フィリップ・ワイリー : ウィキペディア(Wikipedia)
フィリップ・ゴードン・ワイリー(Philip Gordon Wylie, 1902年5月12日 - 1971年10月25日)は、アメリカ合衆国の小説家、脚本家、ノンフィクション作家、コラムニスト。代表作はSF小説『地球最後の日』(1932年)など。
経歴と作品
マサチューセッツ州ベヴァリー (Beverly) で牧師の息子として生まれた。母や兄も著述家で、その影響を受け自身も少年時代から文学を好んだ(12歳の時に最初の作品を売っている)。また科学にも興味をもった。プリンストン大学で英文学を学ぶが、中退して幾つかの職を経験したのち「ザ・ニューヨーカー」誌の編集局員となった(1925年)。
1928年に普通小説"Heavy Laden"、1929年に"Babes and Sucklings"を発表。翌1930年、最初のSF作品『闘士』を刊行した。超人テーマの本作は商業的にも批評的にも成功を修め、後続の作品に少なからぬ影響を与えた。その後も多くの主流文学、普通小説、SF小説、推理小説、映画脚本を書いた。放浪天体との衝突による地球破滅を描いたSF長編『地球最後の日』(1932年、エドウィン・バーマーとの合作)はベストセラーとなった。文学作品の中では数々の実験的手法を盛り込み、過激な性描写でも知られる"Finnley Wren"(1934)が代表的。彼の最大のベストセラーは社会批判的なノンフィクション"Generation of Vipers"(1942年)である。Momism(女家長主義)という単語は彼が作中で使用した後、一般的となったものである。
作品リスト
日本語訳のあるもののみ挙げた。
長編
- 『闘士』 Gladiator (1930)
- スーパーマンというキャラクターが誕生するきっかけ(元ネタ)のひとつとなったことで有名。
- 『Savage Gentleman』(1932、未訳)
- SFパルプ小説の人気キャラクター、ドック・サヴェジ (Doc Savage) の元ネタとなった。
- 『勝利』 Triumph (1963)
- 核戦争(第三次世界大戦)を扱った作品。
- 『地球最後の日』 When Worlds Collide (1932)
- エドウィン・バーマー(Edwin Balmer)との合作。
- 『冷凍死体のなぞ』(The Blizzard Murder Case、国土社、少年SF・ミステリー文庫)内田庶訳
- 同社の「海外SFミステリー傑作選」で復刊
その他未訳多数。
短編
- 「偶発」Blunder
- 「考古学博物館の殺人」Ten Thousand Blunt Instruments
- 「パラダイス・キャニヨンの死」The Paradise Canyon Mystery
- 「やすやすとは殺されない」Not Easy to Kill
- 「雪嵐殺人事件」The Blizzard Murder Case
- 「老宝石商」Pearls
映画脚本
- 「獣人島」(1932、米)
- H・G・ウェルズの「モロー博士の島」の映画化
- 「透明人間」(1933、米)
- H・G・ウェルズの「透明人間」の映画化
映画原作
- 「豪傑ブラウン」(1938、米)
- 自作『闘士』の映画化
- 「ロッキーの春風」(1942、米)
- 「婿探し千万弗」(1946、米)
- 「地球最後の日」(1951、米)
- ジョージ・パルが製作し、現在でも評価が高いSF映画の名作
主要参考資料
- 『世界SF全集5』(早川書房、1969年)巻末解説「ワイリー その人と作品」(伊藤典夫)
外部リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2022/03/07 02:35 UTC (変更履歴)
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