劇場公開日 2007年11月10日

転々 : インタビュー

2007年11月8日更新

「時効警察」でおなじみ三木聡&オダギリジョーのコンビに、名優・三浦友和を加えて送る、不思議なロードムービー「転々」が公開。失われつつある東京の姿が映し出されている様子も作品の魅力のひとつになっている本作の三木監督と主演の三浦友和、そして注目の新人女優、吉高由里子に話を聞いた。(聞き手:編集部)

三木聡監督インタビュー
「歩くっていう行為は意外に発見が多いですよね」

三木作品おなじみのオダギリジョーに加え、三浦友和がいい味を出している
三木作品おなじみのオダギリジョーに加え、三浦友和がいい味を出している

――まず、三浦友和さんが見事なはまり役で素晴らしかったんですが、あのキャスティングは最初から決めていたのですか?

「あまり最初から想定して書いたりはしませんでしたね。脚本が上がった時点ではオダギリさんも含めてまっさらでしたよ。それで、オダギリさんが決まってそのあとで、三浦さんにお願いできないかなと思ったんです。『台風クラブ』の三浦さんが印象に残っていたんです。何か駄目そうじゃないですか、あの三浦さんは(笑)。僕は三浦さんが若い頃に出ていた『伊豆の踊子』とかああいった文芸作品は見ていないんですけど、相米さんの『台風クラブ』は見ていて、今回そのことについて話してみたら、三浦さんは『ああいう仕事はやっておくもんだな』って言ってましたよ(笑)」

――藤田宜永さんの原作ではストリッパーと文哉の恋愛が中心にありましたが、見事に省いてましたね。

三木聡監督
三木聡監督

「原作のような物語展開とは、また、別の展開したかったんです。原作のクライマックスにあたるバイクの追跡劇みたいのも、ちょっと苦手ですしね。あと、ストリッパーの部分ですけど、シティボーイズの舞台で一緒に仕事をやっていた大竹まことさんや原作の藤田さんの世代、いわゆる全共闘世代は、ストリッパーとの恋愛に憧れとリアリティがあるんですよね(笑)。僕らの世代にはそういうリアリティはないので、女のヒモで、ストリッパーが恋人みたいなデカダンへの憧れは正直描ききれないと思って。なので、一応藤田さんに了承を取っているので、変えさせてもらいました。大体『イン・ザ・プール』でもそうでしたけど、変わって来ちゃうんですよ。僕は『原作に忠実な映画化であれば、オレじゃない方がいいですよ』って、各所に言って回ってましたからね(笑)」

――メインの流れと外れたところに、いかにも三木監督らしい3人組(岩松了、ふせえり、松重豊)が出てましたが、あの3人を出した意図は?

「ある人たちが無意識にとっている行動が、第三者にとっては不幸やサスペンスに繋がることがあるじゃないですか。今回はそれをやりたかったんです。死体を発見するかも知れないけど、あの3人じゃ発見できないだろうってお客さんは思うわけです。でも一応、第三者の意味のない行動が、ある人にとっては重要になってくるっていう構図にはなっていると思うんです。それは本人役を演じた岸部一徳さんもそうですよね」

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インタビュー2 ~三木聡監督&三浦友和&吉高由里子インタビュー(2)
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