という内容。
なお、この三作同士の関連性は(多分)ないようです。

多分演出なんでしょうが、①と②がかなりに棒読みな箇所があるため、この辺が許せんという方は全般的に苦痛に感じる作品だと思います。
ただ、話の展開自体はなかなか面白いです。特に②の作家→ビッチ主婦の評価のシーンや③の本当の関係性は そう来たか としてやられた感を感じます。

ざっくり言うと、三種三様の『偶然にもたらされた運命の出会い』を描く、大人向けのラブストーリーですね。
②は多分ラブストーリーと言っても過言では無いでしょう。上級者向けですが。

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BONNA

3.5提供された偶然について観る者が想像する映画?

2021年12月27日
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楽しい

知的

難しい

濱口監督作品だからか満席の中鑑賞。
会話劇についていけないのだろう、開始早々物凄いイビキが聞こえてきた。
3作とも「偶然」という設定は理解できたのだけれど「想像」とは?を上映中ずっと考えてしまった。
作品の中で与えられた偶然の場面だったら見ている側はどのように感じるか想像を巡らせてください、ってことなのだろうかとモヤモヤしながらではあったけれど、3編とも会話のテンポが良く、抑揚のない話し方もそれはそれでありかなと思えるものだった。
たまには思考を巡らせながら観る作品もいいかなと帰る道すがら思いました😄

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ニコラス

3.5偶然と想像という名のシチュエーションドラマ

2021年12月25日
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笑える

怖い

知的

1  オリジナル脚本による3話のオムニバス。

2 一話は、男女3人の恋愛模様の行方を描く。場面が車内、オフィス、カフェと移りながら3人の人間関係が明らかになっていく。言葉の丁々発止のテンポが演劇的であり、オチの持って行き方がコント風。偶然の設定が作り過ぎの感あり。

3 2話は、軽薄の学生と主婦が仕掛けた陥穽の結末を描く。陥穽を仕掛けた訳やその内容は、不道徳であり、結果責任のとり方がアンバランスであるが、罠の仕掛けどころの描写は鮮やかでエロい。一方で、仕掛けられた人の脇の甘さと棒読みの台詞回しが残念な人そのものであった。

4 3話は、旧友との偶然の再会と真実を描く。会話の中から互いの生活ぶりや心の中が引き出されていく。そのうち話しが噛み合わなくなり、宅急便の登場で、二人の関係の様相が変わっていく。

5  濱口は、全編を通じ、「もしも〇〇だったら」という状況のもとで、人間関係の様相や人の心の深淵、感情に左右される人の姿を会話劇を通じて手際よく創っていた。1話がシリアスタッチのコメディに感じ、2話が起承転結のある短編小説の雰囲気、3話が映画の題名どおり偶然と想像に満ちていた。

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コショワイ

5.0迷い道

2021年12月25日
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鑑賞方法:映画館

下調べもなくまっさらで映画と向き合った時、映画の快感は訪れる。
そんな状態が本当に好きです。

この3本の短編。それぞれに愛と復讐・エロティシズムと状況(いかにも現代風な)・過去との向き合い方(諦念と希望)等々・・ 私ごときが言葉にすると陳腐かもしれないですが、とても心地よい時間を送らせていただきました。

そこで思ったのは、それぞれに登場人物たちがこの困難な時代において、今を必死に生きているその躍動をびんびん心に感じたことです。
「人生」は偶然や必然で回っているけれど、それがあるから面白いともいえる。

道連れ殺人や自死を選ばない、選べない自由をもっとすべての人が謳歌してほしい。(今の閉塞感はあってもです・・)この映画の真の醍醐味に気づいてほしい。今はとてもすがすがしくそう思っています。
ありがとう濱口監督。

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ソルト

4.0良質な会話劇

2021年12月25日
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オムニバスは正直好きではないのだが、濱口さんの作品なので鑑賞しました。

3本とも偶然起こった事象に対して想像を逞しくさせる仕掛けが秀逸でした。

濱口監督は本当に上手いですね。

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ちゆう

3.0M1グランプリ同様に。

2021年12月25日
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M1グランプリ同様に1本目のネタが最良、
以後1=2>2のオチ>3と尻窄みで冷めて幕。
この監督この形式にして最善の3本と思えぬ。
我慢出来ず全てに不要なオチを付けた感が惜しい。
新しい喜劇で小津調への肉迫善戦は買うが、
私的年テンに入れるか微妙。
次作には期待。

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きねまっきい

3.5何故…

2021年12月24日
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なぜ濱口竜介脚本の映画は
時が経つのが早いのだろう

あっという間に3話が終わった
きっと人間の生理的な部分が出てきたりするからだろう

しかし、
手放しに面白いともつまらないとも言えないのが
いまのわたしです

追記
わかったぞ
なんとなく感じていたのはおそらく
監督と笑いのツボが合わないのだ
だからずっとうっすらと寒気が続いているのだ

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JYARI

4.0名作の予感がする

2021年12月24日
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 濱口竜介監督、脚本による三部作である。いずれも女性の愛と性をテーマにした人間関係を描く。仏教用語で言えば「縁起」の本質に迫ろうとした作品とも考えられる。仏教の「縁起」は原因と条件の関係性を主要概念とするからだ。

 第一部は二十代、第三部は四十代の年齢の女性が主人公である。第二部だけは年齢が不確かだが、およそ三十歳前後と思われる。時代設定は現代ないし近未来だ。観客は身構えずに鑑賞できると思う。

 古川琴音が演じた二十代は、幼児が自分の存在を主張するように自己肯定感で一杯だ。子供は仕方がないが、大人になってもそういう人は、周囲から見ると鬱陶しい存在である。他人の場所や心の中に、文字通り土足で踏み込んでくる。中島歩の台詞にあったように、ほとんどストーカーだ。他人の価値や権利を認めず、自分との比較で上か下かだけを唯一の価値観とする。常に他人と勝負しているようなもので、本質的に共生はできなタイプである。精神医学で言えば、アベシンゾーと同じ自己愛性人格障害だ。救いがない。
 友人を演じた玄里の台詞回しがびっくりするほど上手かった。古川琴音よりも10歳上の分だけ演技に幅がある。34歳だが二十代の役もまだまだこなせる。注目女優のひとりに加えることにした。

 森郁月が演じた推定三十代は、二十代とは逆に自己肯定感の低い役で、自尊感情の強い人に負けて言うことを聞いてしまう傾向にある。不良の手下、いじめっ子の取り巻き、それにブラック企業の社員などが同じ傾向を持つ。どこかで自分を肯定したいが、壁に跳ね返されるばかりで、自分はこんなものだ、こんな人生なんだと諦める。
 芸達者の渋川清彦に棒読みの台詞を読ませたのは、本を読んでいるかのように森郁月に聞こえさせたかったためだと思う。わかりにくいが、森郁月が教授に会いに行ったのは、もしかしたら教授から自己肯定感が与えられるかもしれないという無意識の淡い期待があったためだとも考えられる。そこに必要なのは説法であって、感情ではない。渋川清彦が無感情で話すことに意味があった。

 占部房子が演じた四十代は、精神的に安定していてホッとする。とはいえ、心の中では自己肯定と自己否定の相克が常にあり、何かにつけ心を揺さぶられている。相手役の河井青葉が演じる主婦は、心が動かない生活を嘆く。日常にドキドキすることもワクワクすることもないと言うのだ。そこに現れた見知らぬ女が、何か異質なものを持ち込もうとしている。物的には何も変わらないが、精神的には大きく心を揺さぶられる。それが嬉しい。
 占部房子と河井青葉。いずれも四十代の女優で落ち着きがある。演じたふたりのそれぞれの心の中では理想と現実、希望と絶望、執着と諦観といった割り切れなさがあるのだろうが、生きていくことには前向きだ。このふたりの芝居は演技も自然で、いつまでも観ていられる気がした。

 本作品は脚本も演出もとてもいいし、役者陣の演技も素晴らしく、たくさんのシーンが心に残った。名作の予感がする。

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耶馬英彦