劇場公開日 2016年10月8日

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「勝手に考察!」淵に立つ Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0勝手に考察!

2019年9月2日
iPhoneアプリから投稿

語られていない部分を勝手に考察!

山形。庄内地方のキリスト教系孤児院に育った八坂。特定の宗教は持たないものの、原始の信仰心のようなもの(神との契約に応える義理)が身に付いている。そこでオルガンも習った。
ヤクザ風情の男は、約束絶対主義者の兄貴肌。女にゃめっぽうモテるが、自分の内なる幸せを拒む性質から、どんな女とも刹那的な関係しか築けない。
「はみ出し者」「壊れかけそうなもの」。彼はその余情そのものである。

八坂の子を一人で生んだ女は、母親としての役目を果たさなかった。息子のタカシに生きる喜びを教えてやらず、命の尊さを否定させた。

一方。
甘ちゃんのトシオは、工場を営む父親に反抗的な態度を取りながら、流されるままの人生を送っている。自立した知性に全く欠けている。保身という利欲に聡い人間は義理に疎い。

そして、敬虔なクリスチャンのアキエは、神の御心に全てを委ねる生き方に甘んじている。弱き者への「無自覚な上から目線」。自分の人生への「無自覚な無責任」。

この夫婦の共通点は、自発的に目の前の問題に対峙しようとする潔さを一切持ち合わせていないところだ。

そんな両親に、神が試練を与える。ホタルの受難によって、二人は強制的に「心」を動かざるを得ない状況に落とされた。

殉教者の証である「赤い」ドレスを受け取った瞬間に、神の制裁は下っていたことが恐ろしかった。

Raspberry