劇場公開日 2012年5月12日

「映画は、「嘘から出た実」」この空の花 長岡花火物語 実さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0映画は、「嘘から出た実」

2020年4月29日
PCから投稿

監督が、余命3か月と宣告され、語った言葉。

「映画は、作られた嘘。でも、その嘘の中に、人にとってのマコトを伝えることができる…。映画は、嘘から出た実だ…」と。
戦争が、いかに愚かな行為であるかということを、残りの人生でメッセージしていきたい…。

これは、あの黒沢監督から直接受け取ったバトンだったとか。
次は、私がバトンを渡さなければならない…と、続く。

反戦・平和は、高度成長期時代までは勢いがあったが、今では「平和ボケ」「お花畑」と揶揄され、日本が再び戦争する国になることもありうる時代になった。

次の戦争では、先端技術を使って、きっと日本は負けはしないのだろう。日本の戦死者も、さほど多くなさそうだ。あの時よりずいぶん気楽に戦争ができる。そして経済が潤う。あの時とは時代が違うのだ。

???

まるでゲームのように、無人機の下で起こっていることは、あの時とは数は違えど、現代でも同じことが起こっているのではないだろうか。やられている側の惨状はニュースとして入ってこない西側諸国の日本。

やる側に立ったあなたは、やられている側を想像する「想像力」が、ありますか?
小さな娘を戦争で奪われた母親の気持ちを・人生を、想像する「想像力」が私にはありますか?
戦争にはまだ間に合いますか?

晩年の表現者が、人生の終盤に人として何をやろうとしたのか?そこに「想像力」を働かせて監督の強烈なメッセージを受け取ってもらいたい。

実