劇場公開日 2009年4月18日

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「最初30分で神」スラムドッグ$ミリオネア こまめぞうさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0最初30分で神

2023年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

いまだに興奮冷めやらず。
これはほぼ完璧な映画だと思う。

もちろんアカデミー賞をとったから観にいったというのが一番大きい。
とにかく忙しくってGWにこの映画を見るのだけを楽しみにしていたので
期待しすぎになったら悲しいなあと冷や冷やした。
杞憂であった。

なにしろ映画の初めの部分から「これはただ事じゃないぞ、すごいぞ!」な予感が。
回想を挟むものというのは
とくにはじめの方でスムーズに、かつ分かりやすく
現実から回想へうつる手法が難しいものだが
この映画はなんとまあカットのつなぎのかっこいいこと!
シビレマス…。
曲と映像のマッチングもいい。
さらに細かな説明もなくても
少年ジャマールたちがどういった立場の子たちなのかがすぐわかる。

全編にわたり中だるみすることもなく。
ハンディで撮影した映像がむしろ子供の目線からの狭い視界、
スピードを感じさせて◎。

ストーリーは、まあ、真面目に突っ込むと
ずいぶんご都合いいじゃね?ではあるが
伏線の回収や何よりも複雑な人物像、
主人公ジャマールの兄サリームを描き出したことで十分に思えた。

賞をとったことから重厚な造りを期待していくと肩すかしをくらう。
個人的には、あまりにも過酷な運命が続くので、
むしろ淡々と軽妙なテンポで描けたということに感嘆する。
ラストの踊りも一度暗転を挟んでいるので本編と区切って見られる。
カーテンコール的サービスと思えて好きです。

ずいぶん前にインドに行ったがスラムには近寄れなかった。
それでも物乞いの子たちはたくさんいて度々囲まれ、
彼らの生きることにものすっごくたくましい姿にむしろ笑ってしまったこともある。
それを思い出した。
映画の中で誉められないことも多々している主人公たちだが
彼らに正論をぶちまけることはとてもできない。

ところでこれはインド国内の方が見たらどうなんだろう?
なんか違うって思うのか、それともよくぞここまでと思うのか。
興味のわくところだ。

こまめぞう