コレヒドール戦記

劇場公開日:

解説

「モガンボ」のジョン・フォードが1945年に海軍に協力して製作監督した海戦映画。ウィリアム・L・ホワイトのベスト・セラー小説を「空の要塞」のフランク・ウィードが脚色した。撮影は「ジェニーの肖像」のジョセフ・オーガスト、音楽はハーバート・ストサートである。出演者は「恋人よ今1度」のロバート・モンゴメリー、「ホンドー」のジョン・ウェイン、「素晴らしき哉、人生!」のドナ・リード、ジャック・ホルト、ウォード・ボンド、マーシャル・トンプソン、ポール・ラングトンなど。

1945年製作/135分/アメリカ
原題:They Were Expendable
配給:MGM映画会社
劇場公開日:1954年10月22日

ストーリー

太平洋戦争がはじまってマニラ湾にいたジョン・ブリックリー大尉(ロバート・モンゴメリー)の率いる第3哨戒魚雷艇隊は湾内哨戒と伝令の任務を与えられた。日本の爆撃隊はフィリピンにも飛来し、副隊長格のダスティ・ライアン中尉(ジョン・ウェイン)は傷を負った。直接攻撃の任務を与えられぬ一同は脾肉の嘆をかこっていたが、バターンを砲撃中の日本巡洋艦攻撃の命が下った。ブリックリーは傷を負っているライアンを病院に送りこみ、自分の41号艇とロング中尉の31号艇とで出撃、首尾よく日本巡洋艦を撃沈したが、31号艇は沈没した。更にほかの1隻が日本船とさし違えて沈没、ブルックリーの許には4隻の艇と3本の魚雷が残るだけになった。ある日ブリックリーはマックアーサー将軍に呼ばれ、オーストラリアに脱出する高級将校をミンダナオ島まで送るよう命じられた。首脳部はフィリピン確保を断念していたのだ。ライアンも入院中恋仲となった看護婦サンディ(ドナ・リード)と別れを告げて任務に加わり、4隻の艇は高級将校の一行を乗せて夜半行動を起こした。そして任務を終えたときは1隻を失い、2隻は修理が必要となっていた。しかし新しい攻撃命令が下り、ブリックリーの艇と修理半ばのライアンの艇が出撃したが、日本軍の反撃にあって離れ離れになった。ライアンは大損害をうけて艇をある島にのりあげた。ブリックリーの消息は分からなかった。事態は急速に悪化し、人々は続々と避難した。ライアンは避難の途中はからずもブリックリーにめぐりあった。魚雷のない41号艇はトラックに積み込まれていた。フィリピン最後の日がきたとき、ブリックリー、ライアンなど4人の将校は艇の改良、乗組員養成の要員として本国帰還を命じられた。本国への機上で、ライアンは恋人サンディが日本軍の攻撃で行方不明になったという噂を聞いた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第18回 アカデミー賞(1946年)

ノミネート

特殊効果賞  
音響録音賞  
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映画レビュー

3.5米国の言わば負け戦を丁寧に描いている珍しいハリウッド映画

2023年1月2日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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Kazu Ann

5.0敵がいない戦争

2022年8月10日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1945年。ジョン・フォード監督。太平洋戦争緒戦のフィリピン諸島。高速魚雷艇の乗組員たちは戦いたくてうずうずしているが、作戦上なかなか出番は回ってこない。徐々に後退を余儀なくされるなか、移送と護衛というあまり名誉でない任務を任されることに。一方、血の気の多い中尉は怪我で病院送りとされ、そこで出会う看護師と不器用な恋に落ちて、、、という話。
戦争という国家の名の下でもっとも個性が奪われて組織が優位に立つ状況で、階級や組織とは関係なく個人的なつながりが生まれ、国家とは関係なく団結していくこと姿を丁寧に描いている。「敵」はもちろん大日本帝国なのだが、「敵」が現れて複数性が抑圧され、同一性が勝利するのではない。敵の姿は映画のなかでほぼ描かれないが、それは感情移入を防ぐためではなく、敵を描こうとすればその複数性も描かざるを得ず、映画として成り立たないからだ。西部劇でしばしば原住民がそのように扱われているように。描かれている日本人は、戦争開始の時点でフィリピンの米軍パーティのなかにいてなぜか編み物をしている女性だけなのだが、これがいかなる意味でも「敵」ではないのはいうまでもない。
敵のいない戦争映画のなかで、人々はそれぞれの複数の人生を生きている。

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