劇場公開日 2016年4月1日

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「世界よ、これが「ニッポン映画の現状」だ!」あやしい彼女 好きこそモノのヘタレなれさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0世界よ、これが「ニッポン映画の現状」だ!

2016年4月8日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

韓・中・日と三カ国版を観た中で、一番酷かった一本。

「20歳よ、もう一度」の感想で「いっそ日本でリメイクしたら…」と書いたが。
日本の映画と観客の質は、ここまで下がっているのだな、と悲しくなった。

この作品が悪いというわけではない。
むしろこれだけ観れば笑えるし、泣ける人は泣けるだろうし、エンタメ作として必要な部品は揃っていると思う。

ただ、日本風のアレンジが効いているのは良いが、それがオリジナルの物語の力をすべて削ぐ方向なのは…どうなのだろう。
一番大きな設定変更が「息子」から「娘」。
今の日本にウケる配慮なのだろうが、これだけで物語と登場人物がいきなりペラペラになる魔法を見たくもないのに見せてくれるサービスは、自分には本当に要らなかった。
婆さんの人物描写も、倍賞美津子氏の「多動障害」を思わせる演技と、良い所をほとんど描かず「ただの嫌な婆ァ」にしか見せない演出のおかげでまったく共感できず、クライマックスの破壊力も「何をいまさら言ってやがる」と思ってしまったのが非常に残念だった。
結局日本版では「みんな『自分のために』」行動して、その結果だけなんだもの。
元作の美味しい要素だけ、しかも表面的になぞっただけ。
完コピ未満の中国版のほうが、ずっとマシという悲しさったら。

ただし多部未華子氏だけは儲けモノ、本当に魅力的だった。
彼女の個性(味のある顔)と役柄がマッチした、「役得」とはまさに文字通りこのことだと思う。

もしこれを観たなら、ぜひともオリジナル版を観て欲しい作品。
その作品としての完成度の落差に震えていただきたい…

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