越後奥三面 山に生かされた日々

劇場公開日:

越後奥三面 山に生かされた日々

解説

日本各地の生活や民族を記録する作品を数多く手がけた記録映画作家・映像民俗学者の姫田忠義率いる民族文化映像研究所が、新潟県の最奥で自然に寄り添う暮らしを続けてきた山村・奥三面(おくみおもて)の最後の姿をとらえたドキュメンタリー。

新潟県北部の朝日連峰に位置する奥三面では、山の恵みを隅々まで利用する生活が昭和の終わりまで奇跡のように保たれてきた。冬の深い雪に覆われた山では、ウサギなどの小動物や熊を狩る。春には山菜採りや、慶長2年の記録が残る古い田での田植え。夏の川では仕掛けやヤスでサケ・マス・イワナを捕らえ、秋になると木の実やキノコ採り、仕掛けや鉄砲による熊狩りが行われる。

ダム建設による閉村を前に、映画スタッフは1軒の家と畑を借り、1980年から4年間にわたって村の暮らしを撮影。村人たちが連綿と続けてきた山の生活を、四季を通じて丹念に映し出す。2024年4月、デジタルリマスター版でリバイバル公開。

1984年製作/145分/日本
配給:民族文化映像研究所
劇場公開日:2024年4月27日

その他の公開日:1984年9月21日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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(C)民族文化映像研究所

映画レビュー

4.5やっぱ、山はいいなあ。俺は山しかねえなあ。山、山、山、俺には山しかねえなあ。

2024年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

なんと有益な記録映画だろう。あまり予備知識なしで観た。40年前にダムの下に消えた、新潟県の三面。三面川と言えば村上市に流れる川なのでその上流ということか。言葉は東北の訛に近い。海の民同志が多少離れていても生活や文化がつながっているように、山の民も同様なのだろう。この頃のオッちゃんや婆さんは当然もう鬼籍に入っているのだろうけど、画面の中では活き活きとしている。言い換えれば、土地に根付いた生活をしている。山奥という環境での暮らしが自分の生きる場所だという誇りさえにじむ。宮本常一の好きそうな土地だ。本職のナレーターではないのがたどたどしいが、慣れてくれば、フィールドワークの発表を聴いている授業のようにも思えてくる。
しかし日本は(というか地球上全てではあるけれど)、どこもかしこも、戦後からこの頃を一つの区切りとして、それまでずっとずっと受け継いできた土地土地の暮らしを捨ててしまった。便利は暮らしの方がいいと皆そっちを選んだからだ。こうした暮らしを不便と切り捨てて都会に集まったからだ。それを悪だとは思えないし、薄情だともいえない。その結果の発展によって、今の便利な世の中を享受させてもらっているのだから。ただ、この映像を見ながら、知らない土地の人びとなのにヤケに郷愁をそそられるのは事実だ。
この映画の中に暮らしには、長い年月をかけて積み重ねられた知恵と工夫がたくさんある。もちろん機械に頼ることも少なく、人手はあればあるだけいい。となると、そりゃあ家族も多いだろうし、子供だってたくさんいただろう。こういう山や、ここを下った海や、その間の宿場町や、ここかしこに人は暮らしを営んでいた。昔はどんな田舎だろうが人はけっこう住んでいたのだ。いま、旅をしてみる(僕はここ4、5年で全都道府県を旅した)と、そんな暮らしの跡がある。というか、地方にはそんな暮らしの跡しかない。でも、これが時代の流れ。カッコつけて、何とかできないか、と言ったところでできるものでない。だって、江戸時代の生活に戻れないでしょう?そしたら、この昭和の生活にだって戻れないのよ。古き良き時代、それを見届ける気分で、鎮魂歌のようなこの映画を胸に刻もう。そうそう、パンフレット、めちゃくちゃいいですよ。宮本常一好きなら、買いです。

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栗太郎

3.5たった40年前のこと

2024年5月2日
iPhoneアプリから投稿

難しい

朝日連峰の山々からの恵みを余すことなく全てを生活の糧とし、「塩」以外の殆どのものは自給自足。
果たして、現代の自分達には奥三面で暮らすことはできるだろうか。肯定することはできないだろう。
究極のエコ重視の生活だ。
如何に農作物を育てるか、小動物をどう捕獲するか、熊をどう仕留めるか、全て先人達からの教えに従い、暮らしを継続させることって、凄いことだ。
四季折々の鮮やかな風景がもう存在しないとは。

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ちゃ坊主