劇場公開日 1968年2月10日

「羊飼いのガブリエルが主人公であってほしかった」遥か群衆を離れて(1967) Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5羊飼いのガブリエルが主人公であってほしかった

2013年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

総合:65点
ストーリー: 65
キャスト: 65
演出: 70
ビジュアル: 80
音楽: 65

 トーマス・ハーディの原作ということだけあってそれなりにしっかりした作品だとは思うのだが、主人公のバスシーバにあまり肩入れ出来ない。この時代に女だてら農場を切り盛りできるのは有能の証拠ではあるし、若くて自分を幸せにする結婚についての価値観をはっきりと持てないのは仕方がないのだが、興味半分で中年男の心を弄び、女扱いの上手いだけの男に短期間でのぼせ上る姿を見てどうして彼女を好きになれるだろう。
 だから有能で誠実で忍耐強いが幸運にだけは見放されて自立できず貧乏暮しをしている羊飼いのガブリエルは、私にとって最初からこの物語の主人公であり続けた。彼が主人公と思っていたら、バスシーバが主人公で話が進んで行ってしまってがっかり。彼を中心に描いてくれたほうが楽しめただろう。しかし羊を片っ端から崖に叩き落として遊んでいたあの馬鹿犬、映画には珍しく犬が撃ち殺されることになってしまっていたけれど、主人公の立場からすればあれはやむを得ない。

 イングランドの田園風景の透明感のある美しさを描いた映像と、断崖の続く海辺の風景は見応えがあった。

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Cape God