劇場公開日 2017年6月9日

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「ピーター・バーグが無双状態。」パトリオット・デイ バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ピーター・バーグが無双状態。

2017年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

興奮

現実に起きたテロ事件の顛末を、圧倒的に面白い群像劇として描き出したピーター・バーグの腕力に感服。本作でJ・K・シモンズが見せるまさかの無双状態を、まんま演出家としてのピーター・バーグと重ねてしまうくらいだ。

ただ、バーグについては気になっていることがある。この映画の「ボストン市民の団結がテロに打ち勝った」というメッセージは、「俺たち市民は武装してでも立ち向かうぞ!」と拡大解釈をすることができるのだ。いわゆる自警団的な考え方だ。

近年のバーグは「アメリカの英雄」に強い執着を抱いていて、報復の連鎖を描いた傑作『キングダム』が半愛国的と批判されて「俺は愛国者なのに!」と逆噴射した結果のようにも思える。いずれにせよ最近のバーグの映画には、持ち前のエンタメ力と無双状態の演出力に加えて無邪気なタカ派思想が見え隠れする。本音を言えば『ランダウン』や『バトルシップ』の続編なんかをやって欲しい監督なのだが。

村山章