サイボーグでも大丈夫 : 新作映画評論

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映画

サイボーグでも大丈夫

劇場公開日 2007年9月15日
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サイボーグでも大丈夫 9月15日より新宿武蔵野館にてロードショー

憎悪よりも愛へと比重を移したパク・チャヌクの新世界

画像1(C)2006 CJ ENTERTAINMENT INC
& MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED.

おそらくパク・チャヌクを支持してきた観客の多くは、この新境地を否定するのだろう。「復讐」という大義の下に暴力を激しくスタイリッシュに描き続けてきた彼が、一見優しげなファンタジーへと移行したかのように見える。タランティーノ的な直情タッチからジャン・ピエール・ジュネ風のシュールで切ない世界へ。本当に彼は変わったのか?

舞台は新世界精神クリニック。そこは独自の世界観を抱く人々が思い思いに過ごす秩序なき空間。自分をサイボーグだと信じる少女は感情を押し殺し、機械の身体が壊れないようにと絶食してエネルギー源の乾電池だけを舐めている。どうやら彼女には、心に大きな傷を負った口に出せない過去があるようだ。

少女の魂を救おうと手を差し伸べるのは、自分が消滅することを怖れる青年。頑なに殻に閉じこもっていた彼女に変化が訪れるのは、青年が自分をサイボーグとして扱ってくれたとき。傷つき排除された者同士は、異なる価値観を認め合うことで心と心を通わせる。たった一人の理解者を得られれば、ネガティブな感情はたちまち弱まっていく。憎悪よりも愛へと比重を移したチャヌクの新世界。確かにバイオレンスの度合いは薄まったが、これまでの復讐劇のような頑強な肉体と強靱な精神を、少女と青年が持ち合わせていないだけではないのか。そう、これは繊細な魂の持ち主たちが、トラウマを克服しようとしてもがく内的な復讐劇に違いない。

清水節

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ABOUT THE MOVIE

  • サイボーグでも大丈夫 画像2
  • サイボーグでも大丈夫
  • 「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督が、精神クリニックを舞台に患者同士の恋を描いたファンタジック・ラブコメディ。妄想病患者の青年イルスンが入院している新世界精神クリニックに、自分のことをサイボーグだと信じる少女ヨングンがやって来た。イルスンは彼女に興味を抱き、その行動を観察し始めるのだが……。主演は人気歌手のRain(ピ)ことチョン・ジフンと「箪笥<たんす>」のイム・スジョン。
  • 原題:
    I'm a Cyborg、 But That's OK
    監督:
    パク・チャヌク
    脚本:
    チョン・ソギョン、パク・チャヌク
    製作:
    イ・チュニョン
    撮影:
    チョン・ジョンフン
    音楽:
    チョ・ヨンウク
    出演:
    チョン・ジフン、イム・スジョン、チェ・ヒジン、イ・ヨンニョ、ソン・ヨンスン、チュ・ヒ、イ・ヨンミ、チョン・ソンフン、キム・チュンギ、キム・ビョンオク
    2006年韓国映画/1時間47分
    配給:
    東京テアトル
  • 9月15日より新宿武蔵野館にてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)2006 CJ ENTERTAINMENT INC & MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED.

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