ロボジー

劇場公開日:2012年1月14日

解説・あらすじ

「ウォーターボーイズ」「ハッピーフライト」の矢口史靖監督がロボットを題材に描くオリジナルのコメディドラマ。弱小家電メーカー・木村電器で働く小林、太田、長井の3人は、企業広告を目的に二足歩行のロボット「ニュー潮風」を開発していたが、発表直前に不慮の事故でロボットが大破。その場しのぎで、一人暮らしの頑固老人・鈴木にロボットの中に入ってもらうことにする。しかし、鈴木の勝手な活躍によりニュー潮風は大評判になり、たちまち世界中から注目を浴びてしまう。ミッキー・カーチスが「五十嵐信次」名義で主演し、ロボットおたくの女子大生役で吉高由里子が共演。ロボット開発を担当する3人組に濱田岳、川合正悟(チャンカワイ)、川島潤哉。

2011年製作/111分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2012年1月14日

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(C)2012 フジテレビジョン 東宝 電通 アルタミラピクチャーズ

映画レビュー

3.5 【77.6】ロボジー 映画レビュー

2025年10月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

作品の完成度
矢口史靖監督が得意とする、日常のささやかな嘘やミスから始まるドタバタ喜劇の王道を行く作品
設定の奇抜さに対して、登場人物の感情や行動がリアリティをもって描かれている点が特筆すべきであり、コメディとしてのクオリティは極めて高い
物語中盤以降、単なる笑いだけでなく、孤独な老人・五十嵐信次郎が「ロボジー」という偽りの姿を通して生きがいを見つけていく過程に、温かさと感動が生まれる
説明的なシーンを排し、キャラクターや状況をスマートに提示することで、テンポの良さを維持
しかし、終盤の倫理的な問題や、嘘をついたことへの「代償」が曖昧に処理されている点については、一部批評家から指摘がある
全体としては、荒唐無稽な設定を大真面目に演じる俳優陣の力もあり、日本映画ならではのほっこりとした最良のエンターテイメントとして高い完成度を誇る
監督・演出・編集
矢口史靖監督は、本作でもその手腕を遺憾なく発揮
ユーモアと人情味を巧みに融合させ、観客を物語に引き込む
特にロボット開発に失敗したダメ社員3人のグダグダ感や、五十嵐信次郎の不機嫌ながらも調子に乗ってしまう老人の心情描写は、矢口監督らしい人間味あふれる演出
編集は宮島竜治が担当し、コメディ映画として重要なテンポの良さ、リズミカルなシーンの切り替えが効果的
ロボットの中の「じいさん」のぎこちない動きが、二足歩行ロボットの未完成な動きと重なるという発想の勝利であり、その動きの愛らしさを最大限に引き出す演出が秀逸
キャスティング・役者の演技
五十嵐信次郎(役:五十嵐信次郎)
主演
長年、地味で孤独な日々を送る、頑固で不機嫌な独居老人という難役を、ミッキー・カーチス(本作では五十嵐信次郎名義)が超ナチュラルな演技で体現
失礼ながら、自身の見られ方を冷静に計算し尽くしているかのような、味わい深い存在感は他の追随を許さない
ロボット「ニュー潮風」の中に入って世間の注目を浴びることで、再び生きる喜びを見出す老人の心理を繊細に演じ切り、笑いと感動を両立
特に、誰も信じてくれない現実と、「ロボジー」としてチヤホヤされる麻薬的な魅力に引き付けられる様は、観客の心に深く刺さる
吉高由里子(役:佐々木葉子)
助演
ロボットオタクの女子大生という役柄を、持ち前の「変態度」とも評された個性を活かし、コミカルかつ魅力的に演出
オーディションで勝ち取ったという役だが、その独特の空気感とスイッチの切り替えの速さが、オタクの純粋さと情熱を見事に表現
「ロボジー」に熱狂する姿は物語の推進力となり、その麻薬的なかわいらしさが作品の難点を補って余りある
濱田岳(役:小林弘樹)
助演
家電メーカーの窓際社員トリオの一人
失敗したロボット開発をごまかすために奔走するダメ社員としての、間の抜けたコミカルな演技が光る
真面目な顔をして荒唐無稽な状況に対応しようとする姿が、作品のコメディ要素を底上げ
川合正悟(役:太田浩次)
助演
家電メーカーの窓際社員トリオの一人
小林や長井と共に、嘘が嘘を呼ぶ状況に巻き込まれる普通の若者を等身大で演じ、観客に共感を呼ぶ
3人の社員のグダグダ感が、緊迫した状況とのギャップを生み出し、笑いにつながっている
小野武彦(役:伊達社長)
助演
家電メーカーの社長
クレジットの最後近くに登場するものの、その貫禄と存在感で作品を引き締める
社員の失態に振り回されるが、どこか憎めない、お人好しな社長を演じ、ダメ社員トリオとのコミカルな対比を見せる
脚本・ストーリー
矢口史靖監督によるオリジナル脚本
「ロボット開発に失敗した社員たちが、壊れたロボットの着ぐるみに老人を入れてごまかす」という、非常にユニークで荒唐無稽なアイデアが核
嘘から始まった物語が、老人にとっての「生きがい」へと発展していく展開は巧妙
設定の面白さに加えて、孤独な老人の再生というヒューマンドラマの要素が加わることで、単なるドタバタコメディ以上の深みを持つ
観衆の予想を次々裏切る練られたシナリオ構成は、ハリウッド映画にも通用するプロットであるとの評価もある
ただし、上述の通り、倫理的な問題が軽く扱われている点は、物語の整合性を求める観客にとっては気になる要素ともなりうる
映像・美術衣装
特撮やVFXに頼りすぎず、手作り感あふれる着ぐるみロボット「ニュー潮風」の造形が、この作品の大きな魅力
「ニュー潮風」のレトロで愛嬌のあるデザインは、美術担当の新田隆之、装飾の秋田谷宣博らの手腕によるもの
カメラは柳島克己が担当し、日常的な風景を丁寧に捉えつつ、ロボットの登場による非日常をコミカルに描写
衣装も、家電メーカーの社員の地味なスーツ姿や、ヒロイン葉子のオタクファッションなど、キャラクター設定を補強するリアリティを追求
音楽
音楽はミッキー吉野が担当
コメディの軽快さと、老人の心情に寄り添う温かさを併せ持つサウンドトラックを提供
主題歌は五十嵐信次郎とシルバー人材センターが歌う**「MR.ROBOTO」**であり、これはアメリカのバンド、スティックスが1983年に発表した楽曲のカバー
この主題歌が、物語のテーマである「ロボット」と「老人の再生」を象徴的に彩り、作品の印象を強めている
受賞・ノミネート歴
第31回香港国際映画祭「I See It My Way」部門、第5回金馬ファンタスティック映画祭「Nippon Gone Crazy」部門、第16回ファンタジア国際映画祭、第45回シッチェス・カタロニア国際映画祭「Official Fantastic Competition」部門など、海外の主要な映画祭で上映・ノミネートされている
作品
監督 矢口史靖 108.5×0.715 77.6
編集
主演 五十嵐信次郎B8×3
助演 吉高由里子 B8
脚本・ストーリー 矢口史靖 B+7.5×7
撮影・映像 柳島克己 B8
美術・衣装 新田隆之 B8
音楽 ミッキー吉野 B8

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honey

5.0 アニメとか漫画に任せておけば良いんだよ

2025年8月27日
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鑑賞方法:VOD
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マサシ

3.0 五十嵐信次郎の演技力

2024年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

言わずと知れたミッキー・カーチス氏の超ナチュラルな演技に感心しきり。
失礼を承知で書きますが、自身がどう見られているかを冷静に計算して、演じているとしか思えません。
おとぎ話的に良く出来たストーリー。荒唐無稽ですが、出演陣が大真面目に演じることで、リアル感を出していると思います。
むしろハリウッド映画向きのプロットと思いました。
エンドロールは、続編への布石か…

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うそつきかもめ

5.0 吉高由里子三十六歳。何がめでたい

2024年7月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

知的

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野川新栄