劇場公開日 2015年9月26日

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GONIN サーガ : インタビュー

2015年9月14日更新
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「何も考えずに見てほしい」石井隆監督&東出昌大が語る本作の楽しみ方

佐藤浩市、本木雅弘、根津甚八、竹中直人、椎名桔平といった日本映画界を代表するキャストが集結したバイオレンスアクション「GONIN」(1995)。そのハードボイルドな世界観と独創的な映像は、公開から20年経った今でも国内外に根強いファンを持つ。“女性版”の第2作「GONIN2」(96)を経て、満を持して帰ってきたシリーズ最新作「GONIN サーガ」(9月26日公開)は、第1作の暴力団襲撃事件で親を失った子どもたちを主人公に据えた骨太な復しゅう劇となった。全3作のメガホンをとった石井隆監督と、主演の東出昌大に話を聞いた。(取材・文/編集部、写真/堀弥生)

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東出と共に新たな物語を紡ぐのは、桐谷健太、土屋アンナ、柄本佑、安藤政信といった個性豊かな顔ぶれ。さらには、度重なる病気と体調不良で俳優業を引退していた根津甚八が本作限りの復帰を果たしたほか、竹中直人やテリー伊藤といったクセの強いメンバーが、画面に迫力をもたらす。

過去作に引けを取らない豪華なキャストをまとめ上げた石井監督だが、本作の構想の発端は第1作の撮影当時にさかのぼるという。「ヒットマン京谷に出会い頭に殺されたパトの警察官、ほとんどの人が忘れてしまって当たり前の役だけど、彼にも妻がいて、子どもがいて悲惨な“ドラマ”が待っているんだろうなって、当時、自分で見ながら気になっていた。当然、氷頭にも久松にも大越にもですが」と振り返り、数ある候補の中から今回のストーリーを選択した理由を「『GONIN』のシナリオは色々持ってましたが、どこも持って行きようがない。角川のプロデューサーから『監督、次はバイオレンスをやろう!』と言われて、耳を疑うほど嬉しくて。これが最後のチャンスかもしれないと、それなら最初の『GONIN』の続編をと、提出したんです」と、作品にかけた並々ならぬ覚悟を明かした。

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暴力団・五誠会系大越組への襲撃事件で若頭の父を亡くし、残された家族を支えようとする勇人を演じた東出は、敬愛する石井監督とのタッグ、さらには初挑戦となるガンアクションにプレッシャーを感じつつも、「全部プラスの思いで撮影に臨んだ」と当時の心境を語る。悲しみを背負いながらも真っ当に生きていた勇人が、ある事件を境にたがが外れ、復しゅうへと突き進んでいくさまが本作の大きな見どころでもあるが、そのグラデーションを演じきった東出は、自らを「本当に不器用」という。そんな東出にとって、「ストーリーの駒じゃなくて、役者個人の“時間”と“肉体”を一度潜(くぐ)らせた形で芝居が立ち上がってくれば、僕らはその瞬間瞬間を逃さずに必死に撮るだけ」との考えを持ち、常に「考えて演じる」ことが求められる石井監督の現場は、役者としての限界を試されるまたとない機会だったようだ。「監督の声に一喜一憂するんです。(自主的な演技が求められる現場の雰囲気に)悩みや後悔はついて回って、でもやってやるぞと。なにくそって思いながらやってました」と、役者根性をのぞかせる。

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一心不乱に駆け抜けた撮影の日々を「怒涛の日々で、しっかり言える言葉が見つからない」と吐露した東出だったが、そこで得た自信は作品にしっかりと刻まれているのだろう。第1作と完全にリンクした内容にも「人物相関図が頭になくても面白いし、がっと集中して見られるっていうのが、やっぱり映画の1番の魅力だと思う」と、スクリーンの中で“今、まさに起こっていること”を見届けてほしい、と訴える。「『シリーズものだ』とか、ましてや『19年前の超大作の後だから』とか、色々なことを考えずに、見ていただきたい。そうしたら、『こんな日本映画、見たことない』っていうくらいの疾走感、衝撃が最後にあると思う」と、筋にとらわれず、作品そのものが持つ映像の力をビビッドに体感することが、本作の楽しみ方だと示した。

その言葉を受け、石井監督も「試写を見た人から、『最初は、前作が思い出されて、あれこれ思いが巡ってしまったけど、10分もしないうちに、もうそんなのどうでもいい!これは新しい別の映画なんだと、最後までどんどんのめり込んで見た』と言われてほっとした。第1作と違うサーガという『GONIN』を見ていただければと思います」と締めくくった。

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