劇場公開日 2011年7月15日

  • 予告編を見る

「完結編として内容は申し分なし」ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0完結編として内容は申し分なし

2011年7月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

10年をかけて完結したこのシリーズ、子供の頃から観ている人ももう大人になる。きっと作品に対する思い入れも強いことだろう。そこに苦言を呈するのは心苦しいがひとこと言わせてもらう。3Dの面白みがまったくない。それでなくても暗い場面が多いのに、3Dでは明るさが不足し、まるでコントラストがなく色彩に欠ける。2Dできれいな映像を見るほうがはるかに見応えがあるだろう。Part1のVFX映像のデキが最悪だったのに対し、今作はかなりこなれてきて6作目までの水準にかなり近づいただけに、無理に3Dにする必要はなかった。監督がVFXを使い込まずに3Dに挑戦すると失敗する見本になってしまった。

さて本題の内容だが、シリーズを通して敵か味方か、そのミステリアスな雰囲気を醸し出してきたアラン・リックマン演じるスネイプが、その心情をついに明かす。このシーンは今作のなかでも大きな見せ場であり、その切ない告白はシリーズを通した根幹の謎に触れるものだ。

また、ジュリー・ウォルターズ演じるモリー・ウィーズリーが“母の強さ”を発揮するほか、ほんのちょっとしか出てこないが、ジョン・ハート(高級杖店主オリバンダー)、ゲイリー・オールドマン(ハリーの名付け親シリウス・ブラック)、デビッド・シューリス(ハリーの父の学友ルーピン)、エマ・トンプソン(「占い学」教授シビル・トレローニー)といった贅沢な布陣は、メガヒット・シリーズの最終話にふさわしい顔ぶれとなった。

そして観てのお楽しみになる最終エピソードだが、ここはエンドロールの後にしたほうがよかった。本篇のエンディングは、未来を見据えた3人が手を繋ぐシーンこそ相応しい。

音楽担当のアレクサンドル・デプラは、シリーズのオリジナルであるジョン・ウイリアムズの楽曲をうまく引き継いでいるが、エンディング・テーマが10年、8作続いたシリーズの壮大な終わり方としてはちょっと物足りない。

マスター@だんだん