ノートルダムのせむし男(1923)

劇場公開日:

解説

ヴィクトル・ユーゴー作の『ノートルダム・ド・パリ』を改作映画化したもので、パラマウントの「姿なき男」などを監督したウォーレス・ウォースリーが製作したものである。ユーゴーの描き出した、耳が聞こえず隻眼でしかもこの世のものとは思われぬ怪奇醜悪な容貌を持っているノートルダム寺院の鐘楼守クアシモドと呼ばれる傴僂男には、そうした特異の役柄を最も得意とするロン・チャニーが扮し、この他「我が恋せし乙女」出演のパッシー・ルス・ミラー、「メアリー・ゴー・ラウンド」出演のケリー、「焼け爛れし翼」「男子怒れば」等出演のアーネスト・トーレンス、その他レイモンド・ハットン、タリー・マーシャル、グラディス・ブロックウェルなど、粒揃いのいいところを集めている。ユーゴーの原作とはだいぶ異なっているがアメリカ製作映画としては免れ得ざるところというべく兎に角セットといい、規模といい、また内容といい、期待するに足るべき大作品である。なおこの原作はずっと以前尾崎紅葉によって抄訳が出版されたことがあり、ユーゴー全集には全訳が出ている。6月1日から赤坂演伎座で5日間特別公開をやり、一般常設館には秋まで出さなかった。

1923年製作/95分/アメリカ
原題:The Hunchback of Notre Dame
配給:ユ社支社
劇場公開日:1924年10月3日

ストーリー

その怪奇醜悪なる外貌の為、人々の嘲笑の的とされているノートルダム寺院の鐘楼守クアシモドは、自然世の中を卑屈な眼で見ることとなり、唯大僧正クロウド(原作では副監督)の愛撫の下に朝夕鳴り響く鐘を唯一の友として淋しい日を送っていた。クロウドの弟ジェハンは腹黒い男で、ジプシーの踊り子エスメラルダの色香に迷ってそれをクアシモドに誘拐させようとした。ところがおりから通りあわせた禁衛警護の武士フォッビュがそれを救い、エスメラルダと2人はやがて恋に落ちる。エスメラルダの養父クローパンはパリ暗黒界の首領で常に威を揮う貴族に強い反感を持っていたが、エスメラルダが人違いから死に処せられそうになったのに激昴し、数千の部下を率いて娘を奪い返さんとして繰り出す。エスメラルダの恩義に感じたクアシモドは身を賭して彼女を守ろうとし、ノートルダム寺院にただ1人立てこもって数千の群衆を相手に持ち前の怪力を頼りに孤闘したが、物陰から現れたジェハンのために刺されて、彼を楼上から投げ殺すと共に瀕死に陥る。おりから駆けつけた武士等によって寺院もエスメラルダも救われたが哀れクアシモドはエスメラルダとフォッビュの無事にかい抱く姿を見て、かすかな満足を感じつつ細りゆく力に最後の鐘をつき終えて安らかに死んでいった。

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