劇場公開日 2015年4月25日

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「何かに寄りそい、やがて生命が終わるまで…」寄生獣 完結編 ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0何かに寄りそい、やがて生命が終わるまで…

2015年4月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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待っておりました後篇!いっやぁ!期待を裏切りませんでしたっ!あの原作特有のドギツイ描写を見事に誤魔化し、巧みにかわしてここまでの一大エンターテインメントに仕上げたんだから大したモノですよ!大したモノ!

実際のとこね、原作に忠実に、儘になぞってやろうとすると、切り株描写は避けて通れないファクターとなるのですよ、どうしたって。で、だから日本で、しかも実写で、全国ロードショーで宣伝ガンガン掛けてやるとなると、オブラートの包み方がハンパなくなる恐れが発生し、こりゃあ原作レイプも充分に有り得るぞ!?と、前篇公開前はかなり身構えてしまって。んで蓋を開けてみたならば、ええ。杞憂に済みました。
確かにグロはとことん希釈されておりましたが、あのザクッ!グチャッ!は上手に隠しつつそれでも気分をザワつかせる雰囲気作りは見事でしてね。ま、だから今回はその心配は一切取っ払って「さあ後篇は、あの原作で起こる怒涛の展開をどう捌くのか!?たった二時間足らずで仕上げることが出来るのか!?」という、期待感と不安感ない交ぜ状態で鑑賞に臨んだのです。

いやあ。ね。問題ないでしょう。物語展開はこれで良かったと思います。うん。
前篇でもそうだったんですが、原作の展開かなりコンパクトに纏めちゃってるんですよ。出てこないキャラクターも結構居たりして。ここ、人によって好みが別れそうなとこでして。
「なんであの個性的な父さん出さないで母子家庭にしちゃったんだよ!?」「なんで○○さん出さないんだよ!」とか、ね、まあ在る訳ですよ。俺もそれが全くなかったと言えば嘘になります。ただね、今回もなかなかに脚本が光ってるなぁと思いまして。あっちの展開とこっちの展開をワームホールの如き同時発生させちゃって、その力技に感心したし、原作だと或る意味で地味目だった後藤戦の最終決戦ステージを映画的画的にスケールアップさせちゃったりして。面白くしよう楽しくしよう盛り上げよう、という努力というか気概を感じたというか。

染谷君が主人公泉新一に起用されたのも、当初は不安だったんですよ。でも、こうやって鑑賞し終わってみると、ああ、これで良かったのかもなぁ、となって。熱血漢なんかより、あの少しドライな、何処か翳りを持たせた演技の出来る子の方が時代に合ってるわ、と。橋本愛ちゃんも可愛かったし、浅野忠信の後藤も良かった。

あとね、確かに物語の大幅な改変はありつつも、しかし寄生獣の寄生獣たらしめるコア、真っ芯となる部分、変えちゃいけない筋みたいなものは一切変えなかったのでね。原作ファンの自分としても、そこを変えられちゃったら穏やかではなかったですよ流石に(ラストとか変えられちゃってたらブチ切れてたかも……)。

うん。はい。存分に楽しませてもらいました。

ロロ・トマシ