劇場公開日 2017年4月7日

  • 予告編を見る

「今さら視聴」ゴースト・イン・ザ・シェル ハニーバジャーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5今さら視聴

2017年4月26日
iPhoneアプリから投稿

オタクさん達が口を揃えてブーイングの模様で、気持ちはわかりますが、それ程酷いものでもなく、普通に料金分楽しめるエンタメ作品に仕上がっていたと思います。
思えば今作の原作にあたる劇場アニメ版や原作マンガは、いわゆる一般的な作劇の教科書的なラインから見ると逸脱甚だしいところも多く、しかしまたそこがマニアには受けていたポイントでもあったという変な作品だったわけです。
今作の作り方は、原作アニメに多大なリスペクトを捧げつつも、登場人物らの背景が理解出来るエピソードを用意したり、主人公の心情描写をちゃんとやるなど、王道ではあるわけで、エンタメ映画としてガッチリやってました。
で、それが結果良かったかというと、「また世の中にまあまあの映画が一本増えましたね」というだけのこと。
今作のリメイクにあたり、改変部分をホントにザックリいうならば、原作の「ネットが進化したら、世界や人はどのように変わっていくのか」という最大の魅力部分を大幅にカットして、主人公の自分探しに尺をあてています。
「人間の魂がネットと融合していく未来」というオチは無しです。「そんなモラルに反するような最期じゃあ中国の田舎の人には理解でけん」ということでしょうか。「すでにネットが一般化したご時世で、今さら古い原作通りにネット社会を描いてもねえ」ということなのでしょうか。
これは世界で売っていくエンタメ映画としては全く正しい。観客には主人公に感情移入してもらわんとね。だけどそれじゃ志の高い一級品にはならなかったりするのでした。
日本が誇るタイトルの一つがまた世界経済の中でスルッと消費されてしまいましたね、という印象です。
あ、アメリカでは大コケだそうで、これこそ最大の問題。当たらないエンタメに価値はありませんからね。

ハニーバジャー