リチャード・マーティン : ウィキペディア(Wikipedia)

初代準男爵サー・リチャード・ビダルフ・マーティン(Sir Richard Biddulph Martin, 1st Baronet、1838年5月12日 - 1916年8月23日)は、イングランドの銀行家、自由党(後には自由統一党)の政治家。

マーティンは、グロスタシャー州チュークスベリ (Tewkesbury) 近郊のオーヴァーベリ (Overbury) に屋敷オーヴァーベリ・コート (Overbury Court) を構えていた父ロバート・マーティン(Robert Martin、1808年 - 1897年)と、その妻であり、コックス・ビダルフ社の銀行業務を担っていたジョン・ビダルフ (John Biddulph) の娘であった母メアリ・アン(Mary Ann、? - 1892年)の間に生まれ、ふたり兄弟の兄として育った。父ロバート・マーティンは、後のマーティンズ銀行 (Martins Bank) の前身であるグラスホッパー銀行 (the Grasshopper Bank) の共同経営者のひとりであったLawrence Goldman, ‘Woodhull, Victoria Claflin (1838–1927)’, Oxford Dictionary of National Biography, online edn, Oxford University Press, Oct 2008 2009年5月1日閲覧

マーティンはハーロー校から、オックスフォード大学エクセター・カレッジ (Exeter College) に学び、やがて母方の祖父の銀行で働き始めた。後にマーティンは、イギリス北ボルネオ会社や銀行家協会(the Institute of Bankers:後の ifs School of Finance の前身)の設立者のひとりとなった。

マーティンの庶民院議員選挙への初出馬は、1868年の総選挙 (1868 general election) であり、このときはイースト・ウスターシャー選挙区 (Eastern division of Worcestershire) に立候補したものの、落選した。次いで、1880年総選挙 (1880 general election) にはシティ・オブ・ロンドン選挙区 (City of London) に立候補したが、再び落選した。

しかし、2度目の落選から3ヵ月後、マーティンは、4月の選挙結果が無効とされたチュークスベリ選挙区 (Tewkesbury) で1880年7月に行なわれた補欠選挙に出馬し、当選を果たした。マーティンの先祖には、議会に議席を占めていた者もいたが、リチャード・マーティンはチュークスベリ選挙区から選出された最後のマーティン家の議員となった。1885年の議席再分配法 (Redistribution of Seats Act 1885) によってチュークスベリの議会バラ (Parliamentary Borough) は廃止され、より広範囲に及ぶグロスタシャー州のカウンティ・ディヴィジョン (county division) に置き換えられた。

1885年の総選挙 (1885 general election) では、マーティンは新設されたグロスタシャー州のチュークスベリ区域の選挙区には出馬せず、エセックス州のチェルムズフォード選挙区 (Chelmsford division of Essex) で立候補したが、落選した。

アイルランド自治法 (Irish Home Rule) をめぐって自由党が分裂した際には、分離した側の自由統一党に加わり、同党からアシュバートン選挙区 (Ashburton division of Devon) に立候補したが、落選した。国会議員として国政復帰を果たしたのは、1892年の総選挙 (1892 general election) で、自由統一党のジョン・コーベット (John Corbett) が引退したのを受けて立候補したウスターシャー州のドロイトウィッチ (Droitwich) の選挙区からであった。マーティンは、その後、1906年の総選挙 (1906 general election) に不出馬を表明するまで、ドロイトウィッチ選出議員であり続けた。

1905年12月12日、マーティンは準男爵に叙され、グロスタシャー州オーヴァーベリ・コートの準男爵となった。マーティンは子を残さずに死去し、本人の死去とともに準男爵位は消滅した。

マーティンは1906年から1907年まで、王立統計学会会長を務めた。

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