劇場公開日 2007年10月13日

キングダム 見えざる敵 : インタビュー

2007年10月10日更新

ジェイミー・フォックス独占インタビュー

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――そうですね。この作品の興味深いところは、アラブの人々が明らかに自分たちの土地からテロリストを排除したがっているところですよね。これは、欧米社会ではあまり耳にしないメッセージのように思います。

現地の捜査官アル・ガージー(左/アシュラフ・バルフム)の 熱い姿勢も描かれる
現地の捜査官アル・ガージー(左/アシュラフ・バルフム)の 熱い姿勢も描かれる

「そう。それこそ、マイケル・マンが伝えたかったことだし、ピーター・バーグが伝えたかったのは、近くで悪いことが起きていれば、自分もそれを阻止したいと思う、ということなんだ。自分の近くで悪事が行われても、それを受け入れない。そのせいで、すべてが悪化してしまうからだ。中東に行くと、ああいう悲惨な出来事が起きるけど、誰もそんなことは望んでいないんだ。でも、そういう事実をTVで目にする機会はない。プロパガンダにはならないからね。だからその手のことは表面下に隠れてしまう。そんなに深刻なことではないけど、それは人々が悪いことを望んでいないという事実を示している。世界中の誰もが、まともに暮らしたいと思っているんだよ」

――映画の結末について、話してしまうわけにはいきませんが、どちらかと言うと、悲観的ですね。

「リアルってことだよ。『何だよ、まったく』と言いたくなる。だからこの作品が好きなんだ。エンディングが一番、気に入ってる。『どういうことだよ』『そういうこと』という感じかな。つまり、愉快な結末を用意するんじゃなくて、現実はこうなんだ、という印象を与えてるんだ」

緊張感溢れるアクションの連続も見もの
緊張感溢れるアクションの連続も見もの

――全編を通して、恐怖の連続ですね。次の自動車爆弾や、爆発を待つシーンは、アドレナリンが吹き出ますよ。

「その通り。僕らがフリーウェイでカチカチいう爆弾の音を聞いている。ああいうのは好きだよ。爆発なら何でもいい。ハイになれる。セットでもすごく慎重にやる必要があった。あの銃をあんな近い距離から撃つんだから、体に害を及ぼすかもしれない。でも面白いよ。子供の頃、ああいう相手をバンと撃ち殺す映画に憧れたんだ」

――21世紀のアクション映画にとって、テロや中東の話題は、冷戦時代のように地政学の問題を表現する形になると思いますか?

「そう思うよ。アートには社会が反映される。何が起きようと、必ずね。別のことが起きれば、それに関する映画が生まれるよ。でも今は、当然テロや中東のことだろうね。アートはそういう世の中を利用して、面白いものになってるんだと思う」

――この作品に関し、アラブの国々の受け取り方はどう違うと思いますか?

「彼らはこの作品を見てくれたんだ。そして理解し、気に入ってくれた。アブダビに行ったとき、サウジの人たちは僕らにすごくよくしてくれたし、撮ったばかりの場面を見てくれた。両者が互いに争うシーンを見て、ちゃんと理解してくれたよ。これは映画であって、信仰心の表明ではないということをね。これは宗教の話じゃない。この世の中で生きている、あの登場人物たちの物語なんだ。芸術面でのコミュニケーションが新しい方向に進んでいるような気がするね。もしこの考えが正しければ、いつかまた向こうに行って、映画を撮れたら素晴らしいね」

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