悲しみの天使

劇場公開日:

解説

愛に飢えた少年と、天使のように可憐な少年との、美しくも悲しい友情の物語。監督は「太陽のならず者」のジャン・ドラノワ。ロジェ・ペルフィットの原作小説を、ジャン・ドラノワとジャン・オーランシュが脚色し、ピエール・ボストが台詞を担当。撮影は「ペルーの鳥」のクリスチャン・マトラ、音楽はジャン・プロドロミデスがそれぞれ当っている。出演はディディエ・オードパン、フランシス・ラコンブラード、「黒衣の花嫁」のミシェル・ブーケ、ほかにルイ・セニエ、リュシアン・ナットなど。

1966年製作/フランス
原題:Les Amitities Particulieres
配給:大映第一フィルム
劇場公開日:1970年7月4日

ストーリー

十五歳になったジョルジュ(F・ラコンブラード)は、ミッション・スクールに編入することになった。彼は、侯爵家の一人息子であったが、愛に飢え、美しい物に対して激しい好みをもった少年であった。寄宿生活に入って間もなく、彼は同級生の二人が、奇妙な愛憎を寄せ合っているのを知った。二人の間にかわされた手紙を、ふとしたことから手に入れたジョルジュは、軽い正義感から、それを院長(L・セーニェ)に渡してしまった。その為、二人の友情は裂かれてしまった。男子ばかりのこの学校では、寄宿生同士の度を過ごした友情は、堅く禁止されていたのだった。しばらくしたある日、ジョルジュはミサの時に、小羊を抱いた美しい少年、アレクサンドル(D・オードパン)に目を奪われた。その少年の可憐さに、ジョルジュは、天使を見た。彼がアレクサンドルと初めて口をきいたのは、旅行の時だった。が、二学期になると、二人は急速に接近していった。ジョルジュはアレクサンドルに天使の美しさを、アレクサンドルはジョルジュに兄のやさしさを感じていた。一度ローゾン神父(L・ナット)に手紙を見つかってしまったが、ジョルジュの巧い説明で、何の罪も受けずにすんだ。そして、このことが一層強く、“義兄弟の誓い”を結ばせた。しかし、狭い寄宿舎の中では、秘密の友情も、いつまでも続けることは出来なかった。以前からジョルジュを看視していたトレンヌ神父(M・ブーケ)に二人の間をさとられてしまったのだ。そこでジョルジュは神父の秘密を院長に告げ、彼をやめさせるようにしてしまった。これで二人の秘密を知るものはいなくなったと、ジョルジュは喜んだ。だが、三学期になったある日、納屋でふざけ合っていたジョルジュとアレクサンドルは、ローゾン神父に発見されてしまった。その結果、神父にさとされ、強制されたジョルジュは、終業式の日に、アレクサンドルに別れの手紙を残し、両親の元へ帰って行った。何も知らないアレクサンドルは、神父の言葉を聞くと、手紙も読もうとはしなかった。そして、神父の言葉を嘘とは知らない彼は、悲しみと絶望で小さな胸をいっぱいにしながら、爆走する列車から、飛び降りてしまった。神父の口からアレクサンドロの死を聞き、神父も彼を愛していたことを知ったジョルジュは、自分の愛が、なによりも純粋なものであったことに、初めて気づいた。礼拝堂の小さなひつぎの前で黙祷するジョルジュ。彼の胸の中では、本物の天使になったアレクサンドルが、やさしくほほえんでいた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5子羊

2022年10月8日
Androidアプリから投稿

1864年仏映画
ロジェ・ペルフィットの自伝的小説が原作

萩尾望都、竹宮恵子にインスピレーションを与えた作品
カメラがクリスチャン・マトラで
美しく悲劇的な物語に貢献している

カトリックの寄宿学校という閉鎖的な空間で
美と無垢と語らいに魅かれ
もやもや…っとしちゃうのを何となく理解

ストーリー自体に いまや驚きはないが
あの時代のフランス映画の芳香みたいなのは感じる
公開当時は宗教団体から圧力がかかったらしい

私は原作者のプロフィールの方に興味がいった
同性愛の権利主張、カトリックとの対立、暴露連発etc.
そしてベストセラー作家に

その後のジョルジュは凄い勢いで活動してたのね

少年が子羊を抱いて現れるシーンが印象的ですが
考えさせられてしまいます

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jarinkochie
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