劇場公開日 2016年4月16日

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「犠牲愛」オマールの壁 ku-chanさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0犠牲愛

2020年2月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

最近観た中で一番心を打たれた映画。懸命に生きているオマール( Adam Bakri)のせつない犠牲的愛の物語。こんなこと私には到底できないわと一言言いたくなるような映画。
2013年ごろ彼らはウエストバンクのパレスチナ自治区ヘブロンHebronで生きていくしかない。現在もイスラエルとのパレスチナの領土問題は現在も終わることなく続き、ますます米国の援助によってイスラエル入植地が拡大している。

ウエストバンクHebron というなかにいるパレスチナ人たちはこの中にいるだけで、どこにも行けない。海は遠くないのに見たこともないらしい。そこに、『ニュージーランドに査証をとって行く』と。他の人はどこがニュージーランドかもしれないとも。明るくポジティブなオマール(Adam Bakri)はガールフレンド(トレックの妹)の家に行くのにもパレスチナの地域と地域を隔てる巨大な壁(Oalandia Wall?)があるから、それを乗り越えなければいけないようになっている。乗り越える時、ユダヤ兵士に見つかれば機関銃で撃たれる。それに、イスラエル兵にパワハラされて、誰だっていつか仕返しをしてやりたくなると思う。

ガールフレンドのナディア(Leem Lubany)との愛を育みパン屋でピタブレッドを焼いてお金を貯めている。結婚して、部屋のここにテレビを置いてなどと二人の夢は膨らむ。パリに行ってみることも考えているが、それはただの夢だということを二人は百も承知だ。なぜなら、彼らはHebronハーブロンを一歩も出ることができないのだから。一瞬でも彼らに夢を持たせてあげたくなる。この望みがあってもどうすることもできないジレンマに置かれているんだから。

この映画のストーリーを説明するよりオマールについて書きたい。アダムは新人俳優だったらしいが、かっこいいし体力のあるニュヨークの俳優だ。多分あの壁を登って、細い路地を走り抜けているのはスタントじゃなくて彼じゃないかと想像する。壁は彼の希望でもあり(ナディアが壁の向こうにいる)障害でもある。彼の行動の好きなところはナディアと結婚するため一生懸命働き金を貯めているところで、その金がナディアのためになるなら自分の利益に結びつかなくても使う。(他愛の精神)
あれだけ懸命にナディアとの生活を夢見て貯めたそのお金を幼馴染、Amjad とナディアの結婚資金
のためにそれを差し出す。ナディアが妊娠しているから兄のトレックが承知していると言って二人を結婚させる。それに、裏切り者で嘘つきの幼馴染(Amjad)をイスラエル側に売らなかった。ユダヤ兵を殺したのはAmjadなのに。
オマールはイスラエル軍側とハーボン町の縄張りの両方と接触したが、自分のグループの人たちをうらぎらなかったしうらなかった。自分を捨てても、ナディアの生活をまもってあげるということ遂行した。結婚できなかったけど、これが彼女にあげられる愛だから。自分の仲間を裏切らなかったということはいい仲介者だったともいえると思う。でもこのことを知っているのはオマール本人だけだった。

最後にナディアはAmjadと結婚してもオマールと交換した愛の詩をまだ持っているとわかり、きっとオマールは彼女はまだ自分のことを愛していると思ったにちがいない。一緒になれないけど、これらの手紙(詩)をもっているとわかっただけでかれは幸せになった。そのあと、彼女に対する愛がまた強くなったと思う。

パレスチナに自由を。これ以上彼らの生活を苦しめるな。

Socialjustice