劇場公開日 2009年11月21日

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「エンタメと割り切るにゃ人の命が軽すぎませんか [スコア修正]」2012 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0エンタメと割り切るにゃ人の命が軽すぎませんか [スコア修正]

2009年11月28日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

映画の中で死なせた人間の数ならギネス認定されるに違いないエメリッヒ監督の最新作。

正直、『デイ・アフター・トゥモロー』撮ったのにまた似たようなの作るの?と思ったが、そこはVFXを知り尽くした男エメリッヒだ。
災害シーンの迫力は今まで観たあらゆるパニック映画を軽く凌駕する凄まじさ。特に序盤、地殻変動で沈みゆく市街地を主人公らが逃げまくるシーンの迫力はとんでもなく凄い。思わず顔が引きつるほどの阿鼻叫喚の様相。
エメリッヒ版『GODZILLA』のクライマックスだったチェイスシーンを50倍パワーアップさせた感じだ。

だがドラマ部分は……。
人間の慈愛や崇高な精神は描かれているし、憎まれ役にもシンパシーを感じる場面を盛り込んだ点は良い。
にも関わらず、物語がちっとも心に響かないのは何故だ。

きっと登場人物が皆、物語の中の存在にしか思えないからだ。災害シーンはリアルでも人間が偽物臭いのだ。いつかどこかで見たキャラの切り抜きにしか見えず、深みが無い。
何よりも、人間が100人単位で死んでいく中で主人公らが交わす冗談がブラックユーモアを通り越して悪趣味に聞こえるのは僕だけか?
最後までエンタメ映画と割り切れなかった。

<以下追記>

東日本大震災が起こって1ヶ月が経過した。このレビューを書いた当初もスコアを低く付けようかと悩んだ覚えがあったが、
やはりこの映画は好きになれない。理由は、上のレビューに書かれている通りです。
そもそも自分、現実的な災害をエンターテイメントに仕立てる、
いわゆるディザスタームービー自体に疑問を感じている人間でして。
今更ながらスコア修正させていただきます。

浮遊きびなご