アラキメンタリ

劇場公開日:

解説

350冊以上の写真集を出版し、世界で最も刊行点数の多い写真家・荒木経惟。彼と交流の深いビヨーク、北野武、森山大道などの各界アーティストのインタビューを交え、素顔の『アラーキー』に迫っていく。監督・撮影は、「スパイダー・マン」などのカメラマンやロケーション・アシスタントを担当してきたトラヴィス・クローゼ。

2004年製作/75分/アメリカ
原題:Arakimentari
配給:エレファント・ピクチャーズ
劇場公開日:2005年3月5日

ストーリー

真っ赤な着物姿の女の腕はきつく結ばれ、その顔は真っ白に塗られている。女は生気のない表情でレンズを見つめている。カメラの後ろでは好奇心旺盛な様子の男が汗まみれで据え付けた5種類のカメラのシャッターを切りながらブツブツ言っている。その姿はまるで悪魔のように生き生きとしている。彼はモデルに近づき、足をひっぱりぐいと股を開かせると、手で彼女の胸をこね、身体の曲線をなでまわし、彼女の肉の質感を確かめる。男の名は荒木経惟、時代の寵児であり、つねに物議をかもしながらも日本が世界に誇るアーティストだ。350冊以上の写真集を出版し、世界で最も刊行点数の多い写真家でもある。63歳になる彼をずっと駆り立てているものはなんだろうと思う者がいるかもしれない。「日本全国から女たちが写真を撮られにアタシのところにやってくる。太ったのも、痩せたのも、小さいのも。みんなスゴイんだよ。妊娠してるヤツだってくるんだ。」40年間、写真を撮ったすべての女性と寝てきたと豪語する写真家は減速する兆候などみじんも見せず、自身のお気に入りの主題=女体に飽きたそぶりもない。「自分が千手観音だったらなあと思う。それぞれの手でカメラのシャッターを切るんだ。」とあるインタビューで、アーティストはこう告白している。荒木の亡くなった妻・陽子を撮った写真はこの芸術家の仕事の核をなすものだ。写真日記の体裁をとりながら、彼はハネムーンから始まって、1990年代初頭に彼女が癌死したベッドにいたるまでの二人の結婚生活を記録していった。彼女の死に至る日々を描くにつれて、荒木のムードは一変する。「私はまったく出かけようとは思わなかった。窓の外を見つめて、空を見ることだけが私のすることだった―私が生き続けなければならないってことを悟るまでは。」撮影クルーはまた、芸術家の伝説ともなっている夜の生活も追っていった。荒木の人生において、新宿界隈はずっとお気に入りの遊び場だった。ネオンまたたくファッション・ヘルスや覗き部屋、エレベーターなどなく狭い階段だけの建物がひしめき合うあたりはいつも写真家の仕事に理想的なバックグラウンドを提供した。この場所こそが、荒木がエネルギーとイメージを見つけられる場所で、日本の性的な潔癖さを挑発するための力を彼に与えてくれる。そして年が経つにつれ、文化全体が形作られ、彼は日本でナンバー1の性の解放者となっていったのだ。ニューヨークのフィルム・メイカー、トラヴィス・クローゼに対して、荒木は自身の扉を開いてくれた。そして1ヶ月間、彼の一挙手一投足を捉えるためのカメラ・クルーを招き入れてくれた。毎晩、3,4時間しか眠らず、一日に40巻も撮影し、アシスタントとモデルたちを東京中走らせる荒木。クローゼにとって、「アラキメンタリ」を撮るという挑戦はアーティストの途方もない個性とエネルギーを掴むことであると同時に、彼のキャラクターの最も個人的で壊れやすい側面を明らかにすることだった。こうして、「素顔のアラーキー」は捉えられた。

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