たそがれ清兵衛

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劇場公開日:

解説

「男はつらいよ」シリーズの山田洋次監督が、藤沢周平の短編小説を原作に映画化し、アカデミー外国語映画賞にノミネートされるなど国内外で高く評価された時代劇。幕末の庄内地方。海坂藩の下級武士である井口清兵衛は妻を病気で亡くし、幼い娘2人や年老いた母と貧しくも幸せな日々を送っていた。家族の世話や借金返済の内職に追われる彼は、御蔵役の勤めを終えると同僚の誘いを断ってすぐに帰宅してしまうため、“たそがれ清兵衛”と陰口を叩かれていた。ある日、清兵衛は幼なじみの朋江を救ったことから剣の腕が立つと噂になり、上意討ちの討手に選ばれてしまう。清兵衛を真田広之、朋江を宮沢りえが演じたほか、世界的舞踏家・田中泯が映画初出演ながら清兵衛の敵役で強烈な印象を残した。

2002年製作/129分/日本
配給:松竹
劇場公開日:2002年11月2日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第76回 アカデミー賞(2004年)

ノミネート

外国語映画賞  

第26回 日本アカデミー賞(2003年)

受賞

作品賞  
監督賞 山田洋次
脚本賞 山田洋次 朝間義隆
主演男優賞 真田広之
主演女優賞 宮沢りえ
助演男優賞 田中泯
音楽賞 冨田勲

ノミネート

助演男優賞 小林稔侍
助演女優賞 岸惠子
新人俳優賞 田中泯
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映画レビュー

4.0下級武士の悲哀の人生

2024年3月17日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

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多様性男女平等自由主義

5.03つの短編を1本の長編に再構成した見事な脚本による、“人間のプロとしての優しさ”に…

2023年9月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

未読だった藤沢周平の
原作短編の一つ「竹光始末」を
読むことが出来、改めて映画鑑賞した。

この作品、
勤めを終えると家族のために早々に帰宅する
主人公は、原作「たそがれ清兵衛」から、
みすぼらしい風体や、
幼馴染みの女性とのお互いの秘めた想いは
「祝い人助八」から、
戦いに臨んだ二人の心が
通じ始めていたはずが、
清兵衛が竹光であると打ち明けてから
上意討ちの相手との死闘に転ずるのは
「竹光始末」から、
と、3つの短編を上手く組み合わせ、
ある意味、藤沢周平の別の長編小説に
仕立て上げたかのような脚本は
全く見事と言うしかない。

また、今回改めて気付いたのは、
清兵衛が上意討ちに臨んだ相手は、
「竹光始末」での家族との放浪の果てに
海坂藩に仕官出来た主人公と似ている。
また、その上意討ちの相手が、
清兵衛の大刀が竹光と知って
彼を倒そうとする意思を、
勝てるから、では無く、
武士としての誇りに変換する等、
この3原作を上手く組み合わせ、更には
高尚化するという脚本の上手さだった。

そんな中、映画「たそがれ…」の
清兵衛家の家族像はオリジナルだった。
妻だけの「たそがれ…」、
妻に先立たれ現在は独身の「祝い人…」、
妻子のある「竹光…」、
とは異なり、
妻が亡くなり、老いた母と二人の子供
の設定は、
3つの短編原作には無い設定だった。

今回、改めての鑑賞では、
冒頭の娘のナレーション
「家族のために“たそがれ”下城する父」
を耳にしては、初めから溢れる涙を
押し止めることは出来なかった。
そして、最後の最後まで、
家族を大切に思う想い、
憧れの幼なじみの女性に好意を寄せながらも
貧しい生活に巻き込むことへの葛藤等、
人間としての優しさに溢れた
“たそがれ清兵衛”像には、全編、
涙が途切れることのない鑑賞となった。

ラストシーンでの岸惠子の
「父は…充足した思いで短い人生を過ごしたに違いありません」には、
清兵衛的“人間のプロとしての優しさ”を
伝えたい山田洋次監督のそんな想いが
込められているような気がした。

私には、この映画は、「おくりびと」と並ぶ
故郷山形県庄内を舞台にした名作だが、
また、山田洋次監督作品としても、
「息子」と並ぶ私の中での代表作でもある。

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2023年9月17日
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鑑賞方法:TV地上波、VOD

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2023年9月16日
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とてもいい映画だったと思う。貧しい侍の暮らしをそのまま貧しく描き、自然に、なんというか、王道、正統派っていうかんじだ。
それでいてきたならしくは決してない。おかゆを食べて、そのあと白湯と漬物で一緒に箸で茶碗をぬぐって飲み、茶碗をそのまま伏せる。洗うなんてことはしないのだ。でもそんな習慣は無駄なく美しく見える。私がすきなのは、朋江の兄と清兵衛が釣りをするシーンだ。映像がすごく美しいし、二人のかぶった笠にはしっかり貧富があらわれていて、こまかいな~と思う。そこで朋江の兄に朋江をもらってくれないかと言われる清兵衛。憎からず思っているが断る。愛だけでは食べていけないからというわけだ。この暮らしが一生続くのかとおもったら、きっと彼女は後悔するだろうと。なんかああ人間は弱いものだものなあなんて思ってしまってとてもかなしかったのだった。
丁寧な、静かな映画で、日本の映画はこういうかんじがいいなあと思わせてくれる。最近韓国の映画がずいぶんもてはやされたけれど、これなら日本映画としていけるんじゃないかなあ。脇役では殿様のとぼけた感じがマル。小林稔侍もいいね。あとは岸惠子の役は、私としては倍賞千恵子のほうがよかったなあ~やっぱり(笑)
山田監督の言葉をHPで読むと「現代と違って画一的で映像にははなはだ向かないが、主君の命令とあらば命を捨てる、という不気味さがある・・平凡で静かな暮らしの裏の刀に象徴された激しさを表現したい」というようなことを語っていました。平凡な外見の裏に激しい一面、っていうのカッコいいね。今は個性個性って外見飾ることばっかりだけど、実はみんな画一的なことにあまり気付いていないかもしれない。

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らいぴゅう
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