劇場公開日 2002年11月2日

「美しい暮らし方」たそがれ清兵衛 らいぴゅうさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5美しい暮らし方

2023年9月16日
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とてもいい映画だったと思う。貧しい侍の暮らしをそのまま貧しく描き、自然に、なんというか、王道、正統派っていうかんじだ。
それでいてきたならしくは決してない。おかゆを食べて、そのあと白湯と漬物で一緒に箸で茶碗をぬぐって飲み、茶碗をそのまま伏せる。洗うなんてことはしないのだ。でもそんな習慣は無駄なく美しく見える。私がすきなのは、朋江の兄と清兵衛が釣りをするシーンだ。映像がすごく美しいし、二人のかぶった笠にはしっかり貧富があらわれていて、こまかいな~と思う。そこで朋江の兄に朋江をもらってくれないかと言われる清兵衛。憎からず思っているが断る。愛だけでは食べていけないからというわけだ。この暮らしが一生続くのかとおもったら、きっと彼女は後悔するだろうと。なんかああ人間は弱いものだものなあなんて思ってしまってとてもかなしかったのだった。
丁寧な、静かな映画で、日本の映画はこういうかんじがいいなあと思わせてくれる。最近韓国の映画がずいぶんもてはやされたけれど、これなら日本映画としていけるんじゃないかなあ。脇役では殿様のとぼけた感じがマル。小林稔侍もいいね。あとは岸惠子の役は、私としては倍賞千恵子のほうがよかったなあ~やっぱり(笑)
山田監督の言葉をHPで読むと「現代と違って画一的で映像にははなはだ向かないが、主君の命令とあらば命を捨てる、という不気味さがある・・平凡で静かな暮らしの裏の刀に象徴された激しさを表現したい」というようなことを語っていました。平凡な外見の裏に激しい一面、っていうのカッコいいね。今は個性個性って外見飾ることばっかりだけど、実はみんな画一的なことにあまり気付いていないかもしれない。

らいぴゅう