招かれざる客

劇場公開日:

解説

「アメリカ上陸作戦」のウィリアム・ローズのオリジナル・シナリオを、「愚か者の船」のスタンリー・クレイマーが製作・監督した。撮影は「手錠のままの脱獄」のサム・リーヴィット、音楽は「真昼の衝動」のデヴォル。出演は、これが遺作となった「おかしな、おかしな、おかしな世界」のスペンサー・トレイシー、「いつも心に太陽を」のシドニー・ポワチエ、「去年の夏突然に」のキャサリン・ヘップバーン、そのほか、キャサリン・ホートン、セシル・ケラウェイなど。

1967年製作/アメリカ
原題:Guess Who's Coming to Dinner
配給:コロムビア
劇場公開日:1968年4月6日

ストーリー

サンフランシスコ空港で飛行機から降り、タクシーに乗った若いカップルが、人目をひいた。だが、人々のぶしつけな視線など気にしないかのように、黒人青年と白人女性は親しげに語り合っていた。青年はジョン(シドニー・ポワチエ)といい、世界的に著名な医師。女性の名はジョーイ・ドレイトン(キャサリン・ホートン)。2人はハワイで知り合い、互いに愛し合う間柄となったのである。ジョーイの母クリスティ(キャサリン・ヘップバーン)は、娘の婚約者が黒人であることを知り、驚いたが、娘の嬉々とした様子に、動揺は次第に喜びに変わっていった。だが、父のマット(スペンサー・トレイシー)は、そうはいかなかった。新聞社を経営し、人種差別と闘ってきたマットも、自分の娘のこととなれば、話はちがってくるのだ。ジョンは、学界でも有数な人物であり、近くジュネーブの大学院に迎えられることになっているということは、マットも知ってはいるのだが、黒人と白人との結婚には、想像を絶する困難がある。結婚を許しながらもマットは割り切れなかった。ジョンのジュネーブ行きの時間が迫っており、2人はその前に、互いに両親の了解を得たがっていた。息子の見送りと嫁に会うため、ジョンの両親プレンティス夫妻が空港に着き、ジョーイは出迎えたが、夫妻は嫁が白人であることを知り愕然とした。やがて、夕食の時が訪れた。ジョンとジョーイ、ドレイトン夫妻、プレンティス夫妻。そしてドレイトン夫妻の友人であるライアン神父。母親同士は結婚には賛成だったが、父親同士は反対し、とくに、マットは頑固だった。だが、そのマットも、若い2人のどんな困難にも立ち向かおうとする真剣さとその情熱に、かつての自分の青春を見、その尊さに気づき、2人の結婚を認めた。一同はそろって、夕食の席に着くのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第25回 ゴールデングローブ賞(1968年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) スペンサー・トレイシー
最優秀主演女優賞(ドラマ) キャサリン・ヘプバーン
最優秀助演女優賞 ビア・リチャーズ
最優秀監督賞 スタンリー・クレイマー
最優秀脚本賞 ウィリアム・ローズ
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映画レビュー

4.0通常取扱佳作

2024年1月21日
PCから投稿

公民権関連ではごく初期の重要な作品です。
その後の同種作品に比較すると楽観過ぎるきらいはあるものの、ドラマとしては秀逸でサスペンスも十分です。
スペンサー先輩のラストの大演説は圧巻です。

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越後屋

4.0通常取扱佳作

2024年1月15日
PCから投稿

公民権関連ではごく初期の重要な作品です。
その後の同種作品に比較すると楽観過ぎるきらいはあるものの、ドラマとしては秀逸でサスペンスも十分です。
スペンサー先輩のラストの大演説は圧巻です。

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echigoya

4.5家族会議ムービー

2024年1月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

知的

まるで家族会議のドキュメントみたいな映画だけれど父親の心の葛藤と心境の変化が楽しく描かれていて飽きさせない。
愛があれば困難も乗り越えられるし、幸せですよね。
家族会議ムービーということでお金はあまりかかってないな。

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光陽

5.0他人事と自分事。

2023年11月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

幸せ

めちゃめちゃ良かった。半日という限定された時間の中で、かつ、ほとんど家の中で個々の会話の中から、それぞれの心情、思い、迷いや憤りが浮き彫りになっていく、秀逸な群像劇。

表向き、他人事として論評する、表明する意見・綺麗事と、自分事となったときに感じ考える本当の気持ちと。倫理的には正しくても、受け入れられないと感じてしまうことや、自分の身に降りかかってきた場合は別だ、と意見を翻す。誰もが胸に手を当てると思い当たる出来事の一つや二つあるのではないか?

ゴミの分別が少し甘いかなと思いつつも出してしまうといったところから、2023年11月、自分がイスラエル人だったら、倫理的に正しかろうとも現時点での停戦は受け入れられないだろうといったところまで。

1967年の作品だが、ここに描かれている両親の苦悩・葛藤は、その対象が異なったとしても、普遍的で誰もが経験するところだろう。
この葛藤の中で、それぞれがどのような見解に到達し、他者にどのように伝えていくのか?ラストまで、どう転がるのか、自分だったらどういう選択をするのか、緊張感をもって見守ることのできる作品だった。
黒人の母の語りは沁みたし、お互いが必要としていることの大切さを改めて考えることができた。
鑑賞してほんと良かった。

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Nori
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