空白のレビュー・感想・評価
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ずっしり、きました。
公開中はタイミングが合わず、家でもなかなかじっくり観られる時間がなく、昨日ようやく観られました。
伊東葵ちゃんを初めて認識したのは、『湯を沸かすほどの熱い愛』だったかな。まだ全然子供だったけど、すごく存在感のある子でしたね。
この『空白』でも、出番は少ないのにすごく印象的だった。ていうか花音の最期が衝撃的過ぎて声出ちゃった(家で良かった)。
「父の狂気が暴走」っていうコピーがあったけど、充の言動を理解できてしまう私は狂気の人なんだろうか?
あんな乱暴な人は大嫌いだけど、表現方法がそうなだけで、娘を見ていなかった自分への後悔と娘が悪者のように言われる悔しさで逆恨みしちゃうのはわかるし、殴りはしたけど殺すまではしないし、陰でなにかするんじゃなくちゃんと姿を見せてるし、情報操作するメディアや誹謗中傷を撒き散らす正義もどきの匿名犯罪者に比べたら、充の方が全然いい。
店長も、基本的にはいい人なんだろうけど。
でも商品を持ってお店を出ないと万引きは成立しないんだよ?花音は商品を手に取っただけでカバンやポケットに入れることすらしてないのに、いきなり手首を掴んで引きずってくのはそっちの方が問題。私だったら逆に訴えてやる。
でも、そのつもりがあったから花音は逃げたんだよね。。
そしてきっといつもは大人しい店長が、万引きをどうにかしなきゃって思ってたところにそれっぽい子が現れて、思い切って捕まえようと行動したら逃げられて、引くに引けなくなったというよりは、行動している自分に興奮してるように見えた。その結果あそこまで追い詰めることになって。。
充よりも店長の方に狂気を感じたのは私だけ?
お弁当屋さんへのキレ方も怖いし。その後電話し直したのはエラかったけど。
救われないのは、楓。
元々充は楓を、許さないとかじゃなく花音の死に関わってるとすら思っていなかったんでしょ。
確か「関係ない」とか言ってた気がするし。
充にとっては本当に関係ない人に対するいつもの態度だったのが、楓にとっては責められているように感じてしまった。
充がちゃんと自分の思いを伝えることのできる人だったら起こらなかった、悲劇。
彼女の死と緑の言葉は、充が変わるきっかけにはなったけど、その対価としてはちょっと、重過ぎるよね。。
それに対してダンプの運転手はその後全く現れないのも、ほんといろんな人がいるよなぁと思わされた。
「全員被害者・全員加害者」っていうコピーは、ちょっと間違ってますね。
情報操作するメディアと、誹謗中傷を撒き散らす正義もどきの匿名犯罪者は、加害者でしかないし。
学校も、「いじめが見つかったらどうするんだ?」って言うような教師は、子供たちにとって完全に加害者。
偽善者は問題ないけど、自分にとってのいいことを人に押し付けたり、そうしない人を悪く言ったりし始めたらもう加害者。
この映画の中で一番「狂気」感じたのは、実は草加部さんでした。。
お父さん嫌い
結果的にちょっとあんまり好きではない話だけども、イマイチなところも含めてまぁリアルっちゃリアル
最初の事故・弁当屋の電話
・自殺した娘の謝罪、娘の母の謝罪 とかとても良いシーンはたくさんあった
父親については疑問、自分も毒親育ちだからか
許したくない。
何で娘と向き合えなかった?なんで化粧品捨てた?
人と向き合うのが怖かったから・そんな自分を許せないから
それなら何でそんな性格になったのか。
父の謝罪は聞けたけども。
もう全部遅いじゃん
あの子が自殺したのも、
全部向き合っていたら、何か変わったはず
それを不器用・こういう人間だから で片付けていいのか?
とてもリアルであるが故に気になる部分も
まず、とても面白かったです。古田新太さんの添田やパートの草加部さんは本当にそこら辺にいそうで、物語にグングン引き込んでくれました。草加部さんの良い人なんだけど距離感がウザい感じ…絶妙すぎます。ストーリーも野木のアツさ、轢いてしまった女性の母親の意思の強さがアクセントになって感動しました。
しかし。こうしたリアルさ故にちょっと作り過ぎてるかなという部分が妙に目立ってしまいました。
・これぐらいの事件で繰り返しワイドショーで話題になるか?店長の顔を街中で覚えられて写真撮られるか?
・ラストのお弁当褒めてくれたあんちゃん、褒めすぎじゃないか?一言「あそこの唐揚げ弁当好きだったんで残念っす、うす」だけでよかったのに!
・店長がトゥーリさんではイケメンすぎて同情できん!
・なんで娘は母親ではなく父親と暮らしてたんだろうという疑問。一言でいいから説明欲しかったなぁ
あと3か所無駄に笑えるシーンがあって興醒めしました。
・添田の土下座返し!
・草加部のどさくさキッス!
・ニートのちゃっかり2ショット!
この3つの笑いはいらなかったな〜
ということで観る価値のある素晴らしい作品でしたが、変なところが気になる今日この頃でした。
赦す、ということ。
予告を見た限りだと最後に予想外の展開が期待されるのか?と思いましたが最初から最後まで人間模様がリアルに描かれ、大きなどんでん返し等もなく、ある意味現実的な映画でした。
皆、被害者であり加害者であり主観を変えると本当に様々な見方ができて見応えがありました。
もし自分の大事な人が亡くなった時、主人公まで暴挙に出なくても、やはり真実が知りたいと思い過激な行動に出てしまう気持ちも分かります。
誤って轢いてしまった運転手の方が自殺をするまで追い込まれてしまうことも、きっと他人事では無いと思います。
観た人にこれを伝えたい、という明確なものは見えなかったのですが、むしろそれが観た人それぞれで感じるものがあると思うので、そういう伝え方もあるんだなと思いました。
その人間の立場にならないと分からないことを
映画で深く掘り下げて下さり、色々と考えさせられました。
個人的な意見ですが役者さんの自然体が本当に素晴らしい!
娘役の伊東蒼さんも中学時代の自分そっくりで、こんな子は確かにクラスに1人はいるかもしれないという存在を見事に演じていて、田畑智子さんや藤原季節さんも演技がとても素晴らしかったです!
クセの強い役はオーバーに演じることはできますが、どこにでもいるような人間の演技が1番難しいと思いますし、それをこの作品の方達は皆さん本当に馴染んでいて違和感なく見られました。
こう言った作品は見た後に結構モヤモヤすることが多いのですが、最後の古田新太さんの涙で全てが完結したような、そんな不思議な気持ちになりました。
人を赦す、ということの難しさを教えてもらいました。
邦画を見た満足感
これよこれ、このどうしようもない人間ドラマ
古田新太の演技が最初と最後で全然違うのはもうバケモン
私が1番嫌なキャラは母親
クズに子供押し付けて…その後もあったりする関係ならなぜ引き取らなかったのか。
鬼。鬼畜なのは母親だと思う。母親のせいで起きた事件
子供が出来た腹で会う頭がやばい
後半がいい!
運転手だった女性の告別式で母親が言う言葉には頭が下がる。
自分の娘が自殺したにもかかわらず、謝罪。そして、もう、許してやって欲しい、と。
職人のスーパー店長への言葉に「あー、世の中捨てたもんじゃないなぁ」と思えるシーン。
美術室に残されていた絵の中にイルカの雲の絵が。。。海に浮かぶ一船。
その時、初めて父と娘の心が結ばれた感じが、無言の涙によって伝わってくる。
88点
後悔してからでは遅いよね。
娘が1番可哀想。最悪。
その後轢いた女の子とその母親、
それと同じぐらい可哀想な
追いかけたスーパーの店長。
とっさに出てきたらそら無理。
追いかけててあーなるとは思わん。
そっからの人生どん底に変わる。死にたくもなる。
それは現実でも僕でも誰でもそうなる。
だから気をつけて生きたい。
無関心だった父親、親権を本気でとらなかった母親が
1番悪い、どう悲しんだって、娘のことを思ったって
手遅れなのだから。
親の次に悪いのはまぁまぁ距離あったのに轢いたトラック。あれは完全不注意。
店が急になくなる事もあるやろうしスーパーの人らは最悪ではない。
メディアもリアルあんな感じ、親と同じぐらい悪い。人の人生変える力ある事を忘れてるのかマヒしてるのか…
ボランティアのおばさんもその次に悪い、私利私欲。あのボランティア女の子も可哀想。
誤った正義感と罪悪感
こんな最高な映画は久々です
この映画は、基本的に主人公以外、人の気持ちを考えず、自分の勝手な正義感で行動をする人間ばかりだ
学校の先生達は生徒の気持ちを考えず自分の正しさを押し付け、スーパーの女も同然である(メディアは論外であるが誇張しすぎている気がしなくもない)
前半と後半のセリフである、『スーパーの店長ですよね』という言葉は
同じ言葉でも相手の気持ちを思う意味合いが全く違い、主人公は人の優しさに涙する
父親は
不器用で、人の気持ちを考えず、決めつけで物事を考える、典型的な昭和育ちの人間ではあるが
終盤の、被害者が死んでから娘の気持ちを分かろうと絵を描き、漫画を読むシーンは最高に愛おしい(化粧用品を公園に捨てるのはいただけないが)
息子同然の藤原季節とのシーンは最高にムカつくし、暖かくて、面白い
前半でストレスが溜まるが、人々は事件と関わりを気に成長し、後半では嬉しさと優しさで最高のカタルシスが生まれる
どんな事件が起こっても、どんな過ちを犯しても、人はそれを許容し、その経験から成長して、助け合いながら生きていくことができる
映画という枠を超えた最高傑作
追記
寺島しのぶの自殺未遂後のキス未遂の演技が最高すぎる
正しさとは
気になっていたので、ネットフリックスで鑑賞、
とりあえずみんなお芝居がうまいね、
それぞれ抱えてる正しさとか正義みたいなものとかがあって、でもそれゆえの弱さの描写がリアルだった。
ボランティアのおばさんが最後、わーってなるのとか。
やきとり弁当美味かったですのところとか。
うまく言語化できないけど、現実ってままならないし、誰かの為って行為はきっとその人の為ではなく、自分のための行為なんだろうな。
自分の為に、正しさを信じて行動する。
ただ、その正しさが揺らいだ時の人間の描写が印象的だった。
最後の古田新太は、何も現実と向き合えてないのだけムカつくな
娘が化粧してた事実も隠蔽して。
そのくせ、謝ることもできず。
まぁ、人間ってそんなものよね、っていって仕舞えばそれまでだけど。
んー、、、、ってなりました。
あとは、マスコミやSNSへの警鐘も含まれてたのかな?
面白かったけど、好きではないかな、、、?
62/100
空白を埋めるものは何か。
本作品のタイトル「空白」が意味するものは、誰かが信じる正義あるいは正しさと別の誰かが信じているものの間にある溝のようなものを表している。
父と娘、夫と妻、船長と助手、店長とパート、先生と生徒、メディアと取材対象、加害者と被害者ー。
物語の序盤では、台詞のある登場人物全てが、自分以外の他人を理解せず、自分の正しさを主張する。そこには他人を慮る想像力のカケラも無い。
古田新太演じる父親は、被害者でありながら、その無理解ゆえに、やがて自殺者まで出してしまうが、その母親が自分の正義を振りかざさず、相手を理解しようとする態度を示すことで物語の潮目は変わる。
亡くなった娘が何を考えていたのか知ろうとする父親は、娘の真似をし、絵を描く。やがて、自分の描いた絵と娘の描いた絵が偶然にも同じ空、同じ雲であったことを知り、心の空白が埋まる…。
互いが互いの正義を主張し、分断が進む世界。僕らはその隙間にある空白地帯をどう進んでいけば良いのか。作品は問いかける。あなたの正義は誰かの正義ではない、ほんの少しの想像力とそばにいる人への共感を持とうと。
ところで、この作品の面白いところは、物語の核となる部分を加害者でも被害者でもない、寺島しのぶ演じる第三者であるパートが紡いでいくところにある。観ていてとても不愉快な気持ちになるのだが、このモデルはまさにどこにでもいる「ウザい誰か」。ある意味、心の中が空っぽ-まさに空白-で、情報だけを頼りに生きているようなタイプ。自分が信じる正義で掻き回すだけ掻き回し、なんの結果ももたらさない。劇中ではリベラルな人として描かれているが、もちろん保守を自認する人にも多く見られる。実はこれは私たち自身を描写しているのではないか。つまり、この作品の本当の主役は、リアルな第三者、観客である空白な我々。だから、鑑賞後、作品を通じた自分なりの正義を探したりしてはいけない。ましてや、それを誰かに押し付けたりしては。
物語の空白の部分を考えさせられる
正義マンのおばちゃんが善意を押し付けてるシーンすべて居心地悪い
一般的には完全に正しい人なんだけどヤダ味みたいなのを感じる
ボランティアでトロい人を見下してるからかな
仲良くない年上とかおとなし目の後輩への接し方とか反面教師にしようと思った
被害者の怒りの伝播で新たな被害者が生まれるのと辛い目にあった人たちが出来事に折り合いをつけていく話だった
「今更理解者振るのはズルいですよ」が印象に残った
古田新太の怒り具合が良かった!!
古田新太の怒り具合が良く、私はここぞという時にキレても相手に負けてしまうので羨ましかったです。また「偽善者め!!」とか所々笑えました。マスコミの印象操作やスーパーの店長に好意を持っている、おばちゃんの存在がリアルでした。序盤以外は花音さんの印象が薄く(あまりしつこくても困りますが)、出だしがやりたかっただけなのか終盤はストーリーも尻すぼみな感じで残念です。撥ねてしまった女性のお母さんも、葬儀で印象的でした。
救いはある
メディアでは、モンスター化がもてはやされていますが、最後は反省するし、人間的です。
娘さんが死んでるんだからあれくらいはするかも。
全てのタイミングが悪く、最悪の結果になりますが、救いはあります。嫌な気持ちでは終わらない。
親として、この気持ちを理解しようと努める姿には涙します。
ただし、
メディアの汚さを本当にリアルに描いています。
でも、
なんか.....こういう映画を傑作とかいう人達はただ人の嫌な面を見たいだけなのかなと思いました。
折り合いのつけ方と感情の錯綜が見事。
万引き(未遂かは不明)した女子高生、追跡されひき逃げされる
追いかけるスーパー店長
ぶっきらぼうで職人肌の娘を亡くした父親
心の病も抱えて再婚した元妻で高校生の実母
ボランティアもする正義感強いが空回りで周りがついていかないスーパー店員
そして正義感・罪悪感を抱える担任と事なかれ主義の他の学校側
その人たちがそれぞれの思いをぶつけたり、嚙み殺したりしながら葛藤する作品。
飛び出しをしたとはいえ、ひき逃げを起こしてしまった女性は良心の呵責から自死してしまうが、その母親が高校生の父親に対する態度は誰にでもできることではない。
あなたがここまで責めるから娘は死んだんだ、と問い詰めることもできるのに、強い娘に育てられなくてごめんと謝罪するのは父親ではなく母親だからこそできるのではないかとも思う。
それから父親も少しずつ変わっていくターニングポイントとなる。
こういうことは怒りから生まれるのではなく、当事者の誰かの強さが変えるきっかけになるのだ、ということをこの作品から教えてもらった。自分のことに置き換えて見た作品にもなった。
ボランティアにも力を入れて、正義感強いのはいいけど、その正義感を他人に押しつけるのは本当に迷惑なことで、活発だけど孤立に繋がるのだ、というメッセージもちゃんと受け取りました。
3種の空白
「空白」の類語:
空欄 余白 空所 空虚 虚無
blank space null void vacuum gap chasm desolation emptiness…..
不幸な偶然が重なった事件を通して、人間の内外に存在する「空白」を描いていると思いました。
① 自分の中の「空白」
虚無感、埋まらない孤独、隠された本心
② 自分と他者との間を隔てる「空白」
無関心、無理解、食い違い、誤解、反発、拒絶
③ 他者の中の「空白」
情報不足、未知、謎
①
心の隅々まで正直に把握し、自分自身を見つめ、一切の嘘偽りなく生きている人はどれほどいるのでしょうか。
÷÷÷
①吠えて弱さを隠し、②他者の気持ちを全く配慮しない上に、耐えられないことは罵声で突き放す添田。彼は自らの周囲を「空白」で固めている人物。話もろくに聞いてやれずに我が子が先に逝ってしまったことを、①本当の彼は誰よりも悔やみ、自分を恨めしく思ったでしょう。死のきっかけは万引きであるという不名誉、娘との貴重な時間を無駄に過ごしてしまった残酷な事実と悔恨に向き合えず、②代わりに咎と怒りの矛先を必死で他者に探し求めます。彼のやり方は、網にかかったガラス瓶で怪我をしたからと、海にゴミを捨てる人々を片っ端から乱暴に捕まえて責任を取らせようとするかのよう。
②学校のせいではありませんよ、という校長と美術教師の冷酷な無関心。生徒の指導方法は間違っていなかったか、花音を正しく理解していただろうかと不安になる担任。根拠のないネット情報、マスゴミによる偏向報道、そしてこれらに踊らされる部外者が、関係者達を問題解決から一層遠ざけてしまいます。
花音と添田の間だけでなく、青柳と彼の父親の間にも大きな「空白」があったことが分かります。その「空白」は、一方が死んでもしばらく存在し続けるものでした。
また、花音をはねた運転手中山楓は、謝罪が全く受け入れられないことで肥大化した添田との間の「空白」に押し潰されてしまいました。
添田と極めて対照的なのが楓の母親でした。事実を正面から受け止め、娘が犯した罪を認識し、娘の選択を添田のせいにはしません。無責任な子に育てた自分が悪いのだと、見事なまでに素早く添田との間の「空白」を、喪失感の共有と謝罪の言葉で埋めました。自分が責めを負うから、どうか弱い娘を許してやって欲しい…。ここはもう泣かずにはいられないシーンでした(T_T)。この後、流石の添田も少し大人しくなったような…。
①ボランティア活動に精を出し、「正しいこと」を強要する草加部の行動は、誰かに必要とされたい、求められたいという強い願望がエネルギーとなっています。②彼女の行いは典型的な善意の押し売りで、相手を理解しようとしないから、恋愛においてはもちろん、自分の理解者も現れず、活発な割に孤独な女性です。望んだ答えだけを求める添田に、「あんたの話なんか聞きたくない!」と叫ぶ彼女。この時点では両者とも、③事実で他人の「空白」を埋めようとはしていません。
他者の全てを受け入れることは極めて難儀なのに、全否定することはどうしてこんなにも容易なのでしょう。
③内面が分かりにくい、表情の乏しい人は誤解されやすくて苦労します。理解されなくて辛い思いをしていることすら上手く伝えられません。また外見から予想される性格の持ち主ではない人もいます。冒頭からヤバい雰囲気だった添田には、同情する気がなかなか起きませんでしたし、後半、急に?自重し始めたことにやや違和感を覚えましたが、これも、②違和感のままで終わるか、それとも③添田という人物の隠れた一面を知ったのだと思えるか、で差が生まれるのかなと思いました。
いじめの対象にもならないほど存在感のない花音は化粧品を万引きしていた。真面目そうな青柳はパチンコが好きで部屋が汚い。ピアスを付けた漁師見習いの野木には優しさと包容力がある。外見と中身の「ギャップ」は、映画同様、しばらく接していないと見えてこないものでした。
喪って初めて知る娘の片鱗。
言葉は交わさずとも、父娘の共通の思い出となったイルカ雲。もしまた雲を探して見上げることがあれば、空は添田を慰めるでしょう。
①を知り、②を埋めて、③を知る
面倒でもこの作業を繰り返す。
何故なら、人を滅ぼすのも、救うのも、創るのも、人次第だからです。
それは己も例外ではないのです。
明花音ちゃんは、無事に育って欲しいですね。
÷÷÷
また揶揄われるのかと身構えたら、チンピラ風の兄ちゃんは、母ちゃん共々、青柳の焼鳥弁当が大好きだったと言う。感謝の言葉は、無料で無制限に送れる贈り物です。本作で一番素晴らしいと思ったのはこの焼鳥弁当のシーンでした(T_T)。こういう「焼鳥弁当」がたまにあるから、人は苦しみを乗り越えて生きていけるのだと思います。ただただ辛いだけの仕事で嘆いていた頃、いつもの帰路を急いでいたら、手術前は身の回りのことすら1人ではできなかった患者さんが、病院前の交差点で、遠方から来たご家族か親族に街を案内していました。それを見て、あぁ、このために全ての苦労はあったのだと、溢れてくる涙を堪えることなく帰りました。あちらは私に気付かなかったし、言葉で感謝された訳ではないけれど、少なくとも一時の私は、この「焼鳥弁当」のためだけに生きていました。
私の①が埋まった瞬間でした。
「焼鳥弁当」の感動を蘇らせて下さり、ありがとうございます。思い出す度に泣いてしまいます。
予告編では良さが充分に伝わっていないのではないかと思える秀作でした。
イルカ
自分が犯した過ちや間違いと向き合うことができない大人たちの物語。
古田新太が圧倒的にダメなキャラクターとして描かれ始めているため、娘に先立たれた父への同情が全く生まれない。一方で、なんの故意もないが正義への熱意も全くない松坂桃李にはうっすらとかわいそうとゆう気持ちが生まれる。この対立構造について、あまり共感を生むことができるとは思えなかった。
こうした過ちへの向き合い方について、周りの人間との関係で明るい方向に進んでいくとゆう周りの描写は丁寧で細かく素晴らしかった。(特に初めの事故を起こしてしまった女性の自殺に対する母親の台詞やお弁当を美味しかったと話した奥野瑛太氏など)殺伐とした環境の中にも、周りの何気ない言葉や誠実さが人を動かすとゆうメッセージとしては素晴らしかった。
しかし人の持っている負の感情や諦めといったものを映し出すには、古田新太のキャラクターはあまりにも常識はずれだったため、娘への死に向き合うことができない父親とゆう一般的な見方を共感させることはできなかったのではないだろうか。
スーパーの古参のおじさん
いつもの映画館で 今週から始まった
金曜日のサービスデー 観客は7~8人といったところ
今年一番と思っていたBLUEに匹敵する一作だった
この監督好きだなぁ アイリーンはオラには合わなかったが
古田新太はまり役
聞き分けのない凝り固まったオヤジそのもの
こういうオヤジは死ぬまで変わらないものだが…
つらいエピソードが続くが
それでも監督の未来への期待みたいな思いが
感じられる場面が随所にあり嬉しい
マスコミには期待していないみたい
松坂桃李が若い男から声をかけられる2つのシーン
知らない人に声をかけられるのは同じだが
松坂の気持ちが正反対なのが興味深い
白黒はっきりせず納得できなくても
結局折り合いをつけてずるずるとしぶとく生きていくのだ
白黒はっきりさせようとする代表がかつてのオヤジであり
寺島しのぶなのかと
で 折り合い組の代表は片岡礼子であり
意外にもスーパーの古参のおじさんなのかもしれない
あぁいうひとが一番頼りになるんだよな
あの腹の出具合とか超リアル 隠れ助演賞
ラストシーン オヤジが娘と心を通わせた唯一の場面
時を隔てて間接的なところが切ない
ま予定調和だがこういうのがオリジナル脚本のいいところだ
タイトルの意味は何だろう レビューを読むのが楽しみだ
終了後は市役所公園のベンチで缶ビール2本
超至福の時間なのだがさすがに寒くなってきた
王将の餃子とラーメン 炒飯で〆た
リアル過ぎ
あまりにリアルすぎて、映画を見たあと車の運転が怖かった…
謝罪に来ても、許せない気持ちもわかる
謝罪するしかない…気持ちもわかる
一体どーすればいいのか?
1番に娘を跳ねた、女性
あの時点では生きていたかもしれないのに、その後ダンプに巻き込まれ、結局亡くなった
きっと、何が何だかわからない
そんなまま、結局自分で死を選んでしまう
きっと、誰も悪くないはず
それでも、誰も救われることが無い深い悲しみ
色々と考えさせられました。
向き合うとは?
どの役の人も凄いです。いるいるこんな人という感じがすごい。リアル。
そして、みんなそれぞれ自分なりの正義がある。それが暴走気味の添田、それとクサカベさん。
とんでもない事故が起こり、当事者達は皆それぞれとてつもないショックを受けるが、それを受け止める間もなくマスコミが食いついてきて切り取られ編集され、それによってまた加害側も被害側も踊らされ傷つけあってしまう。
事故さえなければ気にもとめずに自分のやり方を押し通していた人たちが、いやでも向き合わざるを得なくなる。周囲に高圧的に振る舞うことで思うように操っていたと勘違いしていた添田(古田新太)は、娘との関係のまずさにやっと気づく。
なんに対しても無気力に逃げてきた青柳(松坂桃李)は、逃げることを許されない状況に放り込まれて、やっと葛藤を覚える。
担任教師(趣里)は怒鳴り込んできた親の言葉で、自身の指導が高圧的で一方的だったのでは?と悩み始めるが、それを偽善だと指摘される。
皆それぞれ、そのやり方で今までの人生に問題なかったはずなのに。
そして、事故を起こしてしまった若い女性(野村麻純が好演!)が謝罪を受け入れてもらえないことを苦に自殺してしまうが、その母は恨み言を言わず「心の弱い娘が責任から逃げて申し訳ない」と詫びる。この向き合い方が凄すぎる。そこからかたくなに自分自身にしがみついてきた添田に変化が表れるのだ。
登場は序盤だけだが、ちょっと足りない子なのかな?と思わせる伊東蒼の間の演技もすごい。そこにリアリティが感じられるだけに、たくさんのことを押し殺していた実は内面の豊かな女の子だったんだろうと提示されるラストは辛い。
さて、問題点が二つ。
事故直後の母親(田畑智子)もう今にも生まれそうなお腹なのに、納骨まで生まれてないのはおかしくないか?
言うなれば自己チューな生き方をしてきた添田や青柳が、それを見直したあとに小さいながらもご褒美を貰っているわけだが、正義を振りかざし押しつけてたクサカベさん(寺島しのぶ)は、職を失い生き甲斐のボランティアでも暴発してしまい、そのまま放置って、なんの罰ですかね。こういう女嫌うひと、多いの知ってますけど、なんだかなあ。残念ですわ
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