劇場公開日 2016年4月1日

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「オードリーか、多部ちゃんか、それが問題だ」あやしい彼女 ユキト@アマミヤさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0オードリーか、多部ちゃんか、それが問題だ

2016年4月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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幸せ

さて、いま劇場にいらっしゃる、シニアの皆様。そこのあなたですよ、あなた。
もし”映画の魔法”を「あなた自身に掛けることができる」としたらどうされますか?
1つの思考実験ですね。
仮にですよ……
もし仮に、あなたが「多部未華子」のルックスと、その「はち切れんばかりの若さ」を手に入れられるとしたら……。
”イマジン”してみてください。
あなたは何をしますか?
本作はそういう映画なのです。
そんな「夢みたいなアホなこと」を”抜け抜けと”やってのけた作品なのです。
その思い切った脚本と、キレのいい演出で楽しませてくれます。
主人公は倍賞美津子さん演じる、瀬山カツさん。
イマドキの高齢者は、なんでこうも元気なんでしょうね?
カツおばあちゃんも、普段からMAXハイテンションです。
ちなみに御歳、73歳。
この人がある日、ちょっとレトロで、お洒落な写真館を見つけます。
その表に飾ってあったのが、あのオードリー・ヘプバーン様。
映画と言う芸術における、まさに”王女様”と言ってもいいですね。
カツおばあちゃんは、かつてオードリー主演の「ローマの休日」を観たことでしょう。
そして、どんなに、どんなに、オードリーに憧れたことでしょう。
カツおばあちゃん、ついフラフラと写真館に入ってしまいます。
「いらっしゃいませ」
と100万ドルの笑顔で出迎えてくれる店主。
これが「ぬっくん」こと、温水洋一さんなんですね。
この辺りのキャスティングもいいですね。
そして運命のシャッターが切られました。
パシャ!!
その時、まさに「映画の魔法」が、御歳、73歳のカツおばあちゃんに掛かってしまったのです。
彼女はなんと、20代の若さに戻ってしまいました。
……と、まあ、ここまでは、いわゆる「前フリ」ですな。
はて? いつもは痛い肩も、腰も、膝も、全然だいじょうぶ。
なんだこりゃ?
カツおばあちゃん、びっくり。
「体が軽いよ~、動くんだヨォォ~!」
もう、こうなったら、やりたい事、全部やり倒してやる!
まずは、このチリチリのオバはんパーマ。
この髪型をなんとかしよう。
二十歳に若返ったカツおばあちゃん。
いや、今や「カツお嬢さま」は、美容室に髪をカットしに行くんですね。
映画好きなら分かるでしょ?
オードリー・ヘップバーン演じる王女様が、お城を抜け出し、こっそり街へ抜け出しましたね。
あこがれていた「ふつうの一般人」
街をぶらついてローマ観光。
美容師に髪を切ってもらう、あの名シーンの再現です。
「ローマの休日」のアン王女様は、ロングヘアが、あまりお好みではありませんでした。
いちどは思いきって、髪を短くしてみたかったのです。
街を散策中、見つけたのが「美容室」
ちょっとオネエっぽい美容師が、
「こんなキレイなお髪、本当に、ほんとうに、バッサリやっちゃって、よろしいのネ?」
と冷や汗をかきながら、美しいロングヘアーを
「OFF! OFF! バッサリ!!」と切り落としていくシーン。
オールドな映画ファンにとっては、もう胸が「キュンキュン」します。
その結果……。
オードリーのショートヘアーは、世界中の女性たちを虜にしました。
世界中の女性が、オードリーの髪型を真似しました。
本作でも、なんと多部未華子バージョンの「オードリー・ショートヘア」が見られるわけです。
多部ちゃんのファンとしては、これはもう、涙ものでしょう。
さて、カツおばあちゃん(いや、今やお嬢さん)には、幸恵(小林聡美)という娘がいます。
雑誌の編集やってます。仕事をバリバリやりすぎたのか、夫と別れ、シングルマザーです。
息子の「翼」(北村匠海)は、あんまり才能もないのに、バンドをやっている。
母の幸恵にとっては、我が子の将来が心配。
でも翼くん。そんな母に向かって
「はぁ? シゴト? ん~、俺、やっぱ、バンドで生きていくから」
なんて夢みたいなことをほざいております。
さて、カツおばあちゃんです。
髪を切り、オードリー・ヘップバーンか? はたまた、多部未華子か? というルックスを手に入れました。
幼なじみの風呂屋の次郎さん(志賀廣太郎)の所へ、偽名を使って転がり込みます。
苦し紛れに考えた名前が「大鳥節子」(オードリーと原節子の合体?!)
この次郎おじいちゃん、若い(若く見える)節子さんを気に入って、風呂屋の二階に居候させることにします。
そんなある日のこと、商店街の「のど自慢大会」が開かれました。
次郎さんは、幼なじみとも知らないで、節子さんを、のど自慢大会に連れて行きます。
カツおばあちゃん、若返って青春を取り戻した気分です。
おもわずステージに上がり、懐かしの昭和歌謡を大熱唱。
その歌声を偶然聞いていたのが、音楽プロデューサーの小林拓人(要潤)。
高学歴、高身長、高収入
全部揃った音楽プロデューサー。
しかもイケメン。これはいけませんねぇ~。
何か危ない雰囲気がしますねぇ~。
映画のその後が気になります。
このイケメン音楽プロデューサー、若くて魅力的な「節子ちゃん」が大いに気に入りました。
「存在感が素晴らしい! しかも歌がいい! これは売れる!!」と踏んだのです。
そこでカツさん、孫の翼くんたちと一緒にバンドを組み、デビューしよう、と言うお話になります。
まぁそんな訳でして、本作では多部未華子が「歌う!唄う!唱う!」
もう、たっぷりと楽しめますよ。
ロックバンドのボーカルとしての多部ちゃん。
昭和歌謡まで熱唱しちゃう多部ちゃん。
劇中歌をプロデュースしているのは小林武史さんです。
「Mr・Children」をデビューさせた人です。サザンオールスターズ、桑田佳祐さんとも関係が深い大ヒットメーカーですね。
こうなったら、多部ちゃん、デビューしちゃう?
さて本作は、オードリー・ヘップバーンという、世界的アイドル女優(もちろん実力も折紙つき)への敬愛の念が、たっぷり詰まった作品となりました。
もしあなたが「ローマの休日」という映画が好き、
あるいはバンドや、歌謡曲など、音楽がだい好き。
なにより多部未華子ちゃんが大好き!
ならば、迷わず、映画館へ直行しなさい!!
損はしません。
エンターテイメント作品として、相当、満足度高いです。
何よりこの映画が「いいな」と僕が思う理由は、
「映画って、やっぱり魔法なんだ」ということです。
映画というのは、ほんの束の間、夢見るファンタジーでいいのだ、という事を再確認させてくれます。
本作に限らず、フィクションとは「大嘘」です。
「うそ」丸出しです。
でも、その嘘が、とびきり魅力的な世界を広げてくれるのだったら……。
スクリーンで、でっかい大嘘をついても「イイんです!」
その割り切り、開き直り。
本作の「キレの良さ」はそこから生まれたのでしょう。
久々に、映画館で楽しいひと時を過ごせました
多部ちゃんファンなら、間違いなくオススメです。

ユキト@アマミヤ
terumin31さんのコメント
2016年4月17日

全く同感です。傑作だと思います。こういう映画を見たかった。周りのみんなに勧めまくりたいと思います!

terumin31