劇場公開日 2020年10月23日

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「悲しい《落とし前》」ストレイ・ドッグ 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5悲しい《落とし前》

2022年7月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

2018年(アメリカ)カリン・クサマ監督。
エリン・ベル刑事(ニコール・キッドマン)の生きてきた17年間。
その生き様が過酷でリアルでした。

17年前、FBI捜査官のクリスとともに犯罪組織に潜入捜査をしていたエリンは、
銀行強盗の片棒を担ぐことになる。
そして潜入捜査に失敗して、犠牲者を出し、愛する人も失ったエリン。
外見も過去の美しさを失い、砂漠のように肌がカサカサにひび割れて見る影もない。

ニコール・キッドマンの変貌に驚いた(特殊メイクと聞いてもそれでも・・・)
まったくの別人。美人女優の面影は全くない。
ハードな役でした。
アクション・・・機関銃の連射も、殴り合いも、仕返しも容赦なかった。
暴力には倍返しの暴力で返すエリン。
傷に塩をなすり付ける毎日だ。

犯罪映画の刑事ものとして、辛口で鮮烈でした。
娯楽性は少ないけれど、主人公の刑事・エリンの人生が見事に描かれている。
潜入捜査の危うさ・・・後の生活を破綻させるほど、引きずって行くエリンが
不憫でした。
そして17年、刑事を辞めず罪と向き合い遂に《落とし前》を付ける。
責任の取り方として正しいと思うし、
この結末でいいのだと思う。

琥珀糖