ランディ・クートゥア : ウィキペディア(Wikipedia)
ランディ・クートゥア(Randy Couture、1963年6月22日 - )は、アメリカ合衆国の男性俳優、元総合格闘家。ワシントン州エバレット出身。エクストリーム・クートゥア主宰。元UFC世界ヘビー級王者。元UFC世界ライトヘビー級王者。UFC史上初の二階級制覇王者。UFC殿堂入り。UFC史上最年長王座獲得記録(43歳)を保持。
四十路を越えてもなお厳しいトレーニングを重ね43歳でUFC王者になったことや、タイトルマッチをUFC史上最多の16度(UFC 13のトーナメント決勝を含む)戦ったことから「鉄人」と称される。グレコローマンのクリンチ、テイクダウン技術に加え、ボクシングとパウンドに優れ、今日の総合格闘技の戦法に大きな足跡を残した。UFCにおいて、ヘビー級とライトヘビー級の2階級で通算6度の王座戴冠という前人未到の記録を達成している。
来歴
高校時代にレスリングで州王者になる。高校卒業後にアメリカ陸軍に入隊。軍曹を務め、1982年から1988年まで在籍。その間にグレコローマンレスリングとボクシングを経験した。除隊後、オクラホマ州立大学で、NCAAのディビジョン1で2度準優勝し、オールアメリカンに3度選出。1988年、1992年、1996年の3度オリンピックの補欠選手に選考された。その後、大学時代仲の良かったドン・フライが出場したUFC 10を観戦し、総合格闘技への転向を決意したランディ・クートゥア UFC公式サイト。
総合格闘技
1997年5月30日、33歳での総合格闘技デビュー戦となったUFC 13のヘビー級トーナメント1回戦でトニー・ホームに開始56秒にチョークスリーパーで一本勝ち。決勝でスティーブン・グラハムにパウンドで1RTKO勝ちし、優勝を果たした。
1997年10月17日、UFC 15のヘビー級王座挑戦者決定戦でビクトー・ベウフォートと対戦し、パウンドで1RTKO勝ちを収め王座挑戦権を獲得した。
ヘビー級世界王座獲得
1997年12月21日、UFC JapanのUFC世界ヘビー級タイトルマッチで王者モーリス・スミスに挑戦し、2-1の判定勝ちを収め王座獲得に成功した。
UFC離脱
契約問題からUFCを離脱し、ヘビー級王座を剥奪される。
1998年10月25日、VALE TUDO JAPAN '98でエンセン井上に腕ひしぎ十字固めで1R一本負け。
1999年3月22日、リングスに初出場しイリューヒン・ミーシャにチキンウィングアームロックで1R一本負け。その後、一時総合格闘技を休養し、アマチュアレスリングに復帰をしている。
2000年10月9日、リングスのKING of KINGSトーナメントに参戦し、1回戦でジェレミー・ホーンに3-0の判定勝ち。2回戦では柳澤龍志に2-0の判定勝ち。
UFC復帰・ヘビー級世界王座奪還
2000年11月17日、UFC復帰戦となったUFC 28のUFC世界ヘビー級タイトルマッチで王者ケビン・ランデルマンに挑戦し、パウンドで3RTKO勝ち。2度目のヘビー級王座獲得に成功した。
2001年2月24日、リングスのKING of KINGSトーナメント準々決勝で高阪剛を3-0の判定で破るも、続く準決勝でヴァレンタイン・オーフレイムにフロントチョークで1R一本負けを喫した。
2001年5月4日、UFC 31のUFC世界ヘビー級タイトルマッチで挑戦者ペドロ・ヒーゾと対戦し、3-0の5R判定勝ちで王座の初防衛に成功するも、接戦だったためUFC 34でヒーゾとの再戦が組まれ、パウンドで3RTKO勝ちを収め、2度目の王座防衛に成功した。
2002年3月22日、UFC 36のUFC世界ヘビー級タイトルマッチで挑戦者ジョシュ・バーネットと対戦し、パウンドで2RTKO負け。3度目の防衛に失敗し、王座から陥落した。しかし、その後バーネットは薬物検査を失格して王座を剥奪されている。
2002年9月27日、UFC 39のUFC世界ヘビー級王座決定戦でリコ・ロドリゲスと対戦し、グラウンドの肘打ちでギブアップ負けを喫し王座獲得に失敗した。
ライトヘビー級世界暫定王座獲得
2003年6月6日、ライトヘビー級転向初戦となったUFC 43のUFC世界ライトヘビー級暫定王座決定戦でチャック・リデルと対戦し、マウントパンチで3RTKO勝ちを収め王座獲得に成功。UFC史上初の2階級制覇王者となった。
同じく2003年、映画「ブラック・ダイヤモンド」に出演。
ライトヘビー級世界王座統一
2003年9月26日、UFC 44のUFC世界ライトヘビー級王座統一戦で正規王者ティト・オーティズと対戦し、3-0(50-44、50-44、50-45)の5R判定勝ちを収め王座統一に成功した。
2004年1月31日、UFC 46のUFC世界ライトヘビー級タイトルマッチで挑戦者ビクトー・ベウフォートと5年ぶりに再戦し、試合開始わずか48秒で右目付近をカットしてしまい、ドクターストップによるTKO負けを喫し王座から陥落した。
ライトヘビー級世界王座奪還
2004年8月21日、UFC 49のUFC世界ライトヘビー級タイトルマッチで王者ビクトー・ベウフォートに挑戦し、3R終了時にドクターストップでTKO勝ちを収め王座奪還に成功した。試合後には、試合を観戦していたPRIDEミドル級(-93kg)王者のヴァンダレイ・シウバに統一戦を要求した。
2005年1月から4月にかけて放送されたリアリティ番組「The Ultimate Fighter 1」でチャック・リデルと共にコーチを務めた。
2005年4月16日、UFC 52のUFC世界ライトヘビー級タイトルマッチで挑戦者チャック・リデルと2年ぶりに再戦し、右ストレートでダウンを奪われ、パウンドで1RKO負けを喫し王座から陥落した。
2006年2月4日、UFC 57のUFC世界ライトヘビー級タイトルマッチで王者チャック・リデルとラバーマッチを行い、カウンターの右フックでダウンを奪われ、パウンドで2RKO負けを喫し王座獲得に失敗した。敗戦直後に引退を表明。6月24日、The Ultimate Fighter 3 Finaleの大会中に、UFCで4人目となるUFC殿堂入りが発表された。
2006年11月17日、グラップリング大会のX-MISSIONにおいてムンジアル王者にしてアブダビ王者のホナウド・ジャカレイと対戦。40歳を超えてグラップリング界のトップ選手に引き分けた。
2007年1月11日、UFC 68での復帰とヘビー級への再転向が発表された。同年2月3日、ラスベガスに設立した自らのジム「エクストリーム・クートゥア」のジム開きを行った。
3度目のヘビー級世界王座獲得
2007年3月3日、43歳での復帰戦となったUFC 68のUFC世界ヘビー級タイトルマッチで王者ティム・シルビアに挑戦。試合前は不利と目されていたが、試合では1R早々から右ストレートでダウン奪うなどシルビアを圧倒し、3-0(50-45、50-45、50-45)の5R判定勝ちを収め王座獲得に成功した。
2007年8月25日、UFC 74のUFC世界ヘビー級タイトルマッチで挑戦者ガブリエル・ゴンザーガと対戦し、マウントパンチで3RTKO勝ち。王座の初防衛に成功し、ファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した。44歳にして王座を防衛したが、3Rにゴンザーガのハイキックをブロックした際に左前腕を骨折。全治6週間の重傷となった。
2007年10月11日、2試合の契約を残したままUFCからの離脱およびヘビー級王座の返上を表明(UFCはクートゥアの契約を解除することはなく、王座の返上も認めないとする声明を発表)。これに関してクートゥアは、PRIDEヘビー級王者エメリヤーエンコ・ヒョードルがUFCとの契約が成立せず対戦が実現しなかったこと、ギャラへの不満等を理由に挙げている。前後して、ユニバーサル映画「スコーピオン・キング2」へ主演し、南アフリカで撮影を行った。
以来、UFC(ズッファ)と複数の法廷闘争を行っていたが、2008年7月31日、HDNetがズッファに対して起こした裁判でテキサス州最高裁判所が「クートゥアの契約不履行」との判断を示し、事実上の敗訴となった。9月2日、UFCの記者会見で和解の成立およびUFCとの再契約が発表された【UFC91】鉄人復帰、レスナー戦へ。ノゲイラ&皇帝は? MMAPLANET 2008年9月3日。
2008年11月15日、1年3か月ぶりの復帰戦となったUFC 91のUFC世界ヘビー級タイトルマッチで挑戦者ブロック・レスナーと対戦。2Rに右フックでダウンを奪われ、パウンドを受け続けてTKO負け。2度目の防衛に失敗し、王座から陥落した【UFC91】レスナー、クートゥアー破り快挙達成! MMAPLANET 2008年11月16日。
2009年8月29日、UFC 102でアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラと対戦し、0-3の判定負け【UFC102】ノゲイラが鉄人撃破、クートゥアーは引退を否定 MMAPLANET 2009年8月30日。敗れはしたものの、ファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した。同年11月14日、UFC 105でブランドン・ヴェラと対戦し、ダウンを奪われる場面もあったが試合全体を優位に進めて3-0の判定勝ちを収めた【UFC105】46歳クートゥアー、約2年振りの勝ち名乗り MMAPLANET 2009年11月15日。
2010年2月6日、UFC 109でマーク・コールマンと対戦。UFC殿堂入り選手同士の対戦となったが、チョークスリーパーで2R一本勝ちを収めた【UFC109】“魂のオヤジ対決”クートゥアーが一本勝ち MMAPLANET 2010年2月7日。
2010年8月28日、UFC 118で元ボクシング3階級王者のジェームズ・トニーと対戦。試合開始早々にシングルレッグのタックルでテイクダウンし、すぐにマウントを奪取して肩固めで1R一本勝ち。【UFC118】ボクシング王者トニー、MMA初戦は見せ場なく MMAPLANET 2010年8月29日。UFC最年長勝利記録の47歳での勝利となった。
2011年4月30日、引退試合としてUFC 129でリョート・マチダと対戦し、前蹴りで2RKO負けを喫し、47歳での現役引退となった。
2019年10月23日、心臓発作を起こし緊急手術を受ける。トレーニング中に胸部に痛みを感じたためローラーを使って痛みを取ろうとしたが解消せず、トレーニング終了後に帰宅し休息を取るが、それでも痛みが収まらなかったため、徒歩で病院に行ったところ、即集中治療室に入り緊急手術となったRandy Couture releases statement after heart attack: ‘I have not kicked the bucket yet’MMAFighting 2019年10月25日。
人物・エピソード
- 俳優業にも進出しており、エクスペンダブルズシリーズを始め多くの映画に出演している。
- 息子の、元妻キム・クートゥアも総合格闘家である。
戦績
総合格闘技
グラップリング
獲得タイトル
- レスリング
- レスリングパンアメリカン選手権 グレコローマン90kg級 優勝(1991年)
- パンアメリカン競技大会 グレコローマン90kg級 優勝(1991年)
- UFC
- UFC 13ヘビー級トーナメント 優勝(1997年)
- 第3代UFC世界ヘビー級王座(1997年)
- 第6代UFC世界ヘビー級王座(2000年)
- UFC世界ライトヘビー級暫定王座(2003年)
- 第3代UFC世界ライトヘビー級王座(2003年)
- 第5代UFC世界ライトヘビー級王座(2004年)
- 第13代UFC世界ヘビー級王座(2007年)
表彰
- UFC ファイト・オブ・ザ・ナイト(2回)
- UFC殿堂入り(2006年)
- SHERDOG ファイター・オブ・ザ・イヤー(2003年)
- SHERDOG カムバック・オブ・ザ・イヤー(2003年)
出演
映画
公開年 | 邦題原題 | 役名 | 備考 |
---|---|---|---|
2007 | ザ・ユニット 米軍極秘部隊The Unit | ストリックランド | テレビシリーズ、2エピソード |
2008 | レッドベルト 傷だらけのファイターRedbelt | ディラン・フリン | |
スコーピオン・キング2The Scorpion King: Rise of a Warrior | Sargon | ビデオ作品 | |
2010 | エクスペンダブルズThe Expendables | トール・ロード | |
2011 | セットアップSetup | ピーティ | |
Once I Was a Champion | 本人役 | ||
2012 | ハイジャッキングHijacked | ポール・ロス | |
エクスペンダブルズ2The Expendables 2 | トール・ロード | ||
2014 | エクスペンダブルズ3 ワールドミッションThe Expendables 3 | トール・ロード | |
2022 | BLOWBACK ブロウバックBlowback | ジャック | |
2023 | エクスペンダブルズ ニューブラッドExpend4bles | トール・ロード | |
出典
関連項目
- 男子総合格闘家一覧
- 男子レスリング選手一覧
- UFC王者一覧
- UFC選手一覧
外部リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/08/21 08:16 UTC (変更履歴)
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike and/or GNU Free Documentation License.