TikTok TOHO Film Festival : 特集

2024年12月23日更新

映画ファンに声を大にして伝えたい―縦型映画の新時代
が到来! “映画館好き”が半信半疑で鑑賞→縦型&
短尺ならではの鑑賞体験がインパクト大&超斬新だった
映画.com的アカデミー話題賞を授与したい傑作続々

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映画ファンの皆さんに、聞きたいことがあります。



皆さん、縦型映画って、知っていますか?



縦型映画とは、スマートフォンを代表とする“縦画面”で見ることを想定した映画のこと。映画好きの筆者は、IMAXや4Dなどラージフォーマットに気をとられ、こんな身近に(何と自分の手のなかに!)素晴らしい“映画館”があるとは、最近まで知りませんでした。

さらに、縦型映画にフォーカスした映画祭「TikTok TOHO Film Festival」が今年も開催! 2024年で4回目となり、良質な縦型映画を続々と配信しています。そんな映画祭で縦型映画を初体験してみたら……“縦”という特徴を最大限に生かした斬新な良作に、「めちゃくちゃ面白いじゃん!」と大興奮。

「TikTok TOHO Film Festival 2024」受賞作品「絶滅メシ」
「TikTok TOHO Film Festival 2024」受賞作品「絶滅メシ」

この記事では、「縦型映画って、本当に面白いの?」「この映画祭、気になってはいたけど、見たことないな~」という方に向け、映画.com編集部の5人が、映画祭で高評価を得た5作品をガチでレビュー。

年に数百本レベルで映画を見まくっている映画好き5人が見始めたら、“初めて出会う映画の形”のクオリティの高さや斬新なアイディアにぶっ飛び、「映画.com的“アカデミー話題賞”を授与したい!」と決意したほど、粒ぞろいだったんです! しかもこのページ内で、各作品を10分以内で鑑賞可能。是非最後まで読んで、縦型映画の沼にハマってほしいです!


【トレーラー】私らしい映画のカタチへ。

【映画は進化した】縦型で観る時代…“物語の美味しさ”
を最高純度で味わえるのは、縦型映画なのかもしれない

「TikTok TOHO Film Festival 2024」受賞作品「遊園人」
「TikTok TOHO Film Festival 2024」受賞作品「遊園人」

本題の縦型映画レビューの前に、皆さんに宣言させてください――。映画を取り巻く世界は日々進化し、スマートフォン×縦型で映画を観る新時代が、もう来ています! 「そこまできてる」じゃなくて、今もう真っ只中! 見逃してはいけない新トレンドなんです(大声)!

この項目では、縦型映画初心者だった筆者が「イイじゃん!」と思わず叫んだ魅力の数々をプレゼンします。


●【イイじゃん、縦型映画】映画鑑賞の可能性を広げる新スタイル! 縦型ならではのアイディアに驚き、短尺だからこそ強烈に心に残る、“あなただけの映画館”

映画鑑賞の新スタイルである「スマホで縦型映画」。1作品あたり1分~10分程度の短尺の作品が多く、スマホでいつでも&どこでも鑑賞できる手軽さも魅力です。

何より推したいのが、その独創性とクオリティ。例えば「TikTok TOHO Film Festival 2023」のグランプリ作品「反復横跳び少女」は、完璧に計算された画角や、画面外の出来事を想像させる仕掛けなど、縦型ならではのアイディア満載。短尺ゆえのインパクト絶大の物語や、続きを想像したくなる結末なども見逃せません。

「TikTok TOHO Film Festival 2024」受賞作品「灯台守と迷子の幽霊」
「TikTok TOHO Film Festival 2024」受賞作品「灯台守と迷子の幽霊」

そして、実際に見るまで気付かなかったのですが、縦型映画は、不思議な親密感や没入感をもたらしてくれます。夜中にひとり、深夜ラジオを聞いている時って、その声が自分にだけ届けられているような、世界に自分しかいないような感覚になること、ありませんか?

それと同じで、スマホを開くと“自分だけの映画館”が現れ、物語が最高純度で心に染み渡ってきて……その時間を、すごく特別で尊く感じました。映画ライフへの縦型映画の導入、かなりオススメです。


●そんな“縦型映画専門”の映画祭「TikTok TOHO Film Festival 2024」が開催! 配給最大手・東宝と、ショートムービープラットフォーム・TikTokがタッグを組み、“映画の未来”を切り拓く
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そして、そんな縦型映画が専門の映画祭「TikTok TOHO Film Festival 2024」が開催されました!

縦型映画という新たな映画のフォーマットを広めるため、次世代を担う新進気鋭のクリエイターを発掘するため、日本映画界の配給最大手・東宝と、トレンドを席巻するモバイル向けのショートムービープラットフォーム・TikTokが強力タッグ。

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2021年にスタートし、これまで北村匠海さん、磯村勇斗さん、池田エライザさんがアンバサダーを務め、4回目となる今年は三吉彩花さんがアンバサダーに就任。順調かつ飛躍的な成長を重ね、映画の未来を切り拓く“新たな挑戦”を映画祭全体で志向しています。

また、審査員には三吉さんに加え、萩原健太郎さん(映画監督/「ブルーピリオド」)、岡村和佳菜さん(プロデューサー/「きみの色」)、MEGUMIさん(女優・プロデューサー)、しんのすけさん(映画感想TikTokクリエイター)ら豪華な面々! そしてこの「TikTok TOHO Film Festival 2024」が、映画.com的にとても、とても重要な体験を与えてくれました。というのも……


●映画.comの今年の“斬新性No.1”は、「TikTok TOHO Film Festival 2024」の縦型映画でした。
「TikTok TOHO Film Festival 2024」受賞作品「僕の春は何色」
「TikTok TOHO Film Festival 2024」受賞作品「僕の春は何色」

12月19日(木)の「TikTok TOHO Film Festival 2024」授賞式で発表された、グランプリをはじめとする5作品が、映画.com的「斬新映画オブ・ザ・イヤー」に! 実際にどういう作品だったのか、次の項目のレビューで、各作品の魅力を掘り下げていきます!


年に数百本、映画を観る人がレビュー「設定冴え過ぎ」
「何度も見たい」「三幕構成になっているのもお見事」

「TikTok TOHO Film Festival 2024」受賞作品「モブライフ」
「TikTok TOHO Film Festival 2024」受賞作品「モブライフ」

ここからは、映画.com編集部の5人が、「TikTok TOHO Film Festival 2024」で、約400の応募作品から選ばれた5作品をレビュー。

年に数百本レベルで映画を見まくっている5人は、果たして縦型映画をどう見たのか? 読者の皆さんも、1~10分で見られる作品ばかりなので、レビューと一緒に、縦型映画を体験してみては?


●“歩きスマホ”の人に、「こいつベルトコンベアに乗せたら発電できんじゃね?」と思ったこと、ありません? やってみました。 ~シュール世界観に思わずクスリ、本年度最高傑作~
【グランプリ】「遊園人」(レビュー者:映画.com編集長・駒井)

シネマスコープをタテに反転させたような画面に、体躯の細長い登場人物たち。恐ろしくシュールで不穏な雰囲気にぞわぞわしながら見ていましたが、後半は予想外のハートウォーミングな展開で驚きました。4分14秒ながら、きちんと三幕構成になっているのもお見事。

このテイストならば、不条理で救いのないカフカ的な世界を期待したい。タテ画面で展開する「変身」が見たいです。是非作ってほしい。


●モブキャラたちが、実は“主人公を際立たせる”ために活躍していること、知っていますか…? アイディアがたまらない秀逸作!
【準グランプリ】「モブライフ」(レビュー者:映画.com・飛松)

たまにTikTokを眺めている私にもなじみがある、一見、学校の「あるある」をまとめた系の動画のようで、実は設定とストーリーテリングが冴え過ぎているハイクオリティな映画だった……という、ギャップにやられた1本。モブキャラたちが、恋のアシスト的技を駆使するテンポが最高で、キャストたちの画面からはみ出さんばかりの躍動感&濃い演技も◎。設定だけで突き進んでも十分見ごたえがあるのに、そこから幾度もツイストが加わり、想像以上にどこまでも広がる世界観が圧倒的でした。


●撮影、特撮のクオリティに編集部騒然! スーパーマーケットである兄弟が動画撮影…平和と絶望が絶妙に絡み合い、意表をつく結末へ――
【特別賞】「絶滅メシ」(レビュー者:映画.com 副編集長・大塚)

今回の受賞作品にあって、8分50秒は長尺の部類でしょうか。動画配信者の兄弟2人が、命がけで食べたかったものの真意が分かったとき、縦型も横型も関係ないなと“食わず嫌い”の偏見など容易に吹き飛びます。多くを説明するでもなく、画で伝える術も持ち合わせた良作です。


●青春って、“一色”じゃないんだよね。黄春、黒春、いろいろあって…若者たちの心に寄り添う、“縦型映画”を象徴する意欲作
【「きみの色」賞】「僕の春は何色」(レビュー者:映画.com・尾崎)

そうか、と胸のどこかが疼いた。あの日の放課後の、どこに向かうでもない気だるい時間、それすらも「大切な春」と呼び切る潔さが、なんだか妙に気持ちよかった。アニメーションはやや荒削りだが、しかしこの作品には、自分や、自分と似た誰かの日常にそっと寄り添い、その一見無意味に見える時間さえ肯定しようとする、優しくて強い視線がある気がした。映画は“自分と誰か”のために紡がれるもの。大切なことを思い出させてくれた。


●灯台守のウサギのもとを訪れた、迷子の幽霊 圧巻のストップモーションアニメで描く、心あたたまるおとぎ話
【アニメ・CG賞】「灯台守と迷子の幽霊」(レビュー者:映画.com・松村)

キャラクター、小道具一つ一つがなんだかとってもこだわりがありそうで優しくあたたかくかわいらしく、造形も手間がかかっていそうで、ちょっとセンチメンタルな気持ちになれるストップモーションアニメ。スマホ内でなんでも消費できるこの時代だからこそ、リラックスタイムに何度も見たいな、と思える作品でした。そして、リアルな虹の上方には何があるのでしょうか。

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ここまで読んでくださった映画好きの皆さん、縦型映画、いかがでしたか? ジャンルを問わず映画を見漁ってきた映画.com編集部も、「まだ映画にこんな表現や見せ方があるのか!」「縦型で見たからこそ生まれる感情があるな……」と、驚きを超えて、しみじみと感動の境地に。ひとりスマホで向き合うからこそ、物語が直接、心の中に浸透してくるようで、製作者の力強いメッセージに射抜かれる、忘れられない鑑賞体験になったんです。

映画.com編集部一同、縦型映画は、これからもチェックしたい、映画ライフをさらに盛り上げてくれる存在として、しっかり再認識しました。また、ここで知った監督やキャストをいち早く見つけられるのも、楽しみな理由のひとつ。映画業界の未来と可能性がつまった縦型映画カルチャー、引き続き注目していきます!