エール!のレビュー・感想・評価
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『コーダ』との違いは
『コーダ あいのうた』を比べるためにもう一度観た。『コーダ』は何を変えて、何を変えていないのか確認しようと思ったのだが、根幹はほとんど同じだが、ディテールは結構違う。
『エール!』では主人公一家の仕事は酪農や農業だが、『コーダ』の方では漁業になっている。漁業にすることで船舶からの警告が聞こえないというシーンが生まれ、よりドラマティックな展開を生んでいたが、こちらの作品ではあのような命の危機を感じさせるシーンはなく、牧歌的な雰囲気が漂う。また、主人公の兄弟を弟から兄に変えている。姉が弟の面倒を見るのは普通だが、妹が兄の世話を焼くのは、長男のプライドにかかわるのでここでも緊張感が生まれる。フランス版の『エール!』はいい意味で、そういう緊張感が『コーダ』より少ないので、ほんわかしているのだが、これはこれで心地よい。クライマックスの感動はどちらも素晴らしく、改めてよく出来た作品だと思った。
公開時に見逃していたのを後悔するほどの傑作!
両親と弟が聴覚障害者で、家族で唯一健常者のミドルティーンの少女が歌の才能に目覚め、都会の音楽学校への進学を目指す。かなり奇をてらったような筋書きだが、ユーモアあふれるエピソードの数々と、それらに説得力を持たせる演技と演出のおかげで、作品の世界に引き込まれたまま最後まで興味が途切れない。
「最強のふたり」もそうだったように、障害者と健常者のギャップと支え合いをユーモア交え感動的に歌い上げるセンスは、フランス映画の伝統的な長所であり美点だと思う。
主演ルアンヌ・エメラのいかにもあか抜けないルックスと美声も作品にぴったり。また、ヒロインの快活な親友を演じたロクサーヌ・デュランは、最新作「エヴォリューション」でまったく別の顔を見せる。彼女の演技の振り幅にも感銘を受けた。
フランスの歌
CODAの子が歌手を目指す物語、これをコメディにしてしまうフランスはすごい。
出てくる歌の歌詞や内容がなかなか濃い。サドより深く〜みたいな。
それに先生がなかなか良い。
父親の選挙がどうなったのかは気になったけれど…
ハリウッドリメイク『CODA』のオリジナル版。 監督が違うにも...
ハリウッドリメイク『CODA』のオリジナル版。
監督が違うにも関わらず、CODAとは設定が異なるだけで、演出や話の順序等が非常に似通っている。違い(エール/CODA)を列記すると、
・酪農業 / 漁業
・弟 / 兄
・父親が選挙戦に出馬 / 聴覚障害を理由に漁業権を一時停止される
・正常聴覚者が演者 / 聴覚障害者を演者に含む
エールでは『 聴覚障害は(ハンデキャップではなく)個性のひとつだ』といいながら父親が選挙戦に出馬するが、一方CODAでは、聴覚障害を理由に漁業権が一時停止されるエピソードに置き換えられ、聴覚障害がハンディキャップになり得る事を強調している。
弟を兄に置き換えることで、主人公であるCODAが抜けた後の残された家族の生活障害が困難になりにくいように配慮されている。
またエールでは手話がめちゃくちゃだった(言語になっていなかった)点を反省し、聴覚障害者の俳優を抜擢したとのこと。
より『 CODA(Cildren of Deaf Adults )』や『ヤングケアラー(young carer)』の問題を強調した作りとなっているのが『CODA』と言える。軍配はCODA陣営に上げたい。
成長と成熟を軸に、尊重しあう家族の強さを描く
「エール!」と「コーダあいのうた」どっちを先に観る?という悩ましい問題について、原作(という表現で良いのかな)の印象に引っ張られないよう、「コーダ」の方を先に観ておいた。
結果、作品賞を獲ったりレビュー評価が高かったりする割に、面白味のない映画だったなという悲しい感想になってしまった。
とばっちりで「エール!」の方も興味が薄れてしまったのだが、月イチ開催の映画鑑賞会で是非観たい!というリクエストがあり、あんまり気乗りしないまま「エール!」を観た。
何これ、全然違うじゃん!めちゃめちゃ面白いじゃん!ストーリーほぼ同じなのに、笑えるところはちゃんと笑えて、しかも感動してホロッと来るじゃん!全部知ってるのに?!
リメイク作品がダメだというわけじゃない。「荒野の七人」や「バニラ・スカイ」、「ディパーテッド」は元の作品との違いこそあれ、1つの映画作品として洗練され、描きたかったテーマをとことん追求し、名作と呼ばれるに相応しい1本となっている。
しかし、「コーダ」は「エール!」が持っていたシンプルだけれど強いテーマに余計な要素が足され、本来のテーマを曇ガラスの向こうへ追いやってしまっていた。
「エール!」のテーマはズバリ「成長と成熟」、運命なんていう不愉快な観念をぶっ飛ばす「羽ばたきの物語」だ。
オープニング、主人公ポーラの一家が営む牧場での牛の出産から物語は始まる。産まれてきた仔牛はやがて我々が食べる牛肉になる。それは運命なのだ。白と黒の斑模様の牛たちの中で、たった一頭真っ黒な仔牛は、ベリエ家とポーラのメタファーである。
彼女もこの仔牛のように、運命に縛りつけられ、彼女の一生は変え難い運命に決定づけられている、ように見える事を狙ってこのシーンは存在するのだ。
この真っ黒な牛に、父ロドルフによって「オバマ」と名づけられ、以降も大事なシーンを担う。
考えてみれば、オバマ大統領だって白人ばかりの歴代大統領の中で今のところ唯一黒人の大統領となった、「YES,we can」の人である。しょーもない差別的なジョークなどではなく、畜産業における牛という「運命」を、「我々は変えていける」という重要なメッセージなのだ。
歌うことを選んだら、家族と離れなければならない。家族と離れてしまうことなど想像もできず、自分に自信も持てない。そんなポーラがふと目を止めた先で、オバマはポーラをじっと見返すのだ。
ポーラが見ているのはオバマを通した自分の姿だ。いずれ出荷される運命、私はそれで良いの?
ポーラに訴えかけるのは、牛じゃないオバマだ。自分を、可能性を信じて。「きっと出来るから」。
可能性を信じて闘うことは、父ロドルフ自身が選挙に出る事でも描かれる。父こそ、「耳が聞こえない」という運命をものともせず、自分の力を信じて、自分のやりたいことを真っ直ぐにやってきた。
成長というパートは、弟クエンティンの恋パートでも描かれる。女の子とスキンシップしたい!という欲求に素直に従う姿からは、聴覚が不自由であることへの不安も不自由さも一切感じない。
母であるジジが、ポーラのパリ行きを反対するシーンは、チーズ工房である。泣きながら「ポーラはまだ私の可愛い赤ちゃんなの」とすがる姿は、母の愛情とまだ子離れ出来ないジジの両面を描いている。それが熟成が必要なチーズとともに描かれているのが、また興味深い。
ジジにとっての「羽ばたき」とは、自分の子どもが手を離れ、一人前になることを見守れる強さを手に入れることなのだ。
成長、或いは成熟へのそれぞれの道のりが重なるように描かれ、互いが互いを必要とすること以上に、互いに尊重し合う。繊細で緻密な演出と構成が本当に素晴らしい。
この映画の中でハンディキャップは必要最小限の要素に留まり、メインのテーマを圧迫することなく、また不要で不可解な感動ポルノに変化することもなく、「当たり前」に存在する個性として捉えられるよう細心の注意が払われていると思う。
この象徴的なシーンの数々を生み出せるのに、なぜこの部分を残さなかったんだろう?アメリカにだって牧場はあるでしょうに。
逆にメロドラマチックに盛り上げようとして、「エール!」が持ち合わせていた各々の個性や、ポーラや家族や先生の気持ちを想像しうる「タメ」の時間が微妙に削られてしまっていた。
どう考えても「エール!」の方が良い映画なのに、なんでレビューの点数は逆なんだろ?
素敵な家族愛の物語のはずなのだが…この家族をどうも今ひとつ好きにな...
素敵な家族愛の物語のはずなのだが…この家族をどうも今ひとつ好きになれない。特に母。心変わりの訳分からず、最後の発疹は大丈夫だったのか(笑)主人公はまずまずなのだが、母への嫌悪感を吹き飛ばしてはくれなかった。
全編に漂うフランス🇫🇷的下ネタもあまり好きじゃない。あれがフランス🇫🇷文化なんですね。シティーハンターが喜ばれる訳がようやく納得できた(笑)
既に「コーダ」を見た既視感も邪魔したかもしれない。「コーダ」は感動したんだけどなぁ(笑)
フランス映画感動❗️
元気な家族、あのあけっぴろげな性格のお母さんや型破りなお父さんがポーラを育てたのだ。
縛っていたかのように捉えていたが、あの両親家族だからこそ、ポーラを成長させたのだ。
最後の発表会、先生のはからいで、
娘の歌が聴く人々に感動を与える事を
肌で感じた家族の驚きと喜び。
さらに父親は、喉に手を当て声の響きを確認して、パリへのGoサインを出す。(やっぱりだいぶ震えていたのだろうか、自分だとあまり震えがなかった。)
最後のコンクール、途中から手話も入れて感動パパママに、
逃げ出すんじゃない、飛び立つんだ
と、訴えるように。
本当、審査員の人も言ってた、選曲がいいと。
フランスは、何というか、
学校の発表会の歌でも歌詞がビックリ、
娼婦の言葉❗️
発表会の舞台裏でキスするとは⁉️
日本とだいぶ違う。
ポーラ役の俳優さん、綺麗な声で上手かった。
これからが楽しみ。
素晴らしき歌声
この映画の最大の魅力は、なんと言っても歌声にあると思う。
この女の子の歌声が、このように素晴らしい声じゃなければ、間違いなくここまでの評価される映画では無かったと思う。
映画の根源で有り、どのシーンも歌声が素晴らしいからこそ素晴らしいシーンに繋がると思う。
心から、この歌声に感謝したい!
もちろんコーダのほうも観ましたし、主人公の女の子も素晴らしかったが、エール!の女の子は別格だと思った!凄すぎる歌声。
下ネタ苦手さんには向かないかも
タイトルにも書いたように
ライトな下ネタがちょいちょい挟まるので、
下ネタが苦手な人にはそれが煩わしかったりで
あまり気に入らないかもしれない。
たぶんフランスでは両親のセックスとか
性関係のことは日常から隠さなきゃいかんって感覚ではなく
自然な流れで日常に存在してる感覚なのではないでしょうか。
体格がいいので当初は高校生とばかり思って観てたんですが、
初潮や声変わりのことを思うと
あれは中学生なんですね。
となるとまあずいぶんと早熟な。
発表会でデュエットさせる曲も
中学生に歌わせるジャンルのじゃあないような(笑)
多少構成が雑と指摘もされてる方もいます。
整合性を第一とするようなタイプの話じゃないので
そこは目をつむったほうがいいです。
それよりも、ちょっとした日常での生活音が大きいとか、
娘の晴れ舞台なのに家族にだけわからないとか、
または喉の振動で声を感じたいとする親の気持ちなど
そういったキーになる場面のさりげない演出がとても良かった。
いかにもここで泣けよとしつこく出してくるわけではない。
だから号泣はしませんでした。
でも私は後味とても良かったです。
だって障害を邦画で扱ったら、
ものすごく重くて悲しくて辛いのかわいそうでしょ、さあ泣け!て
ものが出てきそうなんですもの。
それを考えたら苦労まで笑い話にくるむエスプリのオサレなこと。
コミカルな作りなので、
フランス映画はちょっと苦手、という方でも
楽しめると思います。
どうしても受け入れられない
リメイクと悩みましたがこちらを鑑賞。厳しい生活のなかで自分の夢と家族への想いで葛藤し、可能性を信じて旅立つようなストーリーを期待したけど、長閑な田舎街でのホームコメディ要素のほうが強い印象。身内での下ネタはどうしても・・・。
家族愛
聴覚障害の家族の中で1人耳の聞こえるポーラ。日常の音に1人敏感なポーラの様子が冒頭に。トイレの音や食器の音、夫婦の営みなど。でも深刻に表現せず、昼間から始まった父母の行為に、友達と始まった〜と笑い転げるあたりは演出が上手い。病院で、炎症に薬を塗る塗らないの医者と夫婦のやりとりを通訳する高校生の娘。
まだ高校生なのに、家業の酪農の経営に関しても、役場などとのやりとりはポーラを通して。大変な役回りです。
父親はポーラがいなくなっても、自分たちでなんとかしなくては、との思いもあり、町長にも立候補するほど。母親はかなり助けてもらっていることは承知しながらも、まだまだ私の可愛い赤ちゃんとの思いもあって、遠くに行かせたくない。
両親,弟を思い、一旦は自分の夢を諦めたポーラだったけれど、お父さんはちゃんとわかってくれて後押ししてくれた。
夜中に起こして家族でパリを目指し、テストでポーラの選んだ歌がまた素敵。家族に伝わるように手話を交えて歌う場面は感動。
学校の発表会で、合唱の場面で音を消した演出は上手い。両親にとってはまさにあの状態なんだから。
とても、暖かい、ポーラも家族も、みんながんばれ!まさにタイトル通り、エール!
両親の心痛が伝わる。
ポーラの本意に気づいたとき、さぞかし切ない思いをしたことでしょうね。ご両親は。
その気づけなかった理由が、自分ではどうすることもできない障害が原因であったとしても。子の幸福を願わない親は、いないと思うので。
その心痛が、スクリーンを通して伝わるように思いました。評論子には。
良い作品だったと思います。
やっぱり泣いてしまった…
コーダで本作を知り鑑賞。
コーダで免疫ができていたのに、やっぱり泣いてしまった…これは珠玉のストーリーだ!
フランスの田舎町の穏やかで美しい風景に、心暖まるあまりにもピュアな家族愛が、本当によく映えた。
本作もコーダもどちらも大感動作であったため、どちらがどうこうという個人的なコメントはひかえたい心境だ。
良い映画だった
ハンデはあるだろうけど、理由はどうあれ、子供の夢は親は応援してほしいかな。あとお母さんがデリカシー無さすぎ。そこは共感できなかったけど。
でも主人公の演技がすごく自然で、歌が上手いのが何より良かった。
コーラス部の先生も最後良かった。
フランスの曲なのかな、あのデュエットの曲はあんま好きじゃない。
でも全般的にわかりやすくて、楽しめる内容だった。
評点:3.7
普遍的な若者の夢への挑戦に聾唖者の家族愛を絡めたストーリー・脚本が素晴らしく、ハリウッドでのリメイクも納得
エリック・ラルティゴ監督による2014年製作のフランス映画。
原題:La famille Belier、配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム
普遍的な若者の夢への挑戦に聾唖者の家族愛を絡めたビクトリア・べドスのストーリー・脚本が何よりも素晴らしい。主人公のルアンヌ・エメロが手話の通訳を心ここに在らずではしょったり、危ない言葉を誤魔化したりするのが何とも微笑ましい。そして、パリの音楽学校入学のための歌唱試験で、ルアンヌが見守る両親に向けて手話をまじえながら歌い上げるのが、凄く感動的であった。
基本的にシャンソン風のメロディーはあまり好みではないが、ルアンヌ・エメラの歌唱力は素晴らしかった。彼女が颯爽と走る自転車の映像も素敵だ。そして、学校の発表会で、ルアンヌの家族の認識状況再現のため音が消え観客の表情の身がわかる演出が、実に上手いと唸らされた。
歌の指導教師演じたエリック・エルモスニーノ(ミュージシャンでもあるらしい)のオタクがかってる熱血指導も印象的。そして音楽学校の試験で、伴奏無しでの危機に、何とかエリックが間に合いピアノ伴奏出来、更に出だしの声出し失敗でわざと演奏をミスり、やり直しする展開もよく出来た脚本と感心させられた。
女友達への弟によるかなりエロい手話指導と、言わば落ちとなるゴムアレルギーによるアナフィラキシー騒ぎは、フランス風下ネタなのかな。
最後、家族の抱擁を終えて未来に向けて走るルアンヌの姿、そのストップモーションで終わるラストは鮮やか。更にエンドロールで、主役2人を始め複数のロマンス成就を見せるのもとても暖かくて気に入った。ハリウッドでのリメイクもうなづける、感動させられるステキな映画であった。
製作エリック・ジュエルマン 、フィリップ・ルスレ、ステファニー・バーマン
原作ビクトリア・ベドス、脚本ビクトリア・ベドス、 スタニス、ラス・カレ・ド・マルベル、グ エリック・ラルティゴ。撮影ロマン・バンダン、美術オリビエ・ラド、編集ジェニファー・オージェ。音楽エフゲニー・ガルペリン、 サーシャ・ガルペリン。
出演は、ルアンヌ・エメラ(ポーラ・ベリエ)、カリン・ビアール(ジジ・ベリエ)、
フランソワ・ダミアン(ロドルフ・ベリエ)、エリック・エルモスニーノ(ファビアン・トマソン)、ロクサーヌ・デュラン(マチルダ)、イリアン・ベルガラ(ガルリエル・シュヴィニヨン)、ルカ・ジェルベール(カンタン・ベリエ)。
魅力的なルアンヌエメラ
ルアンヌエメラ扮する女子高生ポーラベリエは、家族で唯一言葉が話せる。牛の世話もしながら明るく育った。テレビでも両親に手話通訳している。父親が村長選に出る事になった。ポーラはコーラスをやる事にした。なかなかいい声だし、ルアンヌエメラはなかなか魅力的な女優さんだね。
歌の世界に行きたい娘の希望を受け入れられない聾唖の母親。娘はつらいね。でもやっぱり家族。 娘の希望は最大限叶えてやってほしいね。先生も素晴らしかったね。感動的なラストシーンで良かったよ。
ヤングケアラーの葛藤
ろうあ者を親にもつ女子高生の物語。
弟もろうあで外との
コミュニケーションは
彼女なしでは成り立たない。
飼料の支払い、客との会話。
家族に振り回される中
そんな彼女にも魅せられる
ものに出会った。歌との出会い。
前に進むきっかけになる。
歌いながら手話をするシーンは
この映画ならではの見せ方で
とても良かったです。
どうでもいいですが向こうでは
生理や声変わりは遅いんですかね。
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