夫婦(1953)

劇場公開日:

解説

「丘は花ざかり(1952)」の藤本真澄の製作で、脚本も同じく水木洋子と井手俊郎が共同で書いている。監督は「稲妻(1952)」の成瀬巳喜男、撮影は「丘は花ざかり(1952)」の中井朝一である。配役の主なものは、「丘は花ざかり(1952)」の上原謙、杉葉子、「恐妻時代」の小林桂樹、「春の囁き」の三國連太郎と岡田茉莉子、「港へ来た男」の藤原釜足などである。

1953年製作/87分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1953年1月22日

ストーリー

東京郊外の新開地に「はや川」という鰻のかば焼きと佃煮類の店を開いている早川直吉一家。長女菊子は地方のある電気商会のサラリーマン中原伊作に嫁し、長男茂吉と次女久美子が店を手伝っていた。茂吉は最近結婚することになっていた。そこへ菊子夫妻が東京へ転勤になり上京して来た。そして貸間探しに苦労の末、伊作の同僚で妻を失った武村良太の家へ同居させて貰うことになった。結婚生活六年で子供もない菊子は生活の覇気を失いかけた良人に不満を覚えることもあった。一方、妻を失った武村の食事や身のまわりの世話をまめまめしくする妻の姿に、伊作は淡いねたみを感じることもあった。そんなことから二人の間の冷い溝は深まるばかりだったが、その間に茂吉の結婚があり、その新妻波子の世話で新しく二階借りをして伊作と菊子は久しぶりで二人切りの生活にはいった。が思いがけなく菊子は妊娠したという。生活は楽でない上、折角の間借りは子供のないことが条件だった。妊娠中絶のため医者へ行った菊子、伊作は夫としての苛責でそのあとを追おうとしたとき、菊子も子供を思いあきらめられず、ひきかえして来た。このときはじめて伊作と菊子とは、お互にこれまでにない愛情がにじみ出て来るのを感じた。

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映画レビュー

4.02つの未遂事案となしくずしの回避。

2023年8月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1953年。成瀬巳喜男監督。結婚6年目で子供がいない夫婦は夫の転勤で都内へ。妻の実家に身を寄せたが兄が嫁をもらうことになって住まい探しを急いでいる。妻を亡くしたばかりの夫の同僚の家に住み込むことになるが、天真爛漫なその同僚と妻が接近し始め、、、という話。
好意を寄せてくる夫の同僚(同居)を契機に、うだつの上がらない夫に愛想をつかす妻がぎりぎりで夫の元へと帰ることを決意し、苦しい家計のなか妊娠した妻に対して堕胎をうながす夫がぎりぎりで出産と子育てを決意する。前者は年の瀬が押し迫るなか(ラストミニッツ)、実家での他愛のない会話がきっかけとなっているものの「決意」というほどのの明確な心の転回があるわけではなく、後者は病院前までやってきた寒空の公園で(これまたラストミニッツ)、ブランコと滑り台で遊ぶ子供の様子をみているもののこれまた「決意」のシーンがあるわけではない。劇的な転回とは異なる道筋によって2つの未遂事案は回避されていく。ほかにも、妻と同僚の浮気を疑う夫が仙台出張を命じられて、家に二人きりで残すことになるなど、「ぎりぎりの瞬間」をいかに構築していくかに注力された映画。そしてそれがよくできていてはらはらする。

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3.5どの夫婦に起こり得る出来事をドラマチックには描かれてはおらず静かに...

2018年2月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

どの夫婦に起こり得る出来事をドラマチックには描かれてはおらず静かに心に染みてくる。成瀬監督は流石、としかいいようがない。

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tsumumiki

4.0成瀬恐るべし

2015年4月9日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

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松井の天井直撃ホームラン
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