暗夜行路(1959)

劇場公開日:

解説

志賀直哉の原作を、「愛の鐘」の八住利雄が脚色し、「男性飼育法」の豊田四郎が監督した文芸映画。撮影も同じく「男性飼育法」の安本淳。昭和34年度芸術祭参加作品。

1959年製作/140分/日本
原題:Pilgrimage at Night
配給:東宝
劇場公開日:1959年9月20日

ストーリー

時任謙作には出生の秘密があった。謙作は、父のドイツ滞在中、母と祖父との間に生まれた子だった。幼馴染の愛子との縁談がこわれたのも、このことからであった。彼は放蕩を重ねた。謙作は祖父の死以後、その妾であったお栄と二人で暮していた。やがて、お栄を女として意識するようになった。年も上で、実際には父であった祖父と交渉のあったお栄に、そんな気持を抱くようになった自分を持てあました謙作は、旅行を思い立った。尾道へ行った。彼はお栄との結婚の決心を兄の信行に書き送った。その時、始めて出生の秘密を知らされた。謙作の父はこの結婚話に激怒して反対し、お栄も謙作の申し出を固辞した。謙作は再び東京を去り、京都に赴いた。宿の近くに療養に来ている、老人に附添う娘を見そめた。友人の高井や石本らの助力で、その娘・直子に結婚を申込み縁談はととのった。謙作夫婦は、京都南禅寺北の坊の草葺屋根の新居に住んだ。お栄は、従姉のお才の勧めで中国へ渡った。が、盗難にあい、病気になった。謙作は金の工面をして送ってやった。謙作と直子の間に男の子が生れたが、生後間もなく丹毒で死んだ。またお栄から窮情を訴えた便りがあり、謙作は朝鮮まで行きお栄を連れて帰った。帰ってみると、直子との間にチグハグなものが感じられた。留守中に、従兄の要が泊っていったという。要と直子の間に間違いが起ったのだ。謙作は悩んだが、直子を許す決心をした。転機を求め、ひとり鳥取へ旅に出た。伯耆大山山麓の蓮浄院に寄宿した。日増しに心が落着いていった。ある白登山の一行に加わり、コレラに倒れた。直子が駈けつけた。謙作の眼は、愛情に満ちていた。直子も、高熱にあえぐ謙作の横顔を見つめながら、どこまでもこの人について行こうと思った。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.5どうして運命はこう、自分には白い歯を見せるのか。

2023年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

なるほど、志賀直哉本人が池部良が演じるならとオーケーを出したのが頷けた。てか、そう考えると志賀直哉ってごく最近の人だったんだな。
尾道、京都、伯耆大山。遠い昔の風景を、こうして映像で見るのはとても新鮮だった。鴨川沿いの幾松がまだあった時代だものな。ただ、どうしてこの時代の小説はみなこうして暗いのか。暗いだけならいいが、主人公の言動がじれったい。そして当然ながら、生活というものが今と当時とでは違っているので、常識さえ自ずと違う。コンプラに引っかかるようなことが、至極当然の時代だったんだなと、改めて認識できた気分。
文庫本で持っていながら読まず仕舞いだったが、スジが知れたのでたぶん本棚から取り出すことはないだろう。特段、読みかえしてみたい気分にもならなかったから。

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栗太郎
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