マルコ・ベロッキオ : ウィキペディア(Wikipedia)

マルコ・ベロッキオMarco Bellocchio, 1939年11月9日 - )は、イタリアの映画監督、脚本家である。

来歴

1939年11月9日、ピアチェンツァ県ボッビオで生まれる。ミラノで哲学を学んでいたが、映画に転向。1959年からローマ国立映画実験センターで映画製作を学んだ。

1965年、『ポケットの中の握り拳』で映画監督としてデビュー。1967年の『中国は近い』は第28回ヴェネツィア国際映画祭で審査員特別賞と国際映画批評家連盟賞を受賞した。1968年にはイタリア共産党に入党している。

その後、精神科医のマッシモ・ファジョーリと知り合い、作風を精神分析的なものへと変貌させる。マルーシュカ・デートメルスを起用してレイモン・ラディゲの同名小説を大胆な解釈で映画化した『肉体の悪魔』(1986年)やベアトリス・ダルが自身を魔女と称す女性を演じた『サバス』(1988年)、日常的な会話を止め、舞台言語だけを話す男を描いた『蝶の夢』(1994年)がその代表作である。また、1991年には『La Condanna』が第41回ベルリン国際映画祭で審査員グランプリを受賞している。

2000年代からは作風を再び社会的・政治的なものに戻し、1978年に赤い旅団が起こしたアルド・モーロ元首相の誘拐殺人事件を扱った『夜よ、こんにちは』(2003年)やベニート・ムッソリーニの最初の妻イーダ・ダルセルを描いた『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』(2009年)といった作品を発表し、いずれも高い評価を得ている。

2011年、第68回ヴェネツィア国際映画祭で栄誉金獅子賞を受賞。2012年、尊厳死について扱った『眠れる美女』を発表。同作は第69回ヴェネツィア国際映画祭や第25回東京国際映画祭で上映された。

2015年、『私の血に流れる血』を発表。また、同年、第68回ロカルノ国際映画祭にて名誉豹賞を受賞した。

2016年、ジャーナリストのマッシモ・グラメッリーニによる自伝的小説を原作とする『甘き人生』を発表。同作は第69回カンヌ国際映画祭監督週間のオープニング作品として上映される。

2019年、実在のマフィアであるトンマーゾ・ブシェッタの生涯を描く『シチリアーノ 裏切りの美学』が第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品される。

2022年、再びアルド・モーロ誘拐殺人事件を題材とした『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』を発表。同作は6つのエピソードからなるミニシリーズとして製作されたが、イタリアでは前後編からなる長編映画として劇場でも公開された。

2023年、ユダヤ人の両親のもとに生まれながら6歳で異端審問所警察によって連れ去られ、カトリック教徒として育てられて長じて司祭となったエドガルド・モルターラの生涯を題材とした『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』を発表。同作は第76回カンヌ国際映画祭コンペティションに出品される。

フィルモグラフィー

長編劇映画

+公開年邦題原題クレジット備考
監督脚本
1965ポケットの中の握り拳I pugni in tasca
1967中国は近いLa Cina è vicina
1969議論しよう、議論しようDiscutiamo, discutiamoDiscutiamo, discutiamoオムニバス映画『愛と怒り』より
1972Nel nome del padre
Sbatti il mostro in prima pagina
Pianeta Venere
1976Marcia trionfale
1977Il gabbianoテレビ映画
1979Armonica a bocca
1980虚空への跳躍Salto nel vuoto
1982Gli occhi, la bocca
1984エンリコ四世Enrico IV
1986肉体の悪魔Il diavolo in corpo
1988サバスLa visione del sabba
1991La condanna
1994蝶の夢Il sogno della farfalla別題『新・肉体の悪魔』
1995Sogni infrantiテレビ映画
1997Il principe di Homburg
1998Alfabeto italiano: La religione della storiaテレビ映画
1999乳母La balia
2002母の微笑L'ora di religione別題『L'ora di religione - Il sorriso di mia madreイタリア映画祭2003にて上映
2003夜よ、こんにちはBuongiorno, notte
Radio West
2006結婚演出家Il regista di matrimoni
2009愛の勝利を ムッソリーニを愛した女Vincere
2010Rigoletto a Mantovaテレビ映画オペラ『リゴレット』の映画化
2012眠れる美女Bella addormentata
2015私の血に流れる血Sangue del mio sangue第28回東京国際映画祭にて上映
2016甘き人生Fai bei sogniイタリア映画祭2017上映時タイトル『スイート・ドリームス』
2019シチリアーノ 裏切りの美学Il traditore
2022夜の外側 イタリアを震撼させた55日間Esterno notteイタリア映画祭2023上映時タイトル『夜のロケーション』
2023エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命Rapito第36回東京国際映画祭上映時タイトル『KIDNAPPED』

短編映画

+公開年邦題原題備考
1961Abbasso il zio
La colpa e la pena
1962Ginepro fatto uomo
1993L'uomo dal fiore in bocca
1997Elena
1999Nina
2000L'affresco
Un filo di passione
2001Il maestro di coro
2002Oggi è una bella giornata
Appunti per un film su Zio Vania
2016道化師Pagliacciイタリア映画祭2017にて上映
2017Per una rosa
2018戦闘La lottaイタリア映画祭2020にてオンライン配信
2021差し出がましいのですがSe posso permettermiイタリア映画祭2023にてオンライン配信

ドキュメンタリー

+公開年邦題原題備考
1969Il popolo calabrese ha rialzato la testa
Viva il 1º maggio rosso proletario
1975Matti da slegareシルヴァーノ・アゴスティ、サンドロ・ペトラリアステファノ・ルッリとの共同監督
1979La macchina cinemaシルヴァーノ・アゴスティ、サンドロ・ペトラリアステファノ・ルッリとの共同監督
1980Vacanze in Val Trebbia
2002Addio del passato
La primavera del 2002 - L'Italia protesta, l'Italia si ferma
2021マルクスは待ってくれるMarx può aspettareイタリア映画祭2022にて上映

外部リンク

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