散歩する侵略者のレビュー・感想・評価
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「侵略者」と「散歩」。このギャップがすべてを物語る
宇宙人による地球侵略もの、と聞けば大仰なSFスペクタクルを予想しそうだが、意外にも映画の中心は会話劇。それもそのはず、原作は舞台劇の戯曲で、これをホラーの名手・黒沢清監督が映画化した作品なのだ。
特撮も爆薬も使えない舞台で、宇宙人による侵略をどう具体化するか――そんな出発点から、人間の概念を奪うという基本コンセプトが生まれたのではないかと想像する。これなら、概念を奪う行為そのものは台詞と動作の演技で表現できるし、概念を奪われた人間の変わりようも、日常に突然生まれた非日常を可視化できる。
こうした原作のアイデアに黒沢監督の演出によるショッキングな場面とほどよいユーモアが加わり、さらに映画らしい派手なアクションシーンも添えられて、邦画のスケール感で十分に説得力あるSF侵略劇と相成った。「侵略者」という非日常と、「散歩」の日常。このギャップを無理なく繋げたところが本作の肝と言えよう。
やっぱり本作は特撮ファン向けの映画? ところが、違うのです 黒澤清監督がそのような映画を撮るわけもありません 特撮映画的物語は偽装なのです
散歩する侵略者
2017年公開
題名で、特撮ファンなら、反応するのは間違いなしでしょう
ウルトラセブンの第8話ちゃぶ台とメトロン星人のお話か、団地丸ごとフック星人と入れ替わってしまう第47話「あなたはだぁれ?」のようなお話の映画だろうと思ってしまいます
観てみると確かに本作は、見た目はそのような特撮映画の立て付けになっています
人間と入れ替わった宇宙人が登場して、厚生労働省の役人だというが、明らかに警察か、自衛隊関係者でしょうという人物と部下多数が登場して自動小銃を乱射して宇宙人が憑依した人間と交戦したり、終盤には米軍のRQ-9 プレデターという無人機も飛来してミサイル攻撃をかけたりします
なるほど、それではやっぱり本作は特撮ファン向けの映画?
ところが、違うのです
黒澤清監督がそのような映画を撮るわけもありません
特撮映画的物語は偽装なのです
本作は2017年9月9日公開です
そこに意味があります
その年はどんな年だったでしょうか?
本作公開直後の10月の総選挙で自民党が大勝して、改憲勢力の与党だけで、改憲に必要な三分の二を確保しました
早くから選挙情勢はそのような予測が盛んに成されていました
そして、その前の6月には、「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設した改正組織犯罪処罰法が成立していました
こうした政治の流れに危機感を抱いた監督の作品というのが本作の正体です
実は地球側は、密かに侵略者に気づいていて、警察、公安、自衛隊、はては米軍とも連携しているとおぼしき組織で対抗しょうとしています
市内を、自衛隊の車両が走行して、迷彩服の自衛隊員が立っているようにになっています
しかし、町の人々は誰も何も異常なこととは思わないのです
町中に自衛隊車両が走り、迷彩服の自衛隊員が立っていることが普通になっても、それが異常なことであると分からなくなってしまっているのです
宇宙人は宇宙通信機を自作して本隊を呼び寄せ、地球侵攻を開始して、人類を全滅させるように連絡しょうとします
そうすれば人類は最後です
三時間くらいでかたがつくと見積もっていたが、地球人もなかなかやるので三日はかかるかなと宇宙人はいうのです
つまり、こういうことです
宇宙人の通信機というのは改憲のことです
それを許せば最後である、絶対に阻止しなければならない
日本は戦争ができる普通の国になってしまう
自動小銃や無人機を繰り出すように、何がなんでも阻止しなければならないことだと
劇中、侵略者正体と、その地球侵略の狙いを知った週刊誌記者は、中盤ショッピングモールのオープンカフェで立ち上がり、政治家のように大声で訴えます「皆さん、ちょっと笑わないで聞いて下さい!
地球は侵略者によって狙われています!」と
彼は、今行動しないと
焦りますが、もちろんそんなことに耳を貸す人は誰もいません
「何もしない内に、事態は、引き返せ無いところまで進んでしまうんです」
当然、いくら大衆に訴えてみてもなんの反応もない
それで彼は自嘲気味にこう言います
「君らそんなことで動かないよな、わかっているよ、
OK 言うことは言った
後はきみらの判断に任せよう」と
すなわち改憲や共謀罪の危険性をいくら口を酸っぱくして大衆に訴えてみても、帰ってくるのは冷笑ばかりで、やれお花畑だ、やれ空想的平和主義だと罵倒されてしまう現実を揶揄しているのです
すなわち、
まるで宇宙人が地球を侵略しようとしていると大声で騒いでいるかのように見られてしまうと
そして
この危険性を訴える声に、耳を貸さないなら宇宙人の侵略だなんて戯言だと、本気にしないでいる、この映画の町の人々のように宇宙人に侵略されてしまうぞと
つまり日本は、このままでは宇宙人に、戦争ができる国に作り変えられてしまうのだと大声で言っているのです
その裏返しの論理で、
アジアの大国や半島の国が、わが国や友好国に攻め来る?
そんな馬鹿な!とも言っているのです
それは、まるで宇宙人が地球侵略をしようとしている!みたいな荒唐無稽なことを声高に叫んでいるのとおなじだ
頭がおかしいのではないか?と
本作は、コロナ禍もウクライナ戦争もそれ以前の作品です
2025年の私達は、外交も、対話も理屈も何もまるで通用しない相手が本当にいることを目撃しました
停戦も和平にも、関心を示さない相手が本当にいることを知ったのです
戦争を勝手にふっかけてくる宇宙人が実在していたことを知ってしまったのです
日本も侵略されることも充分にありうる事を知ってしまったのです
宇宙人とは?
日本を普通の国にして侵略に備える体制を作ろうとする勢力のことなのでしょうか?
それとも
本当に日本に戦争をする気がなくても、問答無用と戦争をふっかけてくる勢力のことなのでしょうか?
本作では、週刊誌記者は明らかに地球側から攻撃を受けています
どうして?
政府が秘密裏に宇宙人の侵略に対処しようとしているのに、声高に大衆に事実を公表することが政府にとっては邪魔で迷惑な存在だと言うように描かれているのだと思います
政府の秘密の計画を暴く者はこのように排除される危険性があると訴えているわけです
しかし、コロナ禍を経た私達は、すっかりスレてしまいました
宇宙人が劇中で未知のウイルスのような存在と説明されると、そのような言説はコロナワクチンの陰謀論を信奉している人の言葉を聞いたような気持ちになります
宇宙人の肉体乗っ取りを防ぐのがコロナワクチンの本当の目的だったのだといわれたかのように
ラスト近く
遂に宇宙人の地球侵略が始まり、宇宙から無数の火球がまるでB -29から投下される焼夷弾の無差別爆撃のように、地上にふりそそぎます
戦争をする国の末路はこうなるだとの監督の結論だと思います
しかし、ラストシーンでの鳴海が入院する病院での会話で宇宙人が突然、地球侵略を止めたと明かされます
愛の概念を宇宙人が知ったから?
愛は地球を救う!
えっ!そんな陳腐なこと?
笑ってしまいます
これこそお花畑と言わざるを得ません
空想的平和主義そのものです
概念をうしなって、思考停止したかのようです
愛の概念を失ってしまった鳴海は抜け殻のように成ってしまってます
かって夫であった加瀬真治を乗っ取った宇宙人はより、自然な人間に近くなり、鳴海にこういうのです
「ずっとそばにいるよ」と
ぞっとしませんか?
愛を失った鳴海とは愛国心を失った国民を表しているとしたなら?
そういうふうにならなければ、戦争を防ぐことなどできはしないと監督は主張しているのだと思いました
自分にはその言葉は地球人が宇宙人を愛し、侵略を心から受け入れるまで「ずっとそばにいるよ」という意味に聞こえるのです
そして黒沢清監督は、2020年に「スパイの妻」を次作とするのです
その映画は、はたしてそのような監督の主張の延長線上にある作品でした
隣の宇宙人
特撮は終盤までほとんど必要最小限にしか使われてないんだが、それでいてちゃんとSFになっているのが良い。物語のテイストも、『ウルトラQ』というか、『ウルトラマン』の出てこない初期ウルトラシリーズというか、やっぱり僕はこういう日常の隣にあるようなSFを描いた作品が好きなんだな。SFであって必ずしもSFではない世界とでも言いますか。
黒沢清監督の演出も冴えまくっていて、舞台の映画化なのに舞台臭さが全くないのもいい。役者陣もみんな良くて、主演の長澤まさみはやっぱり上手いし、松田龍平の無機質な感じも宇宙人役にすごくハマってたし、他の2人の宇宙人役の高杉真宙と恒松祐里もこれまた予想外に良かったし(今じゃ2人とも出世したなあ)、長谷川博己ら他の役者もみんな良くて、一流の俳優がこれだけそろって特撮のほとんどないSF映画を演じると、SFというより純粋なドラマ映画としてこれだけ楽しめるという見本のような映画だった。
リアル路線のデストラクション
シンちゃんが、ガイドから愛の概念を授かって侵略を中止するというラストが良い。
長澤まさみさんなど長身の俳優陣たちが活躍していて、戦いのシーンも迫力があり引き込まれた。
途中、若干睡魔に襲われたが、自宅観賞(Hulu)だから休憩を挟みながら視聴できて良かった。
ウィルスが流行してから戦争という流れはリアル。
公開された2017年は、陰謀を陰謀論として片付けていた風潮だった頃。
世の中の茶番や陰謀が、一般常識になってきた今なら理解しやすい内容である。
愛に負けた侵略者
やっと観ることができました。
長澤まさみさん、いいなぁ。
ヘアスタイルもこっちの方がいいなぁ。
松田龍平さん、今よりシュッとしている。
宇宙人⁉️凄いなぁ。
概念 を奪うなんて、
そしてその人間の体を乗っ取りその人になりすます。
光石研、社長さん、
🩷ピンクのセーターを肩に掛けて登場したので、
いやらしいかな、と感じたらやはり。
妹もやられ社長も。
信じられないない鳴海。
厚生労働省の品川が週刊誌記者の桜井に
ウイルスの感染だとか言いに来たが、本当か。
いつのまにか自衛隊員も装甲車と共に。
先程概念奪われた丸尾が演説する事態。
立花という少女?が
警官を殺す過激な行動を取り桜井に疎まれる。
子供たちの讃美歌が可愛くて良かった。
また、立花が人を殺した。
桜井はそうと知っても離れない、
何を考えているんだか。
その頃街は、
ウイルス感染でパニック状態のところも。
(2,3年後のコロナ禍が分かってはいないだろうし)
桜井は、必死に地球🌏の危機を熱弁するが。
鳴海パニック、真ちゃんが大❤️なんだな。
ラスト鳴海がなぜ?と思ってしまう。
真ちゃんは❤️してくれるけども。
苦手な作品だったが、鳴海の愛の力が強かった、
ということ❓
ALL YOU NEED IS LOVE
出演料でお金なくなっちゃったかな
宇宙人が他人の身体を支配するのは良いけど、そんな能力を備えてる宇宙人が最後に死ぬって、矛盾があるなと!
設定は、面白いです!
もう少しCGにお金かけてほしかったです
俳優さんが錚々たるメンバーなので、申し分なし
期待してたけど・・・
アマプラで鑑賞。
細かい設定が甘々。
概念を盗まれた側の後の行動が曖昧。
良い大人が「仕事」の概念が盗まれたらあんな幼稚園児のような行動を取るだろうか。
仕事の概念を失っても一般常識は残っているはず。
「愛」の概念を失ったら記憶喪失者のようになるのだろうか?
その辺りが意味不明。
愛は決して絶えることはありません
SFって、やっぱり難しい
2017年 日本のSF作品
テーマは「愛」だろう。
ただその愛は必ずしも普遍的概念ではなく、「日本人が考える愛」になっている。
人間の持つ「概念」を奪うことで人間というものを知ろうとする宇宙人
彼らの目的は「侵略」
概念を奪われた人間は、その概念がすっぽりと抜け落ちてしまう。
地球に到着した宇宙人は3名
それぞれ概念を奪いながら3人がその概念を一つにして「侵略」するのが目的。
しかし、
人間を侵略したいのか地球を侵略したいのか?
地球を侵略する場合、一気に人類を殺害してしまえば済む。
実際火の玉のような攻撃を加え始めた。
人間の概念を奪うことでその人から概念が抜け落ちるのは、宇宙人にもわからなかったこと。
人間というものを理解すると同時に人類を攻撃できる理由が分からない。
人間の概念を奪う目的が侵略とどのようにつながるのかいまひとつわからなかった。
さて、
2017年 この時代はまだ日本のSFの概念がこのあたりにあることが伺える。
すでに古いとしか言えない。
この点が残念だった。
ただ、
なぜ宇宙人が攻撃をやめたのかを明確にしなかった点は良かった。
描けばしつこくなる。同時につまらなくなる。
逆に、
宇宙人は最初どのように人間の脳に寄生したのかを描いてほしかった。
「2か月後」のシーンで、ラボの小泉今日子さんが「ナルミさんの症状だけ事例がない」というようなことを言う。
しかし、ホテルでナルミはシンジに「私から愛を奪って 愛はなくならない」とも言っている。
ここに統一性がなくSFとしての描き方にブレがある。
実際ナルミは愛を奪われた。
しかし、その代わり人類は助かった。
「人類が抱えてきた山のような問題を一から考え直すことができた」
それは愛という代償の産物だったのか?
「愛と犠牲」
この概念が抜けきっていない、時代。
2005年の映画「宇宙戦争」
あれよあれよという間に侵略される地球
人間と水が食料
しかし、細菌や微生物によって侵略を断念した宇宙人
この緊迫さとリアルさが欲しかった。
全体的に面白いものの、SFとしての設定のブレはあってはならない。
だからSFは難しい。
「愛」
そしてシンジは最後に言う。
「ずっとそばにいるよ 最後まで」
表現的にも非常にわかりやすい。
しかし愛は奪うことなどできないということを描くことで、この作品はめちゃくちゃよくなったと思う。
プロットはしっかりしていたので惜しかった。
最後にどうしても日本人的な概念を持ってきたかったのだろうが……
どこか不思議な展開
侵略の目的…
そこがそもそも不明なので共感できなかった。飄々としたシンジと天野のキャラが被って見えて、冒頭の設定説明的なシーンが長過ぎた。記者の桜井もこの世に未練がないのか、目的がジャーナリズムなのかなんなのか分からない。ラスト、愛の概念を奪ったお陰で人類が救われたわけだが、個人を犠牲にして良いのか、そんな風に考えてしまった。
GPS装置を渡すなんて卑怯ですね。卑怯だろ~?
もしかすると、筋肉ムキムキの笹野高史が飛び出してくるんじゃないかと妄想してしまうが、それよりも厚生労働省って肩書がいかにも卑怯だろ~って思ってしまう。どうして厚生労働省なのか、どうして謎のパンデミックが起こっていたのか、宇宙人による侵略がメインテーマであるハズなのに、一方では自衛隊も出動していて、戦争が今にも始まろうとしているという展開に納得がいかない。
本作は黒沢清監督のオリジナル脚本ではなく、前川知大という原作者がいて、元は舞台劇であるのだという。前川原作の『太陽(2015)』でも独特のSF世界観を発揮していたのですが、どちらも舞台劇ぽい狭い範囲での設定です。黒沢清の映画なのだから、誰かが幽霊なんだろう!と勝手な先入観で見ていると裏切られてしまいます。
基本的には人間の体を乗っ取った3人の宇宙人が中心。加瀬鳴海(長澤まさみ)の元に戻ってきた夫・真治(松田龍平)。青年・天野(高杉真宙)、女子高生あきら(恒松祐里)だ。宇宙人は人間の概念を奪い、知識を蓄えていく。れは「家族」であったり「仕事」であったり、抽象的な概念なのだ。概念を奪われた人間はその部分が欠落して痴呆化してしまうようだ。医者から若年性アルツハイマーの疑いを持たれるほど知識不足だった真治たち宇宙人は徐々に人間を理解していくのです。
真治のガイドとして運命を共にする鳴海、天野のガイドとして行動するジャーナリストの桜井(長谷川博己)は概念を奪われないという設定。やがて3人の宇宙人は仲間に通信機で交信し、地球を侵略し始めようとしている。命が惜しくなった桜井はわずかな生き残りの“サンプル”になることを希望し、彼らに協力してしまう。一方、鳴海は真治と一緒にいたいと切望する・・・
結局は「愛が人類を救う」という壮大なテーマではあったものの、戦争が始まるとは何のことだったのか、笹野高史は何だったのかと、大きな謎も残したままエンディングを迎えます。「人類すげーな」とか「人類をなめんなよ」とか、やたらと“人類”を強調していたこともクスッと笑えてしまう作品でした。
【2017年9月映画館にて】
愛は人類を救う
【沢山の違和感を感じつつも最後まで観させてしまう演出】
・2017年公開の日本のエイリアン系SFドラマ映画。
・劇団イキウメの舞台作品がもととして、黒沢清監督が製作した映画のようですね。
・鳴海(長澤まさみさん)の夫(松田龍平さん)が、行方不明の状態からようやく帰ってきたら別人の性格。夫は「僕は宇宙人」「地球を侵略しに来た」「君にガイドしてほしい」といった信じられない事を鳴海に伝える。一方、桜井(長谷川博己さん)という週刊誌記者の元にも高校生くらいの男女の宇宙人が「僕たち宇宙人」「ガイドしてよ」と現れる。人間に乗り移った3名の宇宙人は、地球上で人間の概念を、人間の頭の中から集めて自分たちの星に送ると、地球の侵略が始まる。半信半疑で宇宙人のガイドをするうちにこれから地球侵略をしようとしている宇宙人と共感し始める鳴海と桜井。彼らは、宇宙人は最終的にどうするのか。 という大枠ストーリー。
[お薦めのポイント]
・「概念を奪う」という奇抜な設定
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
[物語]
・前知識なく鑑賞しました。パッと見た印象は「スケール大きな話をこじんまりと表現している物語」と映りました。しかし後で、もとは舞台作品と知り、なるほど、舞台でやったら面白そうな設定だ!と。ところどころ、登場人物の心の流れと言いますか、彼らの行動が違和感を感じてしまいます。ゴールありきのシナリオに向けて、キャラクターが動かされている感をどうしても感じざるを得ませんでした。例えば桜井の台詞「こいつらは散歩する侵略者なんだ!」などは観ている側が少し恥ずかしくなってしまいました。とはいえ、桜井の台詞「人類なめんなよ」や夫の行動や雰囲気など、面白く感じる面も多数あり、違和感と面白さがイーブンな評価でした。
[演出]
・この物語は演出が非常に難しいのではないでしょうか。そもそもの設定がスケールの大きな話をこじんまりと表現しているので、そのまま演出していくとどっちつかずのものにしかならない。とはいえ、原作を崩してしまうのも…という葛藤がありそうな作品に思えました。それでも決められた枠(物語)の中で、映画ならではの壮大さをエッセンスとして加えていたかと。ただ、それが若干無理を感じてしまう。例えば、冒頭のトラック横転シーン。これは宇宙人の超能力か何かと思いきや、そんな能力は彼らにはないので、単純に転んだトラック。え?そんなことあります?と笑 また、終盤戦で戦闘機が襲ってくるシーン。「早くアンテナ壊しなよ…」と笑 映像的には凄いのですが、物語的に違和感しか感じませんでした。
・ちょっと目に見えたマイナス点ばかり述べてしまいましたが、結局のところは「この無理目な物語(設定)をここまで観れる作品にした」ということは凄いなぁと思っています!
[映像]
・宇宙人の侵略シーンはもっとスケール大きくしてほしかったなぁと思いました。元が舞台なので、物語がこじんまりしてしまうのは致し方ないのですが、せっかく映画化するなら、その辺を大きく変えてでも、背景に潜む宇宙人たちの強大さを映像的にも大きく表現してくれると違和感なく共感できる気がしました。
[音楽]
・際立って感じたことはありません。
[演技・配役]
・夫役に松田龍平さんを利用したところが成功の秘訣だと思いました。彼の不思議な雰囲気なしではこの映画は成り立たないのではないでしょうか。最後まで観れたのは彼のキャラクターのおかげかと。また、鳴海役の長澤まさみさんも同じく。純粋で真面目で堅物な鳴海が、自身の性格にまっすぐに行動していく部分と宇宙人夫の個性的な部分が妙にマッチ。この2人の雰囲気がとても魅力的です。
[全体]
・物語そのものは違和感があっても、不思議な夫がどう行動していくのか、が気になって最後まで観れました。しかし、どうしてもスケール大きな話なのにどこかこじんまりした感じがぬぐえず、観ていて「宇宙人に侵略される」という危機感を覚えることができませんでした💦そのため、せっかく桜井が街中で人々に呼びかけるシーンも、観ている側も少し冷めた目で観てしまうことに。。。宇宙人の設定も明確さがなく、どこまで何が出来るのかがわからないまま進むので、モヤモヤ状態で観ることに。。。
・イケないイケない…またマイナス点ばかりですね💦いやいや、そもそもひど過ぎたら途中で観るの止めるので、最後まで観れたこと自体がありがたい作品だと思います。むしろ、自分がどこに違和感を感じるのか、などを色々と気づかせてくれる作品と考えますね。ありがとうございました。
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どうも黒沢清監督作品は合わないらしい。
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