劇場公開日 2014年3月21日

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「ミスター・トラヴァースへ愛を込めて」ウォルト・ディズニーの約束 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ミスター・トラヴァースへ愛を込めて

2014年8月6日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

幸せ

ディズニー1964年の名作ファンタジー「メリー・ポピンズ」の製作秘話を描いた感動作。

我が子たちとの約束の為、「メリー・ポピンズ」の映画化権を20年かけて獲得したウォルト。
ところが、原作者トラヴァース夫人はとんでもない人物だった!
気難しい。頑固者。口を開けば毒舌・皮肉のオンパレード。
ミュージカルはNO!アニメはNO!誰も指摘しないような細か過ぎる点にもNO!NO!NO!
これには映画スタッフも顔が引きつり、さすがのウォルトもKO。
こんな人物からよくもまああんな心温まるファンタジーが生まれたもんだ。そしてウォルトもまたよく映画化出来たもんだ。…と、見ながら苦笑い。
トラヴァース夫人が「メリー・ポピンズ」にこだわる訳は、亡き父の思い出があるからだった…。

トラヴァース夫人を演じたエマ・トンプソンは、久々に名女優と呼ばれるに相応しい名演。
正直イラッとするくらいの頑固者の一面と、亡き父へ思いを馳せる悲しげな一面、その合間合間の人間味ある一面…メリハリのある演技が見事!

ウォルト・ディズニーに扮するは、トム・ハンクス! 今の映画界、ウォルト・ディズニーを魅力たっぷり演じる事が出来るのはトム・ハンクスだけと言ってもいいくらいの好演。まさに夢のようなキャスティング。

トラヴァース夫人の専属運転手、ポール・ジアマッティも好サポート。
名優・演技派たちが絶妙な演技を見せる中、とりわけ秀逸だったのが、トラヴァース夫人の亡き父に扮したコリン・ファレル。
酒好きで仕事に失敗してばかりだが、娘にとっては愛する父。
まさかコリン・ファレルから、こんな優しく温かい演技が見られるとは!

本作は、「メリー・ポピンズ」の製作秘話を描いた映画と言ったが、少々訂正。
トラヴァース夫人とウォルト、それぞれの形で「メリー・ポピンズ」への思いが詰まった作品。

勿論、「メリー・ポピンズ」好きには堪らないニヤリとなるシーンも多々。
本作で描かれた「メリー・ポピンズ」の本当のメッセージを知ると、より一層感動出来る。
この名作がまた見たくなってしまうのだ。

近大