劇場公開日 2015年12月12日

「人生に後悔はつきものだから、泣けてくる。」orange オレンジ Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人生に後悔はつきものだから、泣けてくる。

2016年5月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

予告編のみの知識で鑑賞です。
原作漫画にはあまり忠実ではないようで、
従来ファンからは酷評のようですね(笑)
2時間超えの尺でおさめたり、
監督の意志が入るので、
なかなか難しいと思いますが。
1本の映画として、フラットな感想です。

「10年後の私」からの手紙という設定で、
「時をかける少女」のような、
ワクワクするファンタジーだと思ってました。
だから中盤から涙が溢れ出してきたのは、全くの不覚。
テーマの軸がしっかりしてます。

誰だって人生に後悔はつきもの。
そして苦い経験は、
オトナになる前の思春期に集中してる。
あの日、ひとこと言葉が出ていたら、
少しでも勇気を出して行動していたら、
違った結果になっていたかもしれない。
そんな誰もがもってる切ない想いが蘇って、
胸にジンジンと響いてきます。
男女織り混ざった友情もので、
おざなりな恋愛話じゃないのもよかった。
お互い助け合い支え合って、
仲間を救う気持ちがキラキラ輝いていました。

10年という時間を戻って
パラレルワールドが進行するギミックも、
映画ならではの醍醐味に溢れてます。
解決がいちいちリンクしなかったのも、
段取りくさくなくていい。
展開や脚本も、
この尺ではよく練られていましたね。
ちょっと意外な重めの設定も、
ストーリーに深みを与えてます。

山崎賢人くんは感情を押し殺して、
微妙な気持ちを上手に演じてましたね。
ダチの竜星涼さんは、戦隊系出身の人なんですね。
いい奴オーラ出てましたけど、高校生に見えませんね(笑)
この二人はサッカー部のエースなのに
全く日焼けしてないのが、
妙に気になりましたけど。
ヒロインの土屋太鳳さんは、
目が強くて印象的でした。
けどアニメ声で感情移入できず、少し残念。
清水くるみさんは、「桐島〜」の時同様
ナチュラルな演技が上手いですね。
存在感ありました。
漫画のキャラは分かりませんが、
おのおのに個性があって、
良いキャストだったと思います。

特筆すべきは、
松本の美しい四季の風景。
照明やカメラ回しが、すこぶる良かったですね。
CGで桜や紅葉は足してるけど、
実写にこだわったリアリティが素晴らしい。
田舎の高校生が、羨ましくなりました。
オレンジが印象的なラストも、
素敵なシーンでしたよ。

中高生は、
一度きりの青春時代に仲間の大切さを感じ、
オトナは、過ぎた日の後悔に、ほろ苦くなる。
いろんな世代にいろんな感情を抱かせる、
良作だと思います。

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