ブーベの恋人

劇場公開日:

解説

カルロ・カッソーラの同名小説をルイジ・コメンチーニとマルチェロ・フォンダートが脚色、「パンと恋と夢」のルイジ・コメンチーニが演出した青春ドラマ。撮影はジャンニ・ディ・ベナンツォ、音楽はカルロ・ルスティケリが担当した。製作はフランコ・クリスタルディ。出演は「山猫」のクラウディア・カルディナーレ、「633爆撃隊」のジョージ・チャキリス、ほかにマルク・ミシェル、ダニイ・パリス、エミリオ・エスポット、モニーク・ビタなど。

1963年製作/イタリア
原題:La Ragazza di Bube
配給:松竹映配
劇場公開日:1964年9月12日

ストーリー

一九四四年のある日、イタリアのある田舎町にあるマーラ(クラウディア・カルディナーレ)の家に、ブーベ(ジョージ・チャキリス)という青年が訪れた。終戦になって、故郷に帰る途中、マーラの異父兄サンテの最期を報告するために立ちよったのだった。マーラの父親は、心からブーベを歓待したが、サンテを失った母親は、何かしらブーベに対しても敵意を抱いていた。翌朝、マーラに落下傘の絹をあたえて帰った。その後数カ月ブーベとマーラの文通がつづき、冬になってから仲間と運送屋をはじめることになったブーベがマーラを訪ねて来た。彼はマーラの気持も確かめず父親から彼女との婚約の許しを得て帰ってしまった。何カ月かたったある日、突然ブーベがマーラの家に来た。ふとした事件に巻込まれ、憲兵の息子を射殺し、警察のお尋ね者になってしまったのだった。ブーベはマーラを連れて故郷へ帰ったが、マーラは予期に反して汚いブーベの家や、家族にがっかりした。隠れ家にしていた紙工場の廃墟にも危険が迫り、仲間の計いで国外に逃亡することになった。ユーゴに逃亡したブーベからは長い間、便りがなかった。マーラは父の家にいづらくなり、町の友達を訪ねてゆく決心をした。やがて彼女にはステファノ(マルク・ミシェル)という真面目なボーイ・フレンドができた。一年の月日が経った。ブーベはユーゴ政府によって、イタリアに送還され、殺人犯として裁判を待つことになった。マーラはブーベが無罪になれば、自分もブーベから解放されると考え、ブーベのために偽証しようと心に決めた。だが、法廷で嘘がつけず、結局、ブーベは十四年の判決をうけた。マーラはやはリブーベの妻となることを決意し、それ以来、二週間ごとに刑務所通いを続けるのであった……。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

2.5マーラが魅力的。白黒が良い。

2020年8月22日
iPhoneアプリから投稿

マーラが魅力的。白黒が良い。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
卵

4.5恋から愛に変わる女性の健気さが胸を打つ恋愛映画の時代が生んだ特殊性

2020年4月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波

第二次世界大戦の荒波に翻弄されるパルチザン活動家ブーベを愛するマーラの女心に焦点をあて描いた恋愛映画の佳作。一度は諦め掛ける裁判の行方を期に愛に立ち向かうマーラの、前半と後半の変貌を鮮やかに演じたクラウディア・カルデナーレの美しさと表情の演技が素晴らしい。ふたりが裁判所の廊下で対面する場面でブーベを叱咤激励するマーラは、すでに母性愛を含む女の情愛に変化している。ラストシーンで、時代が許すなら本来結ばれていたであろう青年に呟くマーラの言葉に、女性だけにある人間の強さが表れている。
カルロ・ルスティケッリの悲哀を帯びたテーマ曲がマーラの実直さを表現していて、こころに沁みいる名曲。ルイジ・コメンチーニ監督は多才ゆえの作風が固定しない欠点があるが、この作品では特に後半のデート場面の演出は揺れ動くマーラの心理を映像として巧みに描く。
中学時代の忘れられない衝撃の、自分にとって唯一無二の大切な恋愛映画。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
Gustav

2.5うんめいのひと…

2019年9月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

初恋と、側にいて自分を大切にしてくれる人。どちらを選ぶのか。
そして最終的に選んだのは…。
同じ「運命の人」でも、成長するにつれてその意味づけが変わる。
現代にも通じる物語。

そこに、現代史が絡む。ファシズムってムッソリーニのこと?微妙に『山猫』でも聞いた名前が出てきて…。
「何百人も戦争で殺せば英雄」ってよく聞く話だけれど、
終戦後の司法は、そんな慣習を断ち切り、私的なリンチを抑え込みたかったのか?でも映画ではそこは深く突っ込まない。

マーラ。映画の終盤に語られる年齢から逆算すると、裁判の頃は20歳の設定。ブーベと出会った頃は、今なら高校生くらいの年齢か。
言動・振舞い・行動基準。いるいるこんなJK。
10代から20代後半までの演じ分けが見事。
10代の野良猫かと思うような生命力から、年を経るごとにしっとりとしてくる。

あと、裁判前後の映像が凝っている。ここだけ特殊なので、きっと何か意味があるのだろうと思うが、私にはわからない。こういう時、淀川さんとか水野さんの解説ってすごかったんだなと懐かしい。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
とみいじょん

4.0魂で結ばれた愛の物語、思っいたよりはるかに見応えのある作品だった。

2017年6月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

魂で結ばれた愛の物語、思っいたよりはるかに見応えのある作品だった。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
tsumumiki
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る