劇場公開日 1950年8月8日

「本当の名作を観た満足感の余韻にしばし呆けてしまった」宗方姉妹 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0本当の名作を観た満足感の余韻にしばし呆けてしまった

2019年12月11日
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鑑賞方法:DVD/BD

素晴らしい傑作です
流れる疎水の如く淀みなく進行する筋書き
そこに田中絹代と高橋秀子の二人の名女優の頂上決戦
丁々発止と火花のでるような名演合戦が見ものです
何から何まで、何もかも本当に見事で溜め息がでます
大好きな作品です

三村が職を得たという話
あれは嘘なのか、実は前から来ていたが気乗りせず断っていたものなのか
いずれにしても節子を失いたくなかった気持ちは熱く伝わった
それが節子に取って幸せにはならないとわかっていてもなおそうせざるを得なかった

本作の配役はどれも見事につきるが、この三村役に山村聡を配したことが最大の成功だと思う
もし森雅之ならどうだろう
そんな死に方はしない、お話しが全て嘘になってしまったろう

田中絹代と高橋秀子の対比は、本人の持つ性質が役柄と渾然一体となっており本当に見事だった

節子の選んだ結論の余韻はまた深い
田代宏もまた深い傷を負った
彼はこれからも彼女以外の女性を愛せはしないとハッキリしてしまったのだ
けれども二人の姉妹の愛情はより深く固くなったのだ
父もまたそう長くはなく姉妹二人で生きていくのだ
本当の名作を観た満足感の余韻にしばし呆けてしまった

あき240