劇場公開日 2022年9月16日

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川っぺりムコリッタのレビュー・感想・評価

全192件中、61~80件目を表示

4.0ささやかなシアワセによる新しい繋がり

2022年10月4日
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鑑賞方法:映画館

「かもめ食堂」の荻上直子監督の最新作は、美味しそうな食事と「ささやかなシアワセ」で満たされている。
だからといってノー天気な映画ではなく、「 光あれば影あり」と言われるように、モチーフとなっている「遺骨」が象徴する「死」が、作品に影を投げ掛けている。
北陸の小さな町に訳あって引っ越してきた山田は、職を得たイカの塩辛工場の社長から紹介された川沿いに建つアパート「ハイツムコリッタ」で暮らし始める。
出来るだけ人と関わらずに生きていこうとしている山田だが、隣の部屋に住む島田が毎日のようにやって来て、静かな日々は一転してしまう。
そんな時、子供の頃に自分を捨てた父親の孤独死の知らせが入り、遺骨を引き取ることになる。
このアパートの住人は皆、社会からは少しはみ出した訳あり人たちばかりで、そして貧乏だ。
未亡人の大家の南さんは何かを抱えているようだし、墓石売りの溝口さんは息子を連れて訪問販売しているし、静かにと暮らしたいと思っていた山田だったが、何故か住人たちと関わりを持つようになっている。
友達でも家族でもない関係だが、山田は孤独ではなくなり、新しい「繋がり」を築いていく。
コロナ禍で益々格差が生まれて分断され、無縁社会が広がっていく中、この作品は、そういう風潮に静かに抗うように新しい「繋がり」を我々に提示しているような気がする。

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玉川上水の亀

3.5共感するところも多いのだけど

2022年10月2日
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鑑賞方法:映画館

富山ロケだし達者な役者が揃っているので映画館で鑑賞。
大方のロケ地が分かるので、なんで最寄り駅をそこにした?なんてツッコミを入れながら観るのも楽しい(^-^*)

話の方は過去に大きな傷を持った人たちが寄り添いあって生きていく様子を丁寧に描いている。
共感するところも多いのだけど、島田や溝口の過去など明かされないことも多く、想像で補え、と来る。
その割に山田の心情など、セリフでガッツリ説明されてしまう部分もあったりして、そのあたりは若干ちぐはぐな印象は受けてしまう。それをセリフでそこまで言っちゃったら野暮でしょ、って(^-^*)

とはいうものの、見慣れた風景の中を「ほんとにこんな人たちがここで暮らしているのかな」と思ってしまうような丁寧な描写で見せてくれる良い映画だった。

とりあえず。
満島ひかりが大家さんなら俺も入居したいわ(笑)

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flying frog

4.0寂しさと優しさと時の流れ

2022年10月2日
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鑑賞方法:映画館

何年もそこで暮らしている人達の中に、余所の街から訳アリの青年がやって来て、他と関わりたくないと思っているのに、隣人がズカズカと踏み込んでくる。
青年は戸惑うが、実は誰もがみな何かを抱えて生きていることを知り、心を開いていく。
誰もが邪心なしに近づいてくれるならそんな暮らしもいいが、現実は優しくなんかないだろうと内心反発しつつ、川っぺりのシーンで流れる音楽は優しくて心地よく、ちょっとホッコリする映画だった。

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高林夕子

4.0心に染みた

2022年10月2日
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鑑賞方法:映画館

私は監督の以前の作品「かもめ食堂」は、その無印良品的なイメージがすごく苦手で未見でしたが、
今回は、満島ひかり、松山ケンイチという出演したらタダでは済まない感じを期待して
見ることにしました。 力量ある俳優陣による抑えた演技が異化作用的に素晴らしい。
田舎の底辺で暮らす日常と少しのファンタジーも描かれ、ヨーロッパの映画や、山田洋次作品などに見られる、説得力ある生活感とファンタジー感が良い。 新鮮な野菜といかの塩辛がむしょうに食べたくなる。

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龍美

4.0非現実的な世界でささやかな幸福を謳った

2022年10月2日
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鑑賞方法:映画館

前作の「彼らが本気で編むときは、」を観ていないので、2012年の「レンタネコ」以来10年ぶりの荻上直子監督作。

これはかなり好きだった。

人から金を騙し取り服役した主人公。刑期を終えた彼を迎えたのは富山の塩辛工場、そして古い安アパートのハイツムコリッタ。

これは荻上監督が創出した理想のコミューン?

リアリズムを排した非現実的な世界だった。
人とふれ合うささやかな幸せを謳った。
幸福論があった。
温かい空気にふれ幸せな気分に浸った。

そう、非現実的な空間で真実を語るのが荻上スタイル。

2007年のマイベストテン第2位とした「めがね」以来15年ぶりのテン入りもあると思う。

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エロくそチキン2

4.5「無縁社会」への処方箋

2022年10月2日
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NHKのドキュメンタリーで、官報に載っている「行旅死亡人」を追跡し、遺骨の引き取り手のない人たちの生前を取材した特集番組「無縁社会」がかつてあった  「無縁社会」はNHKが作った言葉ではあるが、家族がいても自分から関係を閉ざして亡くなっていく人がたくさんいて、市役所の福祉事務所には引き取り手のない遺骨が管理されていることも番組で伝えられていた
山田さんは受け取りを拒否することもできたであろうに、役所からの連絡に応じて遺骨を引き取る
出所後誰とも関係を拒絶して生きていくはずだったのに、ムロさん演じる島田さんのしつこい「押し」によって、他人を受け入れる素地が作られていったのかもしれない
「個人の生活」を大事にしたいと多くの人が思っている反面、ああいった人間関係に憧れを感じることもある 子どもやまわりに迷惑をかけたくない、と思いつつも(「PLAN75」の考え方だろうか)「無縁社会」の中で生きていかなくてはならなかったり、山田を刺そうとした蚊がたたき殺されるように「突然の死」を迎えるかもしれない、という恐怖
煩わしい関係を受け入れたくもなる、という思いは年齢のせいかもしれない
(10月2日 イオンシネマりんくう泉南にて鑑賞)

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chikuhou

4.5生者、死者とお弔いとお骨

2022年10月2日
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Uさん

4.0演出戦略

2022年10月2日
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それぞれに傷付いた登場人物たちが、それぞれの傷を抱えながらひと夏を過ごし、やっと一歩を進めるお話。
正直、寓話的な部分と驚くほどリアルな部分のバランスがこちらの想定と違っていたりしてギョッとするところもあるが、それも含めて人間って…と愛おしくなる。
マツケンの慟哭、ムロツヨシのごめんなさい、満島ひかりの骨噛みエロス…
役者の個性と演技力を活かしながら独自の世界を築く、荻上直子監督のしたたかな演出戦略の勝利だと思う。

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ぱんちょ

3.5禍福は糾う縄の如し

2022年10月2日
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幸せ

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@花/王様のねこ

3.0食べることは生きること、そして幸せを感じること

2022年10月1日
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ふんわり、ほっこりの荻上直子監督作品と思って観ましたが、本作はいささか雰囲気が違います

主要キャラクターが皆、人の死と向き合って生きていて、作品全体通して"死"というキーフレーズがまとわりついています

そして、その対局にある"生"の象徴として描かれるのが「食べる」こと
死にまとわりつかれた人々が生きるために食べる
松山ケンイチさんとムロツヨシさんが白飯をうまそうにかっ食らい、皆で楽しそうにすき焼きを食べ、満島ひかりさんは○○まで・・・

人はいろいろ苦しいことを背負って生きてるけど、"おいしいもの"を食べた時の様にささやかな幸せを感じる瞬間が一番「生きている」と実感できるし、心が満たされる
そして誰もがそんな幸せを感じる権利を持っている、例えどんな人生を送ってきたとしても、失った幸せを取り戻し、やり直す権利を持っている。。。

とても重厚で見応えがある良作です

そして、豪華キャストをチョイ役で贅沢に使っているのも印象的、全員わかるかな?
私は一人だけわからずエンドクレジットで名前を見て後で調べて納得しました

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Jett

4.0生と死の間

2022年10月1日
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予告編だけで前知識全くなしで鑑賞したらまさかの仏教用語だった
松山ケンイチ演じる山田は生きる意味が見出せず最低限の活力しかない

ムロツヨシ演じる島田はそんな山田に図々しく生きる生き方、生きる力を教えてくれる

その中でも荻上監督作品と言えば飯島奈美さんの食事シーン
生きる事は食べる事といわんばかりに物語が進むにつれ食卓に色が添えられていく

また死者に対しての関わり方も人それぞれ、葬儀についても人それぞれ
残された人がその後を生きるために死者を弔うんだ

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moto

3.0ひとことReview!

2022年10月1日
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知的

幸せ

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極東新天地

4.0豪華キャストによるほっこりコメディ 宣伝でそんな印象を持ったが、そ...

2022年9月30日
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豪華キャストによるほっこりコメディ
宣伝でそんな印象を持ったが、そんな単純な映画ではなかった。
川っペリは二重のメタファーで、一つは社会のどん詰まりの場所、もう一つはあの世とこの世の境界を指している。登場人物はみな亡くした誰かにとらわれていたり、死に関わる生業を持っていたりする。ムコリタ・・・仏教で昼夜を30分割した時間(すこしの間)そんな名前のアパートは名前は可愛くても腰を落ち着ける場所ではなかろう。そんな川っペリのムコリッタに流れ着いたように住む人々の滋味深いお話。
見終わったあと、メシが食いたくなること間違いなし!

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やすべー

4.0めぞん三分の二刻

2022年9月30日
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好き。安定感抜群の面々が風変わりでどこか哀しげなキャラクター達を生き生きと演じている。中でも満島ひかりさんの途中での出来事にはドギマギした。コミュニティを得意としない人間たちが作り出す最小限のコミュニティの何とも柔らかく微笑ましい感じはいつまででも観ていられたし観ていたかった。

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lynx09b

5.0過不足ない人間賛歌

2022年9月29日
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楽しい

幸せ

この物語の人々が清々しいのは、媚びる事をしないから。
どんな人にも、共感出来る部分もあれば、理解出来ない部分もある、それはお互い様。
白か黒かでニ分化しない、寛容な世界。
「言葉」に頼らない、絵本のような味わい。

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アメリカの友人

3.5幸せの価値観

2022年9月29日
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興奮

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リオウリオウ

3.5悲しいではなく、寂しい

2022年9月28日
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幸せ

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uz

3.5配役の妙

2022年9月28日
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松山ケンイチ ムロツヨシ が見事な配役だなぁと観る前から思っていたが 脇をかためる満島ひかり 吉岡秀隆がほんま素晴らしかった。人の死を扱っているので観る人によって気持ち悪いと感じられる所は多々あると思うが自分としては配役の妙がそれを凌駕したように思う。
昔 俺たちの旅というドラマがあったがあの時も配役の妙が際立っていたが、今回の映画はそれと同じように感じられた。
ぜひとも同じような役者さんたちで何か映画また撮ってほしいなぁ

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れっどでび

4.0色んな人

2022年9月28日
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キャラの濃い人達!だけど人は良い!悩んだ時に時々見返したくなるような映画🎬

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シゲゾ〜

3.0恐怖のイカ星人・・・NOPE!

2022年9月28日
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鑑賞方法:映画館

 配給会社が五輪汚職の目玉であるKADOKAWAなので観るのはやめようと思っていたのに、映画に罪はない!しかも北陸(富山)が舞台とあらば、観ざるを得なくなってしまった。そういえば今日9月27日はなんちゃらの国葬の日。人間の生と死にある時間について考えさせられる。ムコリッタとは仏教の時間の単位1/30日(48分)とのことだが、その生と死のわずかな時間の幸せを意味するらしい。などとボーッとしてたら、序盤から中盤にかけてはオカルトだったり、宗教を匂わす展開となっていた。まさかあの・・・

 最初から惜しい!社長が「更生」という言葉を使うものだから、山田(松ケン)の過去がわかってしまった。もっと謎めいたものにしたほうが良かったのでは?と疑問符。しかもちょっとウザキャラのムロツヨシの登場となり、ちょっと醒めた目で見てしまった。

 主要登場人物の皆が身内の死と向き合っている。故人との付き合い方、弔い方など、形式張ってちゃいけない。親戚などのしがらみもないのだから、遺族の自己満足でいいんだということ。高級仏壇なんて買う必要もないし、遺骨・遺灰をどう扱うかも自由なのだ。16億円かけようが花火で打ち上げようが自由・・・?

 そんな中、最も印象に残ったのがアパート管理人である未亡人・満島ひかりが遺骨で身体を撫でるという艶めかしいシーン。骨を食べるより衝撃的だった。

 北陸人としては、なぜか暗いイメージしか持てない風景(『ここは退屈迎えにきて』よりも暗い)や富山弁を一切使わないことにも違和感あり。まぁ実際は石川県の方が暗いからね。何たって平均日照時間が全国最下位。グダグダ文句を書き連ねたのもネクラの証し・・・後半は面白かったですよ。

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kossy