吼えろ鉄拳

劇場公開日:

解説

肉親を謀殺した叔父に復讐を挑むカラテ青年の活躍を描く。脚本は「OL縄奴隷」の鈴木則文、井上眞介、「影の軍団 服部半蔵」の志村正治の共同執筆、監督は「忍者武芸帖 百地三太夫」の鈴木則文、撮影は北沢清がそれぞれ担当。

1981年製作/95分/日本
配給:東映
劇場公開日:1981年8月8日

ストーリー

響譲次はアメリカ・テキサスから十八年ぶりに日本に帰って来た。養父の鉄心が死に、最期に、本名は日野原といい、父母は事故で死んでいるが、双子の兄の透と姉の千尋が日本にいると話した。謙次は神戸にいる父の弟の日野原一輝を訪ねた。一輝は譲次の父の死後、巨大な事業を継いでいる。再会した姉は盲目のカラテの名手で、物音に反応して敵の攻撃をかわす。やがて譲次は一輝が裏で麻薬の密輸をしていることをかぎつけた。そして、香港の楊玄徳と二百億の取引で、日野原家に伝わるダイヤ“シパの女王”を一輝は要求された。譲次は千尋のオルゴールの秘密からダイヤを発見するが、一輝に姉を人質に取られ、ダイヤと交換させられてしまう。さらに一輝は譲次も監禁し、千尋を殺してしまう。謙次の兄の透を殺したのも一輝だった。一輝は香港に向う。一方、譲次も鉄心に習ったカラテで敵を倒し、牢から脱出、一輝を追った。香港では、ダイヤを囲んで一輝と楊が取引をしていた。敵陣へ乗り込もうとする謙次の前に国際警察の麻薬Gメン大刀川が現れ、あとはまかせろと言う。復讐に燃える謙次は耳を貸さない。そして、二人は取引の現場に乗り込み、見事に敵を粉砕するのだった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

監督
脚本
鈴木則文
井上眞介
志村正浩
企画
日下部五朗
本田達男
企画補
佐藤公彦
撮影
北沢清
美術
園田一佳
音楽
羽田健太郎
録音
荒川輝彦
照明
加藤平作
編集
市田勇
進行主任
野口忠志
助監督
藤原敏之
スチール
中山健司
闘技監督
千葉真一
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受賞歴

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映画レビュー

3.0アニメのような展開を、CGやスタントマン使わずに、ご自身の肉体アクションで。

2020年6月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、VOD

単純

興奮

萌える

トム様のアクションに度肝を抜かれる昨今ですが、日本にも似たようなことをやっていた役者がいた。
 その名は真田広之さん。

「夏。ヒロユキ躍動。」(ちらしより)
アクションてんこ盛り。
もちろん一番躍動しているのは真田さんだが、志穂美さんをはじめ、JACやたくさんの人々がこれでもかと披露してくれる!!!

『吼えろ鉄拳』を取り上げた、古い新聞記事を見つけた。
 「彼(真田氏)は芸能人ではない。肉体を鍛えることがなければ無視される平凡な青年にすぎない・・・」という、鈴木監督のコメントをとりあげていたけれど・・・。
 真田氏は今ではUSAでも重きを置かれる俳優だよ。まあ、生まれ持った才能を、肉体を鍛えたようにストイックに磨き上げたんだろうなあ、きっと。
 しかも、Wikiによると、前作がコケて、あれ一本で終わらせたくないと前作の監督が望んだことが、この映画の発端という。
 いわゆる、この年代にきらめいていたアイドルのようなオーラこそないが、制作者に「売り出したい」「育てたい」と思わせる何かがあったってことだ。使い捨てにされたアイドルがたくさんいた中で、生き延びるものを持っていた真田さん。

体操選手のように軽々と様々な技を繰り出して見せてくれるJACの面々。
 伸びた姿勢等、一種のダンスかと思ってしまうようなテンポが美しい。

「鋼鉄の筋肉(からだ)から発する迫力3拍子=スピード・パワー・スピリット。」
「JUMPING HIROYUKI」
  (いずれもちらしより)
「これからはヒロユキの季節(とき)/ビッグな人気で’81真夏を快走」
  (チケットホルダーより)
 東映の売り出し方がすごい(笑)。上述の新聞記事には「映画が育てたスターが久々に誕生した。東映のお盆映画『吼えろ鉄拳』に主演している真田広之だ。東映京都撮影所では、大川橋蔵、萬屋錦之介の時代以来二十年ぶりに女子高校生ら若いファンが門前に群れをなしている光景が見られる。『魔界転生』撮影時にもジュリーをひと目見ようとするファンの姿があったが、その後その数は減るどころか倍増しているという。」当時の真田さんの人気者ぶりがうかがえる。この映画での、しなやかな肢体、落ち着いたかわいい声、美形をみれば、それも納得してしまう。

物語は30分のアニメか?といった様。
というか、真田さんのアクションが際立つように、つなげたストーリー。
とはいえ、硬派アクションでがっちり固めているのではなく、追跡劇ひとつとってもアクションで表現したコントのようにきまる。
 ジャッキー・チェン氏を彷彿とさせるテイスト。
 『犬神家の一族』のパロディ?といった映像。
 『座頭市』?のような設定…。
 カウボーイにマジシャン…、次から次にいろんなものを詰め込んでくる。
それでも、若い真田さんが、若い志穂美さんが、JACの面々が魅せてくれる。
軽々とこなして見せてくれているが、本当はかなり危険な場面も多い。緊張感がともなうスパイスが散りばめられる。
 東尋坊でのダイビングや香港のニ階建バスでのアクション、荒天候中のモーターボードかっとばし。他にも、他にも…。書ききれない。CGではないし、命綱なしなので、一歩間違えれば死ぬ。そんなアクションをかるがると、一発撮りで決めたという。
 Wikiによれば、二階建てバスの屋根の上のアクション撮影時に交通規制等していないらしい。アクションやっているバスから落ちれば、後続の車にひかれるって…。パトカーまでやってきて、危うく拳銃で撃たれるところだったって…。今なら、各方面へ届を出して、交通規制して、バスの周りを走る車もスタントマンが運転して、それでも事故が起こりかねないのに…。なんて乱暴な!
 さすがに、香港・九龍城での撮影は、Wikiによると事前に根回ししたらしいが、ある記事には、根回ししてあるとはいえ、悪役の役者が所場荒らしに間違われて襲われないか怖かったみたいとある。確かに…。(記事タイトル『真田広之/『吼えろ鉄拳』香港ロケは危険がいっぱい 正真正銘命がけ!』より)
 そんな当時考えられるアクションがてんこ盛り。当時も、ここまでのアクションができるスターは真田さん、志穂美さんくらいだった。勿論、千葉さんもできるけれど、この映画では真田さんに華を譲っている感じかな?

軸となる物語は特に目新しいものはなく、かついろいろ詰め込みすぎて、食傷気味にもなりかねないのだが、
そこに成田さんや遠藤さん、勿論千葉さんがきっちと演じてくれると、これだけ楽しめるものになるのだなあと思った。
 特に、成田さんがすごい。他の映画での正統派の悪役はもちろん、こんなアニメみたいな映画の中でも、がっちり悪役を演じても浮かない。ギャグ演出を際立たせてくださる。
 この映画でも、悪役の信条に〇〇〇を持ってくるなんて…。この映画って子どもだましの戦隊ものだっけ?と思ってしまった。それでも成田さんが演じられると収まるから不思議だ。

ストーリーや演出は0点。
でも、アクションと、主要役者は最高です(ギャルや、役者が本業でない人たちの演技には目をつぶってね)。

(公開時、新宿東映にて初見)

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とみいじょん
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