劇場公開日 1998年2月28日

「奴隷解放」アミスタッド kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0奴隷解放

2018年10月21日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 最初の裁判ではマコノヒーの弁護士が有利に進めるが、突如裁判長交替劇が起こり、陪審員なしの裁判へと変更させられる。この最初の裁判でも、異なる言語での翻訳コメディのような雰囲気があり面白かった。英語、スペイン語、メンデ語の間の意志の疎通の難しさ、通訳探しに奔走する弁護士マコノヒーとモーガン・フリーマン。何しろアメリカが独立して間もない頃の民主主義国家なのだ。フリーマン演ずる奴隷制度廃止論者も数少ない時代だ。

 途中、フンスーの回想シーンにアフリカから奴隷船へと映像が変わるのだが、これが痛々しい。黒人女性へのレイプ、黒人奴隷をロープで繋いで海へ投げ捨てるシーンは直視できないほどの映像だ。「我に自由を!」と裁判中に覚えたての英語で叫ぶフンスーが印象的だ。

 後半は奴隷解放に関して内戦勃発を恐れ悩む大統領、彼らを殉教者とすれば運動にはずみがつくと企む奴隷解放運動家、そして権力側のエゴのために翻弄される被告黒人たちが何も知らずに自由を追い求める。

 ラストは虚しい終り方だが、歴史を忠実に表しているからしょうがないのか?全体的に南北戦争前夜という描写だけの歴史ドラマに過ぎないように思えた。もっとフンスーをメインに黒人の怒りを描いた方が感動的になるとは思うのだが・・・スピルバーグは法廷映画に弱いのかもしれない。

kossy