劇場公開日 1973年9月15日

「フレッド・ジンネマン監督、晩年の3連続名作のひとつ」ジャッカルの日 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5フレッド・ジンネマン監督、晩年の3連続名作のひとつ

2022年8月4日
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鑑賞方法:DVD/BD

フレッド・ジンネマン監督5作品を
まとめて観たが、
記憶のはっきりしている当作品は
鑑賞予定にはしていなかった。
しかし、偶然にも近所の図書館に
DVDがあったため急遽の再鑑賞になった。

「わが命つきるとも」と「ジュリア」の間に
製作されたキネマ旬報第4位の作品。
ただ、アカデミー賞では
「スティング」「エクソシスト」の年で、
編集賞のノミネートだけで終わったのは、
この作品の出来からして残念に思えた。

この作品、
米国ユニバーサル製作ではあるが、
ハリウッド映画とは
明らかに一線を画した作風で、
ジャッカルを中心とするOAS側と
仏司法警察を中心とする各国警察機構側の
対応が、
あたかもドキュメンタリーのように
淡々と、そして稠密に描かれる。
また、相互の動きの各要素を
手際よく切り替える演出は
「地上より永遠に」を思い出させた。
フレデリック・フォーサイス原作の
映像化作品の中でも
出色の出来だったような気がする。

この作品も含めて「わが命…」から「ジュリア」
までの3連続作品は、
フレッド・ジンネマン監督が
50歳台末から60歳台にかけて演出した
怒濤の名作群だったのではないだろうか。

KENZO一級建築士事務所