劇場公開日 2009年11月21日

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2012 : 映画評論・批評

2009年11月24日更新

2009年11月21日より丸の内ルーブルほかにてロードショー

従来のディザスター映画が描かなかった部分に踏み込んだ力作

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ディザスター映画の名手、ローランド・エメリッヒ監督の集大成ともいえる話題作。人類の大半が本当に命を落とす大災害の凄まじい描写をはじめ、従来のディザスター映画が描かなかった部分に踏み込んだ力作だ。

太陽ニュートリノが変異し、地球のコアを過熱。やがてその熱で緩んだ地殻が一気に崩壊をはじめ、わずか3日で地表のすべてが海中に没するという設定がうまい。その際起こるのは、地震、地割れ、噴火、津波、洪水など、誰もが知っている自然災害ばかり。それゆえ、それらが想像を絶する規模で次々と世界中で起こっても違和感はない。しかも展開が早く、科学的根拠を考える余裕もないのだ。

こうして、突如訪れる“終末の時”を、正反対の立場で迎える2組の人々のドラマを交錯させて描いた点も味わい深い。1組は、危機を察知し、極秘にサバイバル計画を進めてきた米大統領と側近たち。もう1組は、何も知らない売れない作家と別れた妻子たち。それが予測より早く異変が始まり、思いも寄らない苦難と試練に見舞われる。さらに、世界が壊れていくなか、政府が市民を欺いて何をしてきたのか、闇の部分も明かされ、さまざまなことを考えさせられる。

そのうえで、主要人物それぞれの最後の決断と行動、家族や友人との別れを静かに綴り、感動を呼ぶ。エメリッヒ監督は勢いで突っ走るため、科学的にはあり得ない描写もいくつかあるが、それを含め、観た後で大いに会話が弾むエンターテインメント大作だ。

山口直樹

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