劇場公開日 2009年3月28日

  • 予告編を見る

「緊迫した”闘うインタビュー"」フロスト×ニクソン カサキショーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5緊迫した”闘うインタビュー"

2009年3月30日
鑑賞方法:試写会

興奮

知的

チラシには、政界復帰を狙う元大統領ニクソン。
全米進出を狙う英国のテレビ司会者フロスト。
こんな紹介が載っています。

ニクソンとウォーターゲート事件の事は知っていますが、
彼がインタビューで自分の過ちをはっきりと語っていた事を
この映画を観て初めて知りました。

フロストは自分の資産を投げ打ち、
果敢にニクソンに挑み、インタビューの権利を
手に入れます。
しかし、ニクソンからすれば、フロストの質問など
赤子の手をひねるようなもの、
楽なインタビューだと思ったのでしょう。
だって、相手は田舎国(といったらイギリスに失礼でしょうね)
の、それも政治に疎そうなテレビ司会者。
あえて言えば
田原総一朗ではなく、みのもんたが相手のようなものなんですから。
(表現、ちょっと不謹慎かな?)
まかり間違っても、尻尾を捕まえられる事は有ろう筈もないはず。
その上、テレビに放映されれば、自分のPRにもなり、
政界復帰のきっかけになるかも知れないと。
事実、約束したインタビュー四回のうち、
三回終了時点までは、ニクソンの意図通り運び、
フロストはノックアウト寸前。ついでに、財布もすっからかんで、
破産寸前。

でも人間、勝ちすぎると油断しちゃうようです。
ニクソンさんも、最後のインタビューを前に酔っ払って
フロストさんへ余裕の電話をしてしまったのです。
(これって、事実なんですよね?)
それも、電話した事すら覚えて無いほど酔っ払って。
ニクソンさん、動揺が走ります。
きっと内心では事件の事を後悔していて
懺悔したいと思っていたのでしょう、
だから電話でついペラベラと
懺悔に似た事を話してしまったと、
動揺したのではないでしょうか。

最後の戦いの前にすっかり、焦ってしまいます。

事実、フロストは、その電話から反撃のヒントを手にいれました。
そして、最後のインタビューでニクソンから重大な告白を手に入れるのです。

二人の息詰まる心理的駆け引きを
マイケル・シーンとフランクランジェラが熱演。
お勧めの一本です。

カサキショー